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スズキ・ソリオ(FF/CVT)

どこまでも真面目 2013.12.17 試乗記 新開発の「デュアルジェットエンジン」を搭載した「スズキ・ソリオ」に試乗。その仕上がりを確かめた。

生活者の強い味方

11月にマイナーチェンジを受け、「スズキ・スイフト」と同じ1.2リッター4気筒の「デュアルジェットエンジン」を積んだ「スズキ・ソリオS-DJE」に試乗しながら、数日前にコーヒー好きの知人と交わした会話を思い出す。
お題は「コンビニの100円コーヒー」。あれはなかなかうまい、食通ではない自分には十分だという話をした。特にセブン-イレブンのやつが好みだ。
いっぽうコーヒー好きの知人は、値段を考えれば上等の味だと認めながら、「それでもやっぱり香りや、器の形や感触を楽しみたい」と反論するのだった。特にいまの季節のコンビニは、おでんや肉まんの湯気でホカホカしているのでコーヒーを楽しむには最悪の環境であるらしい。

スズキ・ソリオも、値段を考えればべらぼうに広くて小回りが利き、よく走る、生活者の強い味方である。ソリオが1台あれば、4人家族のファミリーなら何の不足も感じないだろう。試乗会での短時間の試乗だったので燃費は計測できなかったけれど、スイフトの例から推察するに燃費もいいはずだ。
ただし形やドライブフィールを楽しみたいクルマ好きとしては、「どうしてもソリオにしたい」という強いインパクトは感じなかった。

とはいえ、何かに不満を覚えるわけではない。12.0という高い圧縮比や機械抵抗を減らすことなどで省燃費を実現した“スズキ版SKYACTIV”ともいえるデュアルジェットエンジンは、その排気量から想像するよりはるかに力強く加速する。高速道路の合流部分で加速するとかなり高い回転域まで使うことになるけれど、ノイズもバイブレーションも少なく、スムーズに回る印象だ。
25.4km/リッターというJC08モード燃費は、使いやすさを犠牲にして成り立っているのではなく、きちんと乗り手の立場になって達成したものだ。
組み合わされるCVT(自動無段変速機)とのマッチングもよく、速くはないけれどレスポンスはいい。
「真面目に作られている」という印象は、エンジンだけでなく足まわりも共通だった。

今回のマイナーチェンジでは外観デザインの一部も変更。バンパーやフロントグリルの形状が新しくなったほか、全車に「ソリオ バンディット」と共通のサイドスポイラーが装着された。
今回のマイナーチェンジでは外観デザインの一部も変更。バンパーやフロントグリルの形状が新しくなったほか、全車に「ソリオ バンディット」と共通のサイドスポイラーが装着された。
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リアビューでは、LEDのリアコンビランプや新形状のバンパー、ルーフエンドスポイラーなどがマイナーチェンジモデルの特徴。
リアビューでは、LEDのリアコンビランプや新形状のバンパー、ルーフエンドスポイラーなどがマイナーチェンジモデルの特徴。
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インテリアでは、インパネやドアトリムなどがブラックに変更された。常時発光式のメーターや、「スイフト」と同じ形状のステアリングホイールなども新採用。
インテリアでは、インパネやドアトリムなどがブラックに変更された。常時発光式のメーターや、「スイフト」と同じ形状のステアリングホイールなども新採用。
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1気筒あたり2本のインジェクターが備わる1.2リッター4気筒の「デュアルジェットエンジン」。従来のエンジンを搭載したグレードも用意されている。
1気筒あたり2本のインジェクターが備わる1.2リッター4気筒の「デュアルジェットエンジン」。従来のエンジンを搭載したグレードも用意されている。
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「S-DJE」と「X-DJE」には、ブレーキエネルギー回生機構の「エネチャージ」も採用。助手席の下には、専用のリチウムイオンバッテリーが備わる。
「S-DJE」と「X-DJE」には、ブレーキエネルギー回生機構の「エネチャージ」も採用。助手席の下には、専用のリチウムイオンバッテリーが備わる。
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乗り心地の改善もエンジンのおかげ?

「真面目」だと感じたのは、高速道路での走行時に横風を受けても、これだけの背高モデルなのにほとんど影響を受けなかったからだ。ピタッと安定しているし、ステアリングホイールの手応えもしっかりしているから不安を感じない。
さすがにこれだけ風を受ける面積が広いと、100km/h前後から風切り音が気になるけれど、前述したようにエンジンの滑らかさや静かさとあわせて、高速走行は得意種目だといっていいだろう。

実は、市街地での乗り心地がマイナーチェンジ前よりもしなやかになっているように感じた。このあたりを担当エンジニア氏にうかがうと、特に足まわりは変更していないという。ただし、エンジニア氏も同様に乗り心地が大人っぽくなっていると感じたというのだ。
彼の推測では、その秘密は新しい「デュアルジェットエンジン」にあるとのことだ。このエンジンの最大トルクは12.0kgmと、以前から存在する1.2リッターと変わらない。ただし、この最大トルクを生む回転数が4800rpmから4400rpmに引き下げられているのだ。結果、低速域でトルクに余裕が生まれ、それが滑らかな加速となり、乗り心地まで向上したと感じるのではないか、ということだ。

「デュアルジェットエンジン」搭載モデルにはアイドリングストップ機構が備わり、インストゥルメントパネルには回生ブレーキの作動状況を示すエネルギーフローインジケーターが装着される。
いまとなっては珍しさもないけれど、アイドリングストップから再始動する瞬間の素早さやスムーズさは、訓練された内野陣のダブルプレーのように見事で、ここにも「真面目に作ってるな」と感心させられた。
とはいえ、「感心」といえばソリオの場合、やはり室内の広さだろう。

今回のマイナーチェンジでは、燃費とともに動力性能の改善も図られた。「加速時や登坂路などでの力強さは、お客さまからの強い要望でした」とは、マイナーチェンジを担当した開発責任者、熊谷義彦氏の弁。
今回のマイナーチェンジでは、燃費とともに動力性能の改善も図られた。「加速時や登坂路などでの力強さは、お客さまからの強い要望でした」とは、マイナーチェンジを担当した開発責任者、熊谷義彦氏の弁。
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「S」「S-DJE」などの15インチタイヤ装着車では、タイヤの銘柄も変更。従来の「ヨコハマDNAアースワン」から、新開発の低燃費タイヤ「ヨコハマ・ブルーアース」となった。なお、14インチタイヤはこれまでと同じ「ヨコハマ・アスペック」。
「S」「S-DJE」などの15インチタイヤ装着車では、タイヤの銘柄も変更。従来の「ヨコハマDNAアースワン」から、新開発の低燃費タイヤ「ヨコハマ・ブルーアース」となった。なお、14インチタイヤはこれまでと同じ「ヨコハマ・アスペック」。
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「デュアルジェットエンジン」搭載車には専用設計のメーターも採用された。走行状況に応じて色が変わる速度計の照明や、走行時やブレーキエネルギー回生時のエネルギーの流れを表示する「エネルギーフローインジケーター」などを装備している。
「デュアルジェットエンジン」搭載車には専用設計のメーターも採用された。走行状況に応じて色が変わる速度計の照明や、走行時やブレーキエネルギー回生時のエネルギーの流れを表示する「エネルギーフローインジケーター」などを装備している。
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「ソリオ」の「デュアルジェットエンジン」搭載車には、アイドリングストップ機構とブレーキエネルギー回生機構が装備される。例外は特別仕様車「Gリミテッド」の4WD車で、デュアルジェットエンジンを搭載しながら、回生ブレーキもアイドリングストップも装備していない。なお、GリミテッドのFF車には、従来と同じエンジンが採用されている。
「ソリオ」の「デュアルジェットエンジン」搭載車には、アイドリングストップ機構とブレーキエネルギー回生機構が装備される。例外は特別仕様車「Gリミテッド」の4WD車で、デュアルジェットエンジンを搭載しながら、回生ブレーキもアイドリングストップも装備していない。なお、GリミテッドのFF車には、従来と同じエンジンが採用されている。
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車内の広さに“おもてなし”をプラス

最高級グレードのソリオS-DJEは、後席スライドドアが左右ともドアハンドルのスイッチにタッチするだけで開閉できる。人さし指でツンとつっつくと、さーっと開いて、だだっ広い空間が現れる。
左右が独立して165mmもスライドする後席を一番後ろまで下げれば、足を組むなんてお茶の子さいさい。天上が高いから開放感があるし、後席にはリクライニング機構も付いていて思いきりくつろぐことができる。
余談だけれど、前席シートバックに2個のドリンクホルダーを備えたピクニックテーブルが標準で装備されるようになったので、後席の“おもてなし感”はさらにアップした。

ピクニックテーブル以外のシートアレンジメントや使い勝手には、マイチェン前からの大きな変化はないけれど、この広さは圧巻だ。友だちを乗せてもいいし、サーフボードや自転車を積んでもいい。
冒頭で、デザインやドライブフィールを楽しみたいクルマ好きにはモノ足りないと書いたけれど、クルマ以外の趣味を楽しみたい人にとっては十分以上の出来だ。
細部まで真面目に作られているから、安心しておすすめできる。

家族や友人と出掛けて、わいわい遊んで笑った後に飲めば、コンビニのコーヒーだって抜群においしく感じるはずだ――。スズキ・ソリオに乗りながら、そんなことを考えた。

(文=サトータケシ/写真=森山良雄)

シートに関しては、色がブラック基調となったこと、中央部に立体的なストライプ柄の表皮が採用されたこと以外、従来モデルから大きな変更はない。
シートに関しては、色がブラック基調となったこと、中央部に立体的なストライプ柄の表皮が採用されたこと以外、従来モデルから大きな変更はない。
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リアシートは左右個別に前後スライドとリクライニングが可能。
リアシートは左右個別に前後スライドとリクライニングが可能。
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全車にリアパワースライドドア(「S」「S-DJE」では両側、その他のグレードは助手席側)を採用するなど、装備は充実。上級グレードには後席用のピクニックテーブルも備えられている。
全車にリアパワースライドドア(「S」「S-DJE」では両側、その他のグレードは助手席側)を採用するなど、装備は充実。上級グレードには後席用のピクニックテーブルも備えられている。
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ラゲッジルームに従来モデルから大きな変更はなし。後席は左右分割可倒式で、荷室側からワンアクションでたたむことができる。(写真をクリックすると、シートが倒れる様子が見られます)
ラゲッジルームに従来モデルから大きな変更はなし。後席は左右分割可倒式で、荷室側からワンアクションでたたむことができる。(写真をクリックすると、シートが倒れる様子が見られます)
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テスト車のデータ

スズキ・ソリオS-DJE

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3710×1620×1765mm
ホイールベース:2450mm
車重:1060kg
駆動方式:FF
エンジン:1.2リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:91ps(67kW)/6000rpm
最大トルク:12.0kgm(118Nm)/4400rpm
タイヤ:(前)165/60R15 77H/(後)165/60R15 77H(ヨコハマ・ブルーアース)
燃費:25.4km/リッター(JC08モード)
価格:176万6100円/テスト車=176万6100円
オプション装備:なし

テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:542km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
 

スズキ・ソリオS-DJE
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