フォードが最量販モデルをフルモデルチェンジ【デトロイトショー2014】

2014.01.14 自動車ニュース
北米国際自動車ショーにおいて発表された、新型「フォードF-150」。日本ではなじみの薄い車種だが、アメリカを象徴するベストセラーモデルである。

【デトロイトショー2014】フォードが最量販モデル「F-150」をフルモデルチェンジ

北米国際自動車ショー(通称:デトロイトショー)が2014年1月13日に開幕。フォードが最量販モデルであるフルサイズピックアップトラック「F-150」の新型を発表した。

アメリカとカナダを隔てるデトロイト川。ショーの季節には、ご覧の通り川面一面が凍結していることも珍しくない。

2013年12月に実車が公開された新型「フォード・マスタング」については、今回は目新しい発表はなされなかった。

■デトロイトに見るアメリカのスケール感

世界各地で催されるモーターショーのカレンダーは、毎年「ノース・アメリカン・インターナショナル・オートショー(NAIAS)」通称デトロイトショーで幕を開ける。そのデトロイトショー、イベント自体の歴史こそ長いものの、国際格式になってから、すなわちNAIASと呼ばれるようになってからは、今年でようやく25周年を迎えたことになる。アメリカの景気が上向いたこととも相まって、ショー全体の華やかさは今まで以上。25年間その会場となってきたコボセンター(COBO CENTER)も、今年初めて大規模な改修が施されていた。

この街のモーターショーを取材して感じるのは、アメリカの小規模な都市において、自動車は必要不可欠だということ。もう一つは、国土のスケール感がまるで違うことである。

小規模な都市と表現したが、デトロイトという街は事実小さい。周辺都市まで含めば確かに大きいかもしれないが、それでもわれわれが知る、例えばロサンゼルスのような規模の都市からすると、はるかに小さい。
余談ながら、フォードやクライスラーは正確にはその本拠をデトロイトには置いていない。フォードはディアボーン、クライスラーはアーバンヒルズという街にあり、これらはデトロイトとは市政が異なるのだ。つまり、その本拠をデトロイト市に置いているのはGMだけなのである。また、デトロイトとディアボーン、アーバンヒルズは完全にひとつの通勤圏に収まるが、これらの街を結びつける公共の交通機関は何一つないのである。驚くかもしれないが、デトロイトには電車という乗り物がない。まあ、正確にはダウンタウンを周回する路線長数kmの無人電車、いわゆる「ゆりかもめ」の小規模版のようなものがあるにはあるが、それはあくまでも周回するだけで、他の街とはリンクしていない。バス便もない。つまり、自動車が唯一の交通手段なのである。

一方で、その周辺の街を含めて一つの「デトロイト圏」と考えると、そのスケールは大きい。例えばデトロイト国際空港からダウンタウンまでは車でおよそ30分ほどだが、その距離は30マイル弱、つまり40~50km近くある。まあ、都心から成田までと思ってほしい。またわれわれが宿泊したホテルはデトロイトに隣接するトロイという街にあるが、ここから空港まではほぼ1時間。距離は70km近くある。東京から東名高速を使って大井松田付近まで行く距離だ。これが地元の人からすれば毎日苦もなく移動できる生活圏内となっており、買い物や食事でも、平気でこの距離を移動する。われわれとどれだけスケールが違うか、わかってもらえるだろう。こんなモーターショーのロケーションは、他のどの国にも存在しなのだ。

 

「フォードF-150」
展示エリア内に再現された、「F-150」の生産ラインの様子。
「フォード・トランジット コネクト」
「フォード・エッジ コンセプト」
「リンカーンMKC」

■ショーの主役はフルサイズピックアップ

そんなデトロイトで今年一番目立っていたのが、出展者中最も広いスペースを構えていたフォードである。通常の展示エリアに加えて、巨大なホール一つを借り切って、車両の展示やユニークなパーツ、今開発が行われている技術などを展示。そこでシンポジウムやエグゼクティブとのインタビューなども行われた。

そんなフォードが最も注力した今回の目玉は、何といっても大型のピックアップトラック「フォードF-150」の2015年モデルだ。残念ながら日本へは正規輸入されていないモデルである。しかしF-150は単一車種としては世界で最も販売台数の多いクルマとして知られており、2013年もモデル末期だというのに76万台以上を販売。派生するSUVなどを含めると、その数は優に年間100万台以上を誇る。それだけに、フォードにとっては失敗の許されないモデルなのである。だからこそ、全く新しい2.7リッターエコブーストエンジンの搭載や、ボディーへのアルミの採用などは、保守的なユーザーが多い中での大英断であったといえる。新型F-150に関しては、クルマのほかに、工場をブースに再現するという凝った展示がなされていた。

一方、時期尚早というわけでもないだろうが、導入が恐らく2015年の早い段階となりそうな「マスタング」については、北米価格がベースモデルで2万3000ドル程度と公表されたほかに大きな発表はなかった。

また、すでに日本に導入されている「フィエスタ」「フォーカス」なども展示されていたが、これに加えて今後日本にやってきてもおかしくない車種として挙げられるのが「トランジット コネクト」。いわゆるミニバンであるが、サイズはコンパクトで、ショートホイールベース版なら「ルノー・カングー」に対抗できそうなモデルである。基本的には商用車だが、もちろんピープルムーバーもラインナップ。ちょっとデコレーションしてやると、ご覧の通りしゃれたいでたちになる。

このほか、日本にも導入されている「リンカーンMKX」のフォード版たる「フォード・エッジ」についても、2013年暮れに発表したニューモデルのコンセプトを披露。そしてもう一台、こちらも日本で販売しているコンパクトクロスオーバー「フォード・クーガ」をベースとした高級モデル「リンカーンMKC」も初登場した。ただ、クーガとのつぶし合いになりかねないので、日本導入は難しいだろう。

いずれにしても、日本市場も好調の兆しが見えてきただけに、何か次の手を打ちたいはずである。

(文と写真=中村孝仁)
 

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