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MINIクーパーS(FF/6AT)/クーパー(FF/6MT)

よりスポーティーに、よりエコに 2014.02.27 試乗記 進化を続ける「MINI」。新型はよりスポーティーで快適になっただけではない。今日的要求にしたがって燃費が大幅に改善され、居住性が向上し、安全性が高まり、品質が磨かれと、全方位的な進化がうたわれる。その仕上がり具合は? カリブ海の島、プエルトリコからの第一報。

3気筒ターボが主役に

BMWプロデュースによる、いわゆる「ニューMINI」の3代目が登場した。去年秋の東京モーターショーにワールドプレミアされたのがそれで、ボディーは取りあえず最もベーシックな3ドアハッチバックのみ。初代のデビューが2001年、それが2代目の現行モデルに変わったのが2006年のことだから、7年ぶりのモデルチェンジということになる。

初代から2代目へのモデルチェンジは、ボディー/シャシーからパワートレインまですべて刷新され、メーカーにとっては生産コストの削減がもたらされたといわれたものだった。一方、ユーザーにとってはパフォーマンスや燃費の向上に加えて、ゴーカートフィーリングとうたわれる俊敏なハンドリング感覚をキープしたまま、乗り心地が著しく改善されたのが最大のメリットだった。その際、ボディーサイズも全幅は事実上変わらぬまま、全長がおよそ3.6mから3.7mに延ばされている。

では、2代目から3代目へのモデルチェンジの主眼はどこにあるのかというと、どうやらそれは環境適合性の向上にあるらしい。すなわち、燃費の向上とそれにともなうCO2排出量の削減である。それを端的に示しているのがパワーユニットの変更で、2代目では当初1.4リッターもあったものの、最終的には1.6リッターに統一された4気筒のNA(自然吸気)とターボがそのエンジンラインナップだったが、3代目ではついに3気筒ターボが登場してきた。

基本的なスタイリングやプロポーションは維持しつつ、ラジエーターグリルが六角形とされるなど、外装の細部には新しい解釈が加えられた。写真は「クーパーS」。
基本的なスタイリングやプロポーションは維持しつつ、ラジエーターグリルが六角形とされるなど、外装の細部には新しい解釈が加えられた。写真は「クーパーS」。 拡大
現時点での本国におけるバリエーションは「クーパーS」(2.0直4)、「クーパー」(1.5直3)、「ONE」(1.2直3)、「ONE D」および「クーパーD」(ともに1.5直3ディーゼル)の5種類(すべてターボ)。写真は「クーパーS」。
現時点での本国におけるバリエーションは「クーパーS」(2.0直4)、「クーパー」(1.5直3)、「ONE」(1.2直3)、「ONE D」および「クーパーD」(ともに1.5直3ディーゼル)の5種類(すべてターボ)。写真は「クーパーS」。 拡大
「ニューMINI」の外装のポイントのひとつ「サイドターンインジケーターエレメント」(サイドウインカー周辺)のデザインが改められた。
「ニューMINI」の外装のポイントのひとつ「サイドターンインジケーターエレメント」(サイドウインカー周辺)のデザインが改められた。 拡大
ボディーサイズは全長が81mm、全幅が42mm拡大され、ホイールベースが30mm延長された(日本仕様と比較した場合)。Cd値は0.28(クーパーSは0.31)。写真は「クーパー」。
ボディーサイズは全長が81mm、全幅が42mm拡大され、ホイールベースが30mm延長された(日本仕様と比較した場合)。Cd値は0.28(クーパーSは0.31)。写真は「クーパー」。 拡大
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全幅が“3ナンバー”サイズへ

3気筒ターボといえば、今や小型車のダウンサイジング系の本命のようなエンジンだが、3代目MINIの場合はいずれも直噴で、1.2リッターと1.5リッターの2種類の排気量が用意され、前者がベーシックモデルの「ONE」に、後者が中間モデルの「クーパー」に搭載される。一方、現時点ではトップモデルの座にある「クーパーS」には、2リッター直4ターボが積まれる。さらに「ONE D」と「クーパーD」用に、1.5リッター3気筒ターボディーゼルが2種類用意される。

ガソリンエンジンに話を限ると、最高出力と最大トルクは、1.2リッターが102psと18.4kgm、1.5リッターが136psと22.4/23.5kgm、2リッターが192psと28.6/30.6kgmとなり、いずれもいわゆるハイチューン型のエンジンではないことがその数字から分かる。それを端的に示すのが最大出力発生回転数で、1.2リッターが4250-6000rpm、1.5リッターが4500-6000rpm、2リッターが4700-6000rpmと、4000rpm台からピークパワーに達してしまうフラットなものだ。

それらと組み合わせられるトランスミッションは、新開発の6段MTと、2代目も使っているアイシンAW製6段ATの改良型の2本立てで、2ペダルDCTの登場はなかった。

それに加えて3代目MINIは、シャシーとボディーも新開発された。ホイールベースが2代目より30mm長くなり、車名とは裏腹にボディー外寸も若干拡大された。結果、全長3850×全幅1727×全高1414mmと、幅は40mm強広くなって日本の5ナンバー枠を超えた。サスペンションはフロントがストラット、リアがマルチリンクと形式は2代目と同じだが、これらも確実に進化している。しかもこの3代目ハッチバックのプラットフォームは「クロスオーバー」や「ペースマン」の系列とは別物で、それらと直接の関連はないという。

「クーパーS」には192psと28.6kgm(オーバーブースト時:30.6kgm)を発生する2リッター直4ターボエンジンが搭載される。
「クーパーS」には192psと28.6kgm(オーバーブースト時:30.6kgm)を発生する2リッター直4ターボエンジンが搭載される。 拡大
「クーパー」のエンジンは1.5リッター直3ターボで、136psと22.4kgm(オーバーブースト時:23.5kgm)を発生。
「クーパー」のエンジンは1.5リッター直3ターボで、136psと22.4kgm(オーバーブースト時:23.5kgm)を発生。 拡大
内装の基本デザインは従来型から踏襲するものの、外装同様、細部には“再解釈”が加えられている。アナログ表示の速度計は通常位置(ステアリングコラム上)に移され、センターメーター部にはエアコン、インフォテインメント、ナビゲーションなどの情報が表示される。
内装の基本デザインは従来型から踏襲するものの、外装同様、細部には“再解釈”が加えられている。アナログ表示の速度計は通常位置(ステアリングコラム上)に移され、センターメーター部にはエアコン、インフォテインメント、ナビゲーションなどの情報が表示される。 拡大
センターメーターの周囲はLEDを用いた発光システムが備わっており、操作に応じてドライバーが設定した色で発光させられるようになっている(本国ではオプション設定)。(クリックすると色が変わる様子が見られます)
センターメーターの周囲はLEDを用いた発光システムが備わっており、操作に応じてドライバーが設定した色で発光させられるようになっている(本国ではオプション設定)。(クリックすると色が変わる様子が見られます) 拡大
「ONE D」を除くすべてのモデルにトルコン式の6ATが用意される。さらに「クーパーS」には、シフトスピードが速い「スポーツオートマチックトランスミッション」が設定される(いずれも本国の場合)。
「ONE D」を除くすべてのモデルにトルコン式の6ATが用意される。さらに「クーパーS」には、シフトスピードが速い「スポーツオートマチックトランスミッション」が設定される(いずれも本国の場合)。
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パワフルな「クーパーS」

この3代目MINI、世界初の国際試乗会の舞台はカリブ海に浮かぶアメリカ自治領、プエルトリコだった。そこに用意されていた試乗車は、クーパーのMTとクーパーSのATという2種類。レッドとブルーがクーパー、オレンジとグレーがクーパーSで、いずれもこれまでの色と微妙に色合いの違う魅力的な新色だった。

最初に乗ったのはクーパーSだったが、少し走って感じたのは、当方が普段乗っている2代目MINIの「クーパー クラブマン」と比べて、ダッシュボードが高いことで、前方の視界が若干天地に狭い印象をうけた。エンジンの背が高いのか、歩行者安全対策でボンネットを高くする必要があったのか不明だが、外観を見てみるとたしかにボンネットが上下に厚い。

その一方で、ホイールベースとボディー拡大の効果は、居住空間に表れている。特にリアシートのレッグルームは明らかに2代目より広くなり、今や平均的な身長の大人なら、さほど無理なくリアシートに座っていられる。と同時にトランクルーム容量も増加している。

クーパーSの試乗車は、サスペンションにオプションのダイナミックダンパーコントロールを装着していた。これは、同じくオプションのMINIドライビングモードをSPORTにセットすると、エンジンやトランスミッションの反応が素早くなると同時に、電子制御ダンパーが硬くなるもので、標準状態とSPORTの違いはかなり明確にある。

特に最初に乗ったグレーのSでは、不整路面で硬い突き上げを食らうことになった一方、後に乗ったオレンジのSでは、同様に硬いことは硬いが、その硬さは許容の範囲にあった。いずれのクルマも、ドライビングモードを標準のMIDもしくはエコモードのGREENにするとダンパーはノーマルにセットされ、乗り心地は角の取れたものに変わる。

試乗車が標準の16インチではなく、オプションの17インチのピレリPゼロを履いていたことも、乗り心地を硬く感じさせた一因だろう。その代わりコーナリング時のステアリングレスポンスは俊敏で、なかでも特にSPORTモードではその傾向が明確になった。

192psの2リッター直4ターボはもちろんパワフルで、低い回転数から強いトルクを立ち上げ、DIN規格(ドイツ工業規格)で1170kg、EU規格で1250kgという車重を力強く引っ張り上げる。とはいえ、ハイチューンなエンジンを操っている実感はあまりないが、それを味わいたければ後に追加される予定の「ジョンクーパーワークス」の登場を待て、ということなのだろう。

新しいシート構造の採用により、前席の調整範囲が拡大された。写真はスポーツシートが標準で備わる「クーパーS」。
新しいシート構造の採用により、前席の調整範囲が拡大された。写真はスポーツシートが標準で備わる「クーパーS」。 拡大
後席は従来型と比較してショルダールーム、フットルームが拡大され、乗降のしやすさも改善されているという。
後席は従来型と比較してショルダールーム、フットルームが拡大され、乗降のしやすさも改善されているという。 拡大
ゴーカートフィーリングを際立たせるため、新型のサスペンションは材質選定と形状面から見直された。前サスペンションではピボットベアリングにアルミを、アクスルキャリアとアームに超高張力鋼を用い、コーナリング時の俊敏さと正確さを向上させているという。
ゴーカートフィーリングを際立たせるため、新型のサスペンションは材質選定と形状面から見直された。前サスペンションではピボットベアリングにアルミを、アクスルキャリアとアームに超高張力鋼を用い、コーナリング時の俊敏さと正確さを向上させているという。 拡大
アナログの速度計は、センターメーターからステアリングコラム上に移された。
アナログの速度計は、センターメーターからステアリングコラム上に移された。 拡大
新型では、6AT車にもエンジンのオートスタートストップ機能が加わった。また同じく6AT車には、巡航時にドライブトレインの接続を切り離し、エンジンをアイドリング状態にする(50~160km/hで作動)コースティング機能が採用された。
新型では、6AT車にもエンジンのオートスタートストップ機能が加わった。また同じく6AT車には、巡航時にドライブトレインの接続を切り離し、エンジンをアイドリング状態にする(50~160km/hで作動)コースティング機能が採用された。 拡大

振動知らずの3気筒ユニット

続いてクーパーに乗り移る。まず1.5リッター3気筒ターボの回転感だが、サウンドに関しては、3気筒らしいバランサーシャフトの独特な“ヒューン”といううなりが耳に入ってくる。ところがさすがBMW、バランサーの使い方が巧妙なのだろう、アイドリングを含めて、不快なバイブレーションを実感させられることは皆無だった。

クーパーの車重は1085kg(DIN)/1160kg(EU)とSより90kgほど軽いこともあって、6段MTとのコンビネーションによるパフォーマンスは十分に活発で、昨今のターボの特性から期待されるとおり、低回転域からググッと持っていくような加速感が味わえる。6段MTのシフトが歯切れよく、確実なタッチを持っているのも、マニュアル派には朗報だろう。一方、0-100km/h加速のデータはMTが7.9秒、ATが7.8秒と、なぜかATの方が速い。

クーパーの試乗車は、標準ダンパーにクーパーSと同じ17インチのPゼロをオプション装着していたから、プエルトリコの不整路面に反応する際のタイヤからの突き上げは顕著だったが、乗り心地は全般にSよりソフトに感じられた。したがって、標準の15インチタイヤを履けば、2代目クーパーよりも快適であろうと想像できる。

本気でコーナーを攻められる道がテストルートになかったため、ハンドリングに関して断定的なことはいえないが、ステアリングの感触についていえば、2代目クーパー クラブマンより、センター付近の反応がややマイルドに感じられた。いわゆるゴーカートフィーリングは基本的に維持されているが、ボディーサイズがわずかに拡大されたことの影響か、身のこなしもやや落ち着きを増した印象をうけた。

その一方、エンジン音やロードノイズの遮断はより巧妙になっているようで、室内は全般に2代目より静かに感じられた。それらの結果、これまでより長距離クルージングを得意とするクルマになったという開発者からのアピールは、うなずけるものに思えた。

さらに、全モデルとも動力性能は2代目を確実に上回っていながら、燃費とCO2排出量は最大27%削減されているという。先代より高性能になると同時に、よりエココンシャスかつ安全になり、しかもちょっと大人になったMINI。それが3代目の第一印象だった。

(文=吉田 匠/写真=BMW)

走行モード切り替え機構「MINIドライビングモード」には、「MID」(標準設定)、「SPORT」および省エネ志向の「GREEN」の計3モードがある。
走行モード切り替え機構「MINIドライビングモード」には、「MID」(標準設定)、「SPORT」および省エネ志向の「GREEN」の計3モードがある。 拡大
5MTのシフトレバーまわり。レバー基部のリングがドライビングモードの切り替えスイッチとなっている。
5MTのシフトレバーまわり。レバー基部のリングがドライビングモードの切り替えスイッチとなっている。 拡大
新型ではセンターパネル下方の中央にある赤いトグルスイッチでエンジンの始動と停止が可能になった。
新型ではセンターパネル下方の中央にある赤いトグルスイッチでエンジンの始動と停止が可能になった。 拡大
ラゲッジルームの容量は従来より51リッター大きい211リッター(通常時、VDA法)。後席の背もたれは6:4の2分割可倒式。(クリックすると後席が倒れる様子が見られます)
ラゲッジルームの容量は従来より51リッター大きい211リッター(通常時、VDA法)。後席の背もたれは6:4の2分割可倒式。(クリックすると後席が倒れる様子が見られます) 拡大
新型「MINI」の日本導入は2014年4月の予定。
新型「MINI」の日本導入は2014年4月の予定。 拡大
MINIクーパーS
MINIクーパーS
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MINIクーパーS(FF/6AT)/クーパー(FF/6MT)【海外試乗記】の画像 拡大

MINIクーパーS(FF/6AT)/クーパー(FF/6MT)【海外試乗記】の画像 拡大

テスト車のデータ

MINIクーパーS

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3850×1727×1414mm
ホイールベース:2495mm
車重:1160kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:192ps(141kW)/4700-6000rpm
最大トルク:28.6kgm(280Nm)/1250-4750rpm ※オーバーブースト時:30.6kgm(300Nm)/1250-4750rpm
タイヤ:(前)195/55R16 87W/(後)195/55R16 87W
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--

テスト車の年式:2014年型
テスト車の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

MINIクーパー
MINIクーパー 拡大

MINIクーパーS(FF/6AT)/クーパー(FF/6MT)【海外試乗記】の画像 拡大

MINIクーパーS(FF/6AT)/クーパー(FF/6MT)【海外試乗記】の画像 拡大

MINIクーパー

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3821×1727×1414mm
ホイールベース:2495mm
車重:1085kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:6段MT
最高出力:136ps(100kW)/4500-6000rpm
最大トルク:22.4kgm(220Nm)/1250-4000rpm ※オーバーブースト時:23.5kgm(230Nm)/1250-4000rpm
タイヤ:(前)175/65R15 84H/(後)175/65R15 84H
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--

テスト車の年式:2014年型
テスト車の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

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MINI 3ドアMINI試乗記

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