「水野和敏的視点」 vol.38 「ポルシェ・ケイマン」&「ポルシェ・パナメーラ」

2014.02.28 mobileCG

「水野和敏的視点」 vol.38 「ポルシェ・ケイマン」&「ポルシェ・パナメーラ」

R35型「日産GT-R」の生みの親、育ての親であるだけでなく、レース界での活躍やセダンの進化への貢献など、自動車の世界で数々の成果を上げてきた水野和敏氏が本音でクルマを語り尽くす『mobileCG』の特集「水野和敏的視点」。今回の主役は2台のポルシェ、「ケイマン」と「パナメーラ」。どちらも標準仕様である。日頃あまり話題にこそ上らないが、その素性を探るには一番都合がいいスタンダードでベーシックな仕様に試乗し、ポルシェのクルマづくりの基本に迫ってみた。


ポルシェ・ケイマン
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4385×1800×1295mm/ホイールベース:2475mm/車重:1390kg/駆動方式:MR/エンジン:2.7リッター水平対向6 DOHC 24バルブ/トランスミッション:7AT/最高出力:275ps/7400rpm/最大トルク:29.6kgm/4500-6500rpm/タイヤ:(前)235/45ZR18 (後)265/45ZR18/価格:659万円
ポルシェ・パナメーラ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5015×1930×1420mm/ホイールベース:2920mm/車重:1810kg/駆動方式:FR/エンジン:3.6リッターV6 DOHC 24バルブ/トランスミッション:7AT/最高出力:310ps/6200rpm/最大トルク:40.8kgm/3750rpm/タイヤ:(前)245/50ZR18 (後)275/45ZR18/価格:994万円

■扱いやすさを重視、顧客層の拡大を狙う――ケイマン

今回は、2台のポルシェに試乗します。最もスポーティーなミドシップ2シーター「ケイマン」と、ラグジュアリーな4ドアセダン「パナメーラ」を取り上げました。まずはケイマンから見ていきましょう。

2012年に2代目に進化したケイマンには、2.7リッター(275ps、29.6kgm)と3.4リッター(325ps、37.7kgm)、2種類の水平対向6気筒エンジンが用意されます。テストしたのは前者。PDKことデュアルクラッチ式の7段ATを備えた車両で、車両本体価格は659万円です。

運転席に着いてまず感じたのは、もう少し太くてグリップの柔らかいステアリングホイールのほうがスポーツカーとして扱いやすいし、“らしい”のではないかということ。ハイパフォーマンスカーには、しっかり手のひらを押しつけられるステアリングホイールの方が合っています。なぜなら、手で握らず、手のひらを押し付ける「押し手」の操作ができるからです。実際にケイマンに付いているステアリングは、まるで普通の実用セダンのようなスペックです。

続いて、ケイマンを動かしたとたん、「オレって、こんなに運転が下手だったっけ?」と、ドキッとしてしまいました。微速域では、ステアリング操作に対する反応が、ひどく鈍い。ステアリングを切ってからしばらく待つ、という感じなのです。
「だけど、ちっと待ってよ……。あまり運転に自信のない人が、特に『スポーツカーに乗る』という意識を持たず、気軽に乗ろうとしたら……。これくらい乗用車的に乗れる方が、親しみやすいのかな……」と、このセッティングの狙いがだんだんわかってきました。

つまり、ステアリングホイールの乗用車的な仕様と、その穏やかな応答性、そして後述しますがエンジンの特性などに、それ相応の販売台数をほこるメーカーとしての秘訣(ひけつ)が見え隠れしています。すなわち、日常域で親しみやすく、エントリーユーザーまでもが考慮されたクルマづくりが透けて見える気がするのです。(つづく)

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(語り=水野和敏/まとめ=青木禎之<Office Henschel>/写真=小林俊樹)

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