2014年のSUPER GTはレクサスの勝利で幕開け【SUPER GT 2014】

2014.04.07 自動車ニュース
GT500クラスのスタートシーン。今季は、レギュレーション変更に伴い、ニューマシン同士での戦いとなる。
GT500クラスのスタートシーン。今季は、レギュレーション変更に伴い、ニューマシン同士での戦いとなる。

【SUPER GT 2014】2014年のSUPER GTはレクサスの勝利で幕開け

2014年4月6日、SUPER GTのシーズン開幕戦が岡山国際サーキットで開催され、GT500クラスはNo.37 KeePer TOM'S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ組)が、GT300クラスはNo.4 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝/片岡龍也組)が、勝利を手にした。

毎年開幕戦が行われる岡山国際サーキット。決勝の天気は、晴れから雹(ひょう)まで目まぐるしく変化した。
毎年開幕戦が行われる岡山国際サーキット。決勝の天気は、晴れから雹(ひょう)まで目まぐるしく変化した。
スタートの時を待つ、ポールシッターのNo.6 ENEOS SUSTINA RC F。
スタートの時を待つ、ポールシッターのNo.6 ENEOS SUSTINA RC F。
No.37 KeePer TOM'S RC F。No.6のレクサスを抜き、そのままトップでゴールした。
No.37 KeePer TOM'S RC F。No.6のレクサスを抜き、そのままトップでゴールした。

■“激変シーズン”の幕開け

「開幕戦は混戦になる」がモータースポーツの通り相場だが、それにしても今年のSUPER GT第1戦はこれまでにない大混戦になると多くの関係者が予想していた。

その理由は、GT500クラスの車両規則が全面的に改正され、トヨタ、ホンダ、日産の3メーカーがそろって新型車を投入したことにあった。この新規則は、かねてアナウンスされていた通り、広範な部分をドイツツーリングカー選手権(DTM)と共通とするもの。ただし、一部領域については日本の事情に合わせ、日本独自の規定にしてもいいという内容になっている。例えば、モノコック、トランスミッション、ブレーキなどの主要パーツを標準部品とすることはDTM側の意向に沿ったもので、モノコックのみドイツで設計されたものを日本で制作するが、それ以外のパーツは基本的にDTMが定めたパーツを日本に輸入する形をとる。

一方、エンジンは日本独自の規定で、直噴の2リッター直列4気筒ターボエンジンとされた。DTMでは引き続き4リッターV型8気筒自然吸気エンジンを用いるが、ダウンサイジングコンセプトが主流となっている現在、日本側の提案が時流に沿ったものであることは明らかであり、DTMも遠くない将来に日本のレギュレーションに追随するもようだ。

もうひとつ、新規則で重要なポイントが、フロントエンジン/リアドライブの、いわゆるFR形式に限るというもの。しかし、ホンダが投入する「NSX」は言うまでもなくMR。そこで、NSXは日本のローカルルールとして参戦が認められることになった。量産型のNSX同様、GT500仕様のNSXにハイブリッドシステムを搭載することも、日本の独自規定に従ったものである。

3位に入ったNo.12 カルソニックIMPUL GT-R。GT500クラスのGT-R勢は、このほか7位、10位、12位でフィニッシュしている。
3位に入ったNo.12 カルソニックIMPUL GT-R。GT500クラスのGT-R勢は、このほか7位、10位、12位でフィニッシュしている。
開幕戦の勝利を喜ぶ、LEXUS TEAM KeePer TOM'Sの面々。写真左から、伊藤大輔、チーム監督の関谷正徳氏、そしてアンドレア・カルダレッリ。
開幕戦の勝利を喜ぶ、LEXUS TEAM KeePer TOM'Sの面々。写真左から、伊藤大輔、チーム監督の関谷正徳氏、そしてアンドレア・カルダレッリ。

■SUPER GTならではの工夫も

ただし、車両規則の大半をDTMと共通化したことで、SUPER GTではいくつかの不具合も生じていた。例えば、ドライバーひとりで走りきるスプリントレースのDTMではレース中のドライバー交代を想定しておらず、このためDTMと同じ設計のモノコックを日本のSUPER GTで用いると、ドライバー交代に長い時間がかかると予想されたことは、その最たるものだ。
また、同じくドイツ側で設計した共通部品のプロペラシャフトは、日本メーカーが開発したエンジンではトルクが大きすぎてすぐに破損してしまうことも問題のひとつ。さらにはカーボンブレーキの温まりが悪く、従来と同じフォーメーションラップ1周では1コーナーでブレーキの利かないマシンが続出し、多重クラッシュが発生しかねないとの指摘もあった。

しかし、トヨタ、ホンダ、日産の3メーカーはSUPER GTを主催するGTAとこれらの問題について協議。例えばドライバー交代に要する時間が長くなる問題については、給油装置に燃料の流速を制限するリストリクターを義務づけることで給油時間を長引かせ、ドライバー交代を確実に行わせる環境を整えた。また、プロペラシャフトの問題もさまざまな対策を施すことでほぼ解決されたほか、ブレーキのウオーミングアップについては、以前から行われているフォーメーションラップの前にウォームアップラップと呼ばれる周回を追加することで、スタートまでにブレーキが作動温度に到達するよう工夫された。

GT300クラスのスタートシーン。
GT300クラスのスタートシーン。
GT300クラスでは、BMW勢の活躍が目立った。優勝したのは、写真のNo.4 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝/片岡龍也組)。
GT300クラスでは、BMW勢の活躍が目立った。優勝したのは、写真のNo.4 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝/片岡龍也組)。
BMWの”ワークスチーム”と呼べる体制で臨む、No.7 Studie BMW Z4。初戦は、クラス2位でレースを終えた。
BMWの”ワークスチーム”と呼べる体制で臨む、No.7 Studie BMW Z4。初戦は、クラス2位でレースを終えた。

■強さを見せたレクサスとBMW

こうした関係者の努力が実り、開幕戦はある意味“あっけないほど”順調に終わった。

予選を制したのは、発売前のニューモデル「レクサスRC F」をいち早く投入したトヨタ陣営のNo.6 ENEOS SUSTINA RC F(大嶋和也/国本雄資組)。ところが、5番グリッドのスタートながら20周目には早くも2番手まで浮上していたNo.37 KeePer TOM'S RC Fは、変速機のトラブルに見舞われたNo.6 ENEOS SUSTINA RC Fを55周目に攻略。ここでトップに躍り出ると、そのまま81周のレースを走りきって初優勝を果たした。

2位は、程なくトラブルが解消したNo.6 ENEOS SUSTINA RC Fで、3位には2番グリッドからスタートしたNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/J.P・デ・オリベイラ組)が滑り込んだ。

一方のGT300クラスでは、昨シーズンの1台から今季は3台へと大幅に勢力を拡大した「BMW Z4」勢が大活躍をし、2番グリッドからスタートしたNo.4 グッドスマイル 初音ミク Z4が快勝。そして2位には同じくBMW勢のNo.7 Studie BMW Z4(ヨルグ・ミューラー/荒 聖治組)が入った。3位はNo.11 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組)だった。

続く第2戦は5月3~4日に富士スピードウェイで開催される。

(文=小林祐介/写真提供 GTA)

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