ドイツ勢はニューモデルラッシュ【北京ショー2014】

2014.04.22 自動車ニュース
「BMWビジョン フューチャーラグジュアリー」

【北京ショー2014】ドイツ勢はニューモデルラッシュ

北京モーターショーを取材するたびに感じることだが、中国市場にかけるドイツメーカーの意気込みはすさまじい。外資系メーカーで首位のフォルクスワーゲン(VW)グループは昨年中国で327万台を販売。同グループの世界販売台数は973万台だから、実に3台に1台を中国で売ったことになる。ライバルのメルセデス・ベンツやBMWも、VWに負けじとばかり中国での拡販を競っている。

「アウディTTオフロードコンセプト」
「ポルシェ・ボクスターGTS」(手前)と「ケイマンGTS」(奥)。
「ランボルギーニ・ウラカン」
「フォルクスワーゲン・ラヴィーダ」
「フォルクスワーゲン・サジター」
「フォルクスワーゲン・ジェッタ」
「メルセデス・ベンツ・コンセプトクーペSUV」
「メルセデス・ベンツCクラスL」
「MINIペースマン」

■VWグループは展示館を丸ごと貸し切り

VWグループは前々回(2010年)の北京ショーから9つある展示館のうち1つを丸ごと借り切り、VW、アウディ、ポルシェ、ランボルギーニ、ベントレー、ブガッティ、シュコダなど傘下のブランドの展示ブースを集結させている。企業グループ別の展示面積ではもちろん最大だ。

プレスデイには、北京ショーで世界初公開した「アウディTTオフロードコンセプト」や「ポルシェ・ボクスターGTS/ケイマンGTS」、アジア初公開の「ランボルギーニ・ウラカン」などが、中国メディアの熱い注目を浴びていた。

そんななか、筆者の興味をそそったのはVWブランドのブースにずらりと並んでいた比較的地味なセダンたちだった。VWは中国に2つの合弁会社(上海VWと一汽VW)を持ち、かつては両社の車種が重ならないようにすみ分けていた。上海VWでは上級セダンの「パサート」とコンパクトカーの「ポロ」を、一汽VWでは小型セダンの「ジェッタ」を生産するという具合だ。

ところが、中国市場の急拡大とともに方針を転換。デザインと車名を変えた同クラスの車種を、上海VWと一汽VWの両方で生産するようになった。一方、近年のVW車のフロントマスクは水平基調の「ワルター・デ・シルヴァ顔」で統一されている。中国も例外ではない。その結果、なんだか見た目がそっくりなセダンが乱立状態になってしまったのである。

■「Cクラス」のロングホイールベース版が登場

「パサート」「マゴタン」「ラヴィーダ」「サジター」「ボーラ」「サンタナ」「ジェッタ」……。中国の路上でこれらの車種を一瞬で見分けるのは、よほどのVW通でないと難しいだろう。デザイン統一の重要性はわかるけれど、いくらなんでもやり過ぎではなかろうか。中国の消費者から「没個性」と受け止められるのではないかと、勝手に心配してしまった。

メルセデス・ベンツは「コンセプトクーペSUV」「CクラスL」「S63 AMGクーペ」の3車種を一挙に世界初公開。展示ブースでの一番人気はコンセプトクーペSUVだったが、CクラスLにも同じくらい人だかりができていた。Cクラスのホイールベースを延長して後席の空間を広げたロングホイールベース版である。

中国市場では、VWグループが1990年代に政府機関の公用車需要を狙って「アウディA6」やVWパサートのロングホイールベース版を投入。これをきっかけに、「高級車といえばロングホイールベース」というイメージが人々に浸透した。メルセデスもすでに「Sクラス」と「Eクラス」のロングホイールベース版を中国で販売している。

■「MINIペースマン」に人だかり

だが、先駆者のアウディはひとつ下のクラスの「A4」にもロングホイールベース版を追加。BMWも「3シリーズ」のロングホイールベース版をすでに中国に投入している。今回のCクラスLの登場で、ドイツの高級ブランド御三家は主力セダンのロングホイールベース版のラインナップを完成させた。日本のレクサスも「GS」や「IS」のロングホイールベース版を開発しなければ、中国市場では苦戦が避けられないだろう。

BMWは大型高級セダンのコンセプトカー「ビジョン フューチャーラグジュアリー」を世界初公開。だが、会場での注目度はあまり高くなかったように感じた。一方、傘下のMINIが初公開した「ペースマン」のマイナーチェンジ版は、展示車を取り囲む人だかりが絶えないほどの人気。写真を撮るだけでもひと苦労だった。中国自動車市場のトレンドの最先端が、富裕層のための超高級車から、中間層でも頑張れば手の届く個性的なクルマに移りつつある表れと言えるかもしれない。

(文と写真=岩村宏水)

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。