元気を取り戻した日本メーカー【北京ショー2014】

2014.04.27 自動車ニュース
北京ショー2014で世界初公開された小型SUVの「レクサスNX」。
北京ショー2014で世界初公開された小型SUVの「レクサスNX」。

【北京ショー2014】元気を取り戻した日本メーカー

世界14カ国から2000社余りが参加している世界最大規模の北京モーターショー2014。日本メーカーは中国市場で元気を取り戻しつつあり、各社の展示にもそれを裏付ける勢いが感じられた。

■新車効果が実を結ぶ

日本メーカーの中国販売は、2012年9月に起きた激しい反日デモの影響で一時大幅に落ち込んだ。だが、危機は時として企業を強くする。日本メーカーは歯を食いしばり、合弁相手の中国メーカーや中国人社員と力を合わせて体制立て直しに奔走。中国人の嗜好(しこう)に合わせた新型車を積極的に投入した。

こうした努力が実を結び、日本車の販売は昨年初めを底に徐々に回復。販売店のショールームはかつてのにぎわいを取り戻している。今回の北京ショーでは、そんな日本車の“復興”を肌で感じられたのがひとつの収穫だった。

「日産ラニア」
「日産ラニア」
「ヴェヌーシアR30」
「ヴェヌーシアR30」

■「日産ラニア」は中国人によるグローバルカー

中国市場で日系メーカーの販売台数首位を走るのは、トヨタでもホンダでもなく日産である。2013年は前年比17.2%増の126万6200台を販売。米国での販売台数(124万8400台)を初めて上回り、同社にとって中国が国別で最大の市場となった。

北京ショーでは、中国のデザインセンターの若手中国人デザイナーを中心に開発したというコンセプトカー「ラニア」を世界初公開。プレスデイに展示ブースの壇上に立ったアンディ・パーマー副社長は、ラニアについて「中国人が中国人のためにデザインし、作り上げ、そして世界に向けて販売するクルマだ」と説明。中国事業への取り組みをますます強化するとアピールした。

2年前に展開を始めた第2ブランド「ヴェヌーシア」からも、小型ハッチバックの新型車「R30」が新登場。「日産マーチ」をベースに部品調達の現地化を徹底し、5万元(約83万円)を切る低価格で今夏にも投入する計画だ。中国メーカーの激安車とも競える価格ながら、日本メーカーの高品質とアフターサービスの安心感を売り物に、初めてクルマを買う消費者の取り込みを狙っている。

「トヨタ・カローラ」
「トヨタ・カローラ」
「トヨタ・ヤリスL」
「トヨタ・ヤリスL」
コンセプトカーの「トヨタ・ディア チン」。(写真=トヨタ自動車)
コンセプトカーの「トヨタ・ディア チン」。(写真=トヨタ自動車)

■トヨタは「カローラ」と「レビン」にハイブリッド

トヨタは昨年、中国で91万7500台(前年比9.2%増)を販売。今年の販売目標は110万台と、100万台の大台突破を目指している。そのための切り札として、北京ショーでは主力小型セダンの新型「カローラ」と兄弟車の「レビン」を初公開した。カローラは中国の第一汽車との合弁会社である一汽トヨタで、レビンは広州汽車との合弁会社の広汽トヨタでそれぞれ生産・販売する。2015年には両車のハイブリッド版も投入する計画だ。

ドイツメーカーの記事で触れたフォルクスワーゲンのケースと同様、トヨタも以前は2つの合弁会社で生産する車種をすみわけていた。工場の生産設備への重複投資や、合弁会社同士での販売の食い合いを避けるためだ。しかし今回、カローラとレビンを2つの合弁会社で同時生産することを決めたのは、トヨタが中国市場でのシェア拡大にいよいよ本腰を入れ始めた表れと見ることができる。

トヨタのブースからもう1台紹介したいのが、昨年11月に発売された中国市場専用のコンパクトハッチバック「ヤリスL」だ。フロントグリルからバンパーに向けてナマズのひげのように伸びるシルバーのラインが特徴で、その原型は前回(2012年)の北京ショーで発表されたコンセプトカー「ディア チン」である。個性的なデザインが若いドライバーの心をつかみ、目標を上回るペースで売れているという。

「ホンダ・コンセプトB」
「ホンダ・コンセプトB」
「スズキ・アリビオ」
「スズキ・アリビオ」
「スバル・ヴィジヴ2」
「スバル・ヴィジヴ2」

■ホンダ、レクサス、スズキも世界初公開車をアピール

中国市場で日系3位のホンダは、昨年75万9600台(前年比26.4%増)を販売。伸び率では日産とトヨタを上回った。北京ショーではコンパクトハッチバックのコンセプトカー「コンセプトB」と、中型セダンの「スピリオ」の2台を世界初公開。コンセプトBの市販型はハイブリッドシステムを搭載し、2016年にも中国で発売する計画だ。来年から再来年にかけて、トヨタとホンダが激戦区の大衆車クラスにハイブリッド車を投入することになる。中国の消費者がどんな反応を示すか、今から楽しみだ。

このほか、レクサスは小型SUVの「NX」を世界初公開した。スズキは小型セダンのコンセプトカー「アリビオ」を同じく世界初公開。市販モデルを年内に中国で発売するという。スバルは3月のジュネーブショーで発表したコンセプトカー「ヴィジヴ2」をアジア初公開した。日中外交関係が冷え込む中でも、日本メーカーが中国市場で元気を取り戻しつつあるのは頼もしい限りだ。

(文と写真=岩村宏水)

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