「水野和敏的視点」 vol.48 「BMW i3」(前編)

2014.05.09 mobileCG

「水野和敏的視点」 vol.48 「BMW i3」(前編)

R35型「日産GT-R」の生みの親、育ての親であるだけでなく、レース界での活躍やセダンの進化への貢献など、自動車の世界で数々の成果を上げてきた水野和敏氏が本音でクルマを語り尽くす『mobileCG』の特集「水野和敏的視点」。今回からBMWが世に問うた電気自動車(EV)「i3」を2回に分けてリポートする。ミスターGT-Rをして「本物のEV」と言わしめたi3は、クルマを、そしてクルマを取り巻く社会を、どのように変えていくのだろうか。前編ではi3が今後、クルマ社会に与える影響を考える。



BMW i3 レンジ・エクステンダー装備車
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4010×1775×1550mm/ホイールベース:2570mm/車重:1390kg/駆動方式:RR/モーター:交流同期モーター/エンジン:0.65リッター直2 DOHC 8バルブ(発電用)/モーター最高出力:170ps(125kW)/モーター最大トルク:25.5kgm(250Nm)/エンジン最高出力:38ps(28kW)/5000rpm/エンジン最大トルク:5.7kgm(56Nm)/4500rpm/タイヤ:(前)155/70R19 84Q (後)175/60R19 86Q/価格:546万円(消費税8%込み) ※写真は試乗車ではありません。

■「スペシャルチーム」が開発した?

私が言い続けてきた真のEVがやっと姿を現しました。所有や購入の仕方までを含めて、今までのクルマの概念を変える――BMW i3は、この新しい世界へのスタートを切ってくれたクルマです。

今回の試乗に先立ち、まずはプレス試乗会でi3に乗ったのですが、その時最初に感じたのは、「既存の組織とは違うスペシャルチームが開発したな」ということでした。つまり、私が「日産GT-R」の開発でやったのと同じことがi3でも行われたのではないかと感じたのです。

かつて私はGT-Rを開発するに当たり、本質に基づいた価値観をきちんと訴求するために、従来のクルマの開発組織から切り離された、独立した「GT-Rチーム」を作り、そのスペシャルチームが既存の概念を捨て、新しい基準や評価方法でクルマを作るという手法を用いました。それと同じにおいを、ドライバーズシートに座って走り始めた瞬間、「ん? これは!」と感じたのです。

オーナーの方には申し訳ないのですが、i3は「日産リーフ」や「三菱i-MiEV」といったEVとは次元がまったく違います。リーフやi-MiEVは、残念ながら今あるクルマの枠組みの中で、EVのパーツをはめ込んだだけ。極論すれば、ベース車からエンジンとガソリンタンクを外して、その代わりにモーターとバッテリーを載せたクルマです。通常のモデルラインナップに、EVというバリエーションを単に加えたにすぎず、「EVとは何なのか?」という本質的な問いには、まだ何も答えていないように思えるのです。(つづく)

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(語り=水野和敏/まとめ=青木禎之<Office Henschel>/写真=小林俊樹、BMW)

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