MINIクーパー(FF/6AT)
マニア心がそそられる 2014.06.11 試乗記 いまやBMWにとって欠くべからざる存在となった「MINI」が、3代目にフルモデルチェンジ。世界的な人気を誇るプレミアムコンパクトは、どのような進化を遂げたのか。売れすぎてゴメンナサイ
ローバー時代のクラシックミニを別にすれば、BMW製のMINIはある意味で、今回が初の本格的なフルモデルチェンジといっていい。
先代の2代目は初代のデビューからわずか5年で登場した。当時はまだ初代が売れに売れまくっており、「早すぎ!?」との声も聞かれた。じつは2代目へのモデルチェンジの理由は、ひとつに歩行者保護などの安全対策もあったが、最大の理由は「売れすぎたからなんです」と、当時のBMWジャパンの某氏は語っていた。
BMWは当初、MINIを「年間10万台」のニッチモデルとして、それに最適化して企画・設計・開発を行った。初代のエンジンが、わざわざ大西洋をわたってオックスフォード工場に運び込まれていたのも、当時のBMWには適切な横置き用小排気量4気筒エンジンがなく、しかし年間10万台のために新規開発するのも非効率……だったからである。
しかし、初代はBMWの予想をはるかに上回るヒット作となり、市場はまたたく間に年間20万台以上の規模にまで膨れ上がった。そうなると、年間10万台で最適化されたコンポーネントや部品の供給システム、車体設計、生産システム設計では利益が出ない。
ほとんど新旧区別がつかないほど酷似した2代目へのモデルチェンジは「年間20万台、あるいはそれ以上の規模でも、効率的に生産して適切な利益を得る」ことが主眼だった。だから売れまくっていた初代の基本パッケージも変えず、初代の魅力はほぼそのままだったが、いくつかの弱点も残っていたのだ。
というわけで、今回は正真正銘のフルモデルチェンジである。延長されたホイールベースのみならず、レイアウトはあらためてゼロから構築されており、今後出てくる「ONE」を含めて、エンジンもすべて新しいのはご承知のとおりだ。
そんな3代目は、良くも悪くも「普通化」した部分があるいっぽうで、らしさをより「先鋭化」した部分が共存したクルマである。
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