トヨタと日産の新型車に地元メディアも注目【デトロイトショー2015】

2015.01.19 自動車ニュース
新型「日産タイタンXD」
新型「日産タイタンXD」

【デトロイトショー2015】トヨタと日産の新型車に地元メディアも注目

日本勢がいまだに切り崩せないでいる米国のライトトラック市場に、トヨタと日産が新型のピックアップトラックを投入した。燃料電池車(FCV)のお披露目も含め、アメリカのメディアは日本勢の出展内容をどのようにとらえていたのだろうか。

新型「タイタンXD」の発表会においてスピーチに立つ、日産のカルロス・ゴーンCEO。「タイタン」は日産が北米で販売しているフルサイズピックアップトラックであり、今回のフルモデルチェンジにともない、車名が「タイタンXD」に変更された。
新型「タイタンXD」の発表会においてスピーチに立つ、日産のカルロス・ゴーンCEO。「タイタン」は日産が北米で販売しているフルサイズピックアップトラックであり、今回のフルモデルチェンジにともない、車名が「タイタンXD」に変更された。

■日本勢にとって最大の難関

アメリカの新車販売のうち、55%がいわゆる「ライトトラック」、すなわちピックアップトラックやSUVなどによって占められている。つまりセダンやコンパクトといった乗用車販売の比率は45%ということになる。その乗用車販売の上位を占めるのが「トヨタ・カムリ」や「ホンダ・アコード」などの日本車。パッセンジャーカーのベストセラーはここ数年カムリ、それ以前はアコードで、長らくデトロイトスリーのモデルに付け入る隙を与えていない。裏を返せば、日本のメーカーにとってはライトトラック市場の切り崩しが最大の難関なのである。

とはいうものの、絶対的王者ともいえる「フォードFシリーズ」はもう40年近くもベストセラーの座を守り続けているから、これに追いつこうというのは並大抵のことでは無理。むしろ日本メーカーにしてみれば、果たして市場の何%を得られるかというレベルの問題だった。今回のショーで、トヨタと日産はそれぞれピックアップトラックのフルモデルチェンジを断行した。トヨタは「タコマ」というミドルサイズのトラックを、そして日産はフルサイズの「タイタン」をである。どちらも北米メディアで、今回のショーの目玉として取り上げられる重要なモデルである。

本文中の「ライトデューティー」とは「フォードF-150」や「シボレー・シルバラード1500」などが属する、最大積載重量500kgクラスのピックアップトラック、「ヘビーデューティー」とは、より最大積載重量の大きな、大型のピックアップトラックをさす。
本文中の「ライトデューティー」とは「フォードF-150」や「シボレー・シルバラード1500」などが属する、最大積載重量500kgクラスのピックアップトラック、「ヘビーデューティー」とは、より最大積載重量の大きな、大型のピックアップトラックをさす。
新型「タイタンXD」のディーゼルエンジンは、競合メーカーがヘビーデューティートラックに採用しているカミンズ社のもの。ライバルの顧客を奪おうという、日産の積極的な姿勢がうかがえる。
新型「タイタンXD」のディーゼルエンジンは、競合メーカーがヘビーデューティートラックに採用しているカミンズ社のもの。ライバルの顧客を奪おうという、日産の積極的な姿勢がうかがえる。
新型「トヨタ・タコマ」。タコマはここ10年ほど、ミドルサイズトラック市場のベストセラーに君臨していた。
新型「トヨタ・タコマ」。タコマはここ10年ほど、ミドルサイズトラック市場のベストセラーに君臨していた。

■攻めの日産、試練のトヨタ

今回新たに「タイタンXD」と名付けられた日産の新型ピックアップトラックの見どころは、5リッターV8ディーゼルエンジンの搭載にある。発表に際し、同社CEOのカルロス・ゴーン氏は、アメリカでは年間200万台のピックアップが販売され、このうちの4分の1がヘビーデューティーと呼ばれるカテゴリーであること、そしてその多くはディーゼルエンジン搭載車であることを明かした。ところが、毎年7万5000人ものヘビーデューティーユーザーがライトデューティーに乗り換えている現実がある中で、ライトデューティーには彼らが慣れ親しんだ大排気量ディーゼルの設定がなかったのだ。そこで日産はニューモデルを開発するに当たり、ディーゼルエンジンの設定を最重視したのである。

それだけではない。タイタンXDは2種類のシャシーサイズに3種のトラックベッド(荷台)サイズを用意し、また初のV6ガソリンエンジンを設定するなど、初代とは比べ物にならないほどに力が入ったモデルとなっている。そして目玉の5リッターV8ディーゼルユニットは、なんと「ラム」(クライスラーのフルサイズピックアップトラック)のヘビーデューティートラックにエンジンを提供している、米カミンズ製なのだ。こうした積極的な姿勢も相まって、タイタンXDは北米メディアに「ことによるとゲームチェンジャーになる可能性を秘めている」と言わせるほどのポテンシャルを持っているのである。

一方、新たに3.5リッターV6直噴エンジンを設定するなどして商品力を高めてきた新型トヨタ・タコマだが、このクルマが投入されるミドルサイズピックアップトラック市場は風雲急を告げている。実は先代タコマは、デトロイトスリーの全てが一時的に市場から撤退したこともあり、まさにわが世の春を謳歌(おうか)していたのだ。ところが昨年、突如としてゼネラル・モーターズがミドルサイズにニューモデルの新型「シボレー・コロラド/GMCキャニオン」を投入。強力なライバルの出現に、安穏としていられない状況下でのフルモデルチェンジとなったのだ。ミドルサイズトラック市場は今年、激戦区になることが予想される。

今回のショーでは特に新型車などのお披露目はなかったマツダだが、「MX-5ミアータ」のまわりには、常に人だかりができていた。
今回のショーでは特に新型車などのお披露目はなかったマツダだが、「MX-5ミアータ」のまわりには、常に人だかりができていた。
「インフィニティQ60コンセプト」(写真=日産自動車)
「インフィニティQ60コンセプト」(写真=日産自動車)

■燃料電池車に対する関心は……

今回のショーにおいて、プレスカンファレンスを開いた日本メーカーはトヨタ、日産、ホンダ、およびその高級車ブランドたるレクサス、インフィニティ、アキュラの6ブランド。マツダもスバルもプレカンは開催せず。そして三菱はブースの設定すらない。つまりデトロイトショーから撤退していたのである。というわけで、先に挙げた3メーカーを除く日本勢はおとなしいものだった。それでもマツダは2014年11月のLAショーで公開したばかりの「CX-3」が注目を集めており、またアメリカで根強い人気を誇る「MX-5ミアータ(日本名:ロードスター)」のブースには常に人だかりができていたが、スバルは既存モデルの展示だけだったからか、プレスデイでは閑古鳥が鳴いていた。

パッセンジャーモデルのワールドプレミア(世界初公開)に目を向けると、レクサスが「GS F」、インフィニティが「Q50」のクーペ版ともいえる「Q60コンセプト」を発表した。ほかにもトヨタは水素燃料電池車の「ミライ」を、ホンダは同じく「FCVコンセプト」を展示していたが、どちらも地元メディアの興味を引いていたとは言い難かった。どうにもアメリカ人は、未知のものに対するアレルギーが強いと感じられる。とはいうものの、今回のショーには政府が後押しをする研究機関が作った、3Dプリンターでボディーとシャシーが製作されたクルマなども展示されており、動力機関のみならず、クルマの作り方そのものにも大きな変革が起きると感じさせられたことも確かである。

(文と写真=中村孝仁)

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