第305回:ホンダの歩行訓練機器「Honda 歩行アシスト」を体験

2015.07.24 エッセイ
Honda 歩行アシスト
Honda 歩行アシスト

本田技研工業が、ヒューマノイドロボット「ASIMO」で培った歩行理論をもとに研究・開発した歩行訓練機器「Honda 歩行アシスト」。その発表体験会に、ノンフィクションライター矢貫 隆が参加した。

「Honda 歩行アシスト」は腰フレーム、モーター、大腿フレームの3つで構成されている。腰フレームの背中部分には制御コンピューターとバッテリーが収まる。重量は約2.7kg(バッテリーを含む)、モーターの出力は最大トルク4Nm。バッテリー(リチウムイオン電池、22.2V-1Ah)は、一充電で約60分稼働する。
「Honda 歩行アシスト」は腰フレーム、モーター、大腿フレームの3つで構成されている。腰フレームの背中部分には制御コンピューターとバッテリーが収まる。重量は約2.7kg(バッテリーを含む)、モーターの出力は最大トルク4Nm。バッテリー(リチウムイオン電池、22.2V-1Ah)は、一充電で約60分稼働する。
共同研究者である京都大学大学院医学研究科の大畑光司博士は「脳卒中などの麻痺患者に対するリハビリテーションで最も大事なのは下肢訓練の量を多くすることであり、足を使う機会を与えることが歩行能力の改善につながる」と解説。「Honda 歩行アシスト」は、その、歩行という運動学習を促進するものだと語った。
共同研究者である京都大学大学院医学研究科の大畑光司博士は「脳卒中などの麻痺患者に対するリハビリテーションで最も大事なのは下肢訓練の量を多くすることであり、足を使う機会を与えることが歩行能力の改善につながる」と解説。「Honda 歩行アシスト」は、その、歩行という運動学習を促進するものだと語った。
写真右から、本田技研工業 取締役 執行役員 汎用パワープロダクツ事業本部長 五十嵐雅行氏、共同研究者の京都大学大学院医学研究科 博士 大畑光司氏、本田技研工業 汎用パワープロダクツ事業本部 歩行アシスト推進ブロック 開発責任者 伊藤寿弘氏。
写真右から、本田技研工業 取締役 執行役員 汎用パワープロダクツ事業本部長 五十嵐雅行氏、共同研究者の京都大学大学院医学研究科 博士 大畑光司氏、本田技研工業 汎用パワープロダクツ事業本部 歩行アシスト推進ブロック 開発責任者 伊藤寿弘氏。

新鮮な体験

なに、これ!?

Honda 歩行アシスト(以下、歩行アシスト)を装着して歩きだした瞬間、思わず口を突いてでた言葉だった。

すごいね、これ。

歩行アシストは歩行訓練の必要がある人のための装置ではあるけれど、健常者が使用してもエネルギー効率に明らかな改善が起こると確かめられているという。最大速度で歩いても、あるいは快適速度で歩いても酸素消費、心拍が下るというのだ。その数値は実感できないにしても、これを装着して歩く感覚は、とにかく新鮮だった。

ふ~ん、ASIMOの技術って、こんなふうにも使われてもいるんだなァ……。

感心しきりの私だったが、次の瞬間、唐突に朝野礼子の言葉が浮かんできた。
朝野礼子というのは、つい最近、四十数年ぶりのクラス会で再会した中学校時代の同級生である。アイドルタレント顔負けの美少女だった朝野礼子。世間が「ババア」と呼ぶ年齢になったいまも、私の目に映る彼女は、卒業式の日に笑顔で手を振っていた15歳のかれんな少女のままであり、私の永遠のアイドルでもある。

「思い切って言うわ……」
「やぬき君、私……」
「私、膝が痛いの」
「膝が痛くて歩くの大変なの」

コンドロイチンもヒアルロン酸も私の膝を助けてくれないと、消え入りそうな声でつぶやいた朝野礼子、加齢って容赦がないのよ、と悟ったように言う朝野礼子。こう続けた。

「歩行アシストって、な~に?」――と。

歩行アシストの発表会が実施されたのは、歩くのに難儀している朝野礼子の打ち明け話を聞いた数日後のこと。秩父宮ラグビー場のとなり、北青山のTEPIA 先端技術館で、だった。

ホンダが、ASIMOにも応用されている歩行理論(=倒立振子モデルという二足歩行理論)をもとに1999年から研究を続けてきた歩行アシスト。すでに2年前から全国50ほどの病院・施設で実験的に使われていたが、病院やリハビリテーション施設を対象に、2015年11月からリース販売を開始することになり、それに先駆けての発表会である。

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