「水野和敏的視点」 vol.113 メルセデスAMG GT S(後編)

2015.08.14 mobileCG

「水野和敏的視点」 vol.113 メルセデスAMG GT S(後編)

R35型「日産GT-R」の生みの親、育ての親であるだけでなく、レース界での活躍やセダンの進化への貢献など、自動車の世界で数々の成果を上げてきた水野和敏氏。そんな氏が歯に衣を着せず、本音でクルマを語り尽くす『mobileCG』の特集「水野和敏的視点」。前回に続き、今回も「メルセデスAMG GT」に試乗する。

 
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メルセデスAMG GT S
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4550×1940×1290mm/ホイールベース:2630mm/車重:1670kg/駆動方式:FR/エンジン:4リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ/トランスミッション:7AT/最高出力:510ps/6250rpm/最大トルク:66.3kgm/1750-4750rpm/タイヤ:(前)265/35ZR19 (後)295/30ZR20/車両本体価格:1840万円
メルセデスAMG GT S
	ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4550×1940×1290mm/ホイールベース:2630mm/車重:1670kg/駆動方式:FR/エンジン:4リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ/トランスミッション:7AT/最高出力:510ps/6250rpm/最大トルク:66.3kgm/1750-4750rpm/タイヤ:(前)265/35ZR19 (後)295/30ZR20/車両本体価格:1840万円 拡大

■中身はかくも贅沢

メルセデスAMG GT(以下、AMG GT)に対する私の第一印象は、「ユーザーが持つ高級スポーツカーイメージを優先している」というものでした。しかし、ボンネットを開けてエンジンルームのチェックを始めると、その思いは徐々に変わらざるを得ませんでした。「中身はきちんと、必要な技術を投入して作られているスポーツカー」という側面に気づいたからです。

ボディーのフロント部にはさまざまなメンバーが通され、サブフレームと言ってもいいくらいの、車体の補剛(ほごう)構造まで作ってボディーのねじり剛性を確保しています。サポート用のバーが多用され、言うなれば3次元的に剛性を向上させています。もちろん、左右ストラットの間には、途中の変形をきちんと防止したクロスメンバーが渡され、V8エンジンはまるでその間を“縫う”かのように搭載されています。メルセデスはAMG GTのボディーを「スペースフレーム構造」と称していますが、なるほど、納得です。

少し付け加えて説明すると、スペースフレーム構造とは、アルミや鋼管で造った3次元のフレーム構造体のパイプ部分にボディーパネルを張って造り上げた車体構造で、カーボンコンポジット製のモノコックが出てくる以前に、レーシングカーなどに使われていました。

これを造り上げるには「パイプ溶接などにより、パイプ本体や継ぎ手部分に生じる、熱変形をうまく分散させながら製造する」などの特殊な、そして高度な製造技術が要求されます。

エンジンルームの例でいうと、通常のモノコックボディーなら、ストラットの荷重は、車体下部に設けられるサイドメンバーとストラット上部に配置されるアッパーメンバーで支えられるのですが、AMG GTにはアッパーメンバーはなく、精密に造られた3次元のフレーム構造により、ストラットから入るフロントタイヤの荷重を支えています。高額なクルマだからこそ許される贅沢(ぜいたく)な作りです。モノコックボディーが当たり前の時代に、本当に興味深いことをしますね!(づつく)

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(語り=水野和敏/まとめ=青木禎之<Office Henschel>/写真=小林俊樹)

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