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【スペック】全長×全幅×全高=3980×1695×1490mm/ホイールベース=2510mm/車重=1035kg/駆動方式=FF/1.5リッター直4DOHC16バルブ(109ps/6000rpm、14.1kgm/4400rpm)/価格=189万円(テスト車=236万2500円)

トヨタ・ヴィッツRS G's(FF/5MT)【試乗記】

乗るほどにジンワリと 2011.11.22 試乗記 トヨタ・ヴィッツRS G's(FF/5MT)
……236万2500円

スポーツコンバージョンシリーズ「G SPORTS(G's)」の第2弾となる「ヴィッツRS G's」。5MTモデルを駆って、その実力を確かめた。

ハンサムからノッペリへ

「今日はこのクルマで宮城まで行ってもらいますから」と『webCG』編集部のTさん。目の前にうずくまっているクルマは「トヨタ・ヴィッツRS G's」。ヴィッツのスポーティーグレード「RS」を、「GAZOO Racing」がチューンしたコンバージョンモデルである。「CONTROL AS YOU LIKE 〜 意のままに操る喜びを」と、どこかで聞いたようなフレーズが、G'sヴィッツのカタログには躍る。

今回のスペシャルなヴィッツは、専用サスペンションのため車高が約10mm落ち、その分、タイヤとホイールアーチの隙間が詰まってなかなかアグレッシブだ。ボディー側面下部の、赤と黒のストライプが勇ましい。「TOYOTA G SPORTS」と、説明付きの「G's」ロゴステッカーがほほ笑ましい。リアにまわると、ディフューザー調の専用大型バンパーが目をひく。センターにはF1っぽく(!?)ブレーキランプが装備され、マフラーエンドをシルバーの円筒が飾る。

2010年の末にフルモデルチェンジを果たし、すっかりハンサムになった3代目ヴィッツ。そのチューンドモデル、G'sの顔はというと……アララ、なんだかノッペリしている。ノーズから、見慣れたトヨタの楕円マークが外されている。丸みを帯びてツルツルした先端を見ながら、「オイオイ、鼻をドコに置いてきたんだい?」と、こっちはすっかりゴーゴリの気分である。シルクハットをかぶったトヨタマークがスタコラサッサと逃げて行く後ろから、G'sヴィッツがビューンと追いかけていく……とくだらない想像をしたところで、「意外とハナシのネタになるんじゃないですか」とTさんの声。それでは、と言ってそのまま運転席に乗り込んだので、まずは後席チェックからスタートである。

205/45R17サイズのブリヂストン・ポテンザRE050タイヤを装着する。10本スポークの専用ホイールには、標準品の他にレッドライン仕様(写真)がある。
205/45R17サイズのブリヂストン・ポテンザRE050タイヤを装着する。10本スポークの専用ホイールには、標準品の他にレッドライン仕様(写真)がある。 拡大
ボディー下端のG'sストライプは1万7850円(1台分)のオプション。ストライプは赤と銀、ロゴは黒と銀から選択できる。
ボディー下端のG'sストライプは1万7850円(1台分)のオプション。ストライプは赤と銀、ロゴは黒と銀から選択できる。 拡大
テスト車は5段MT仕様。CVT仕様も選べる。
テスト車は5段MT仕様。CVT仕様も選べる。 拡大
車体後部からフロア下をのぞく。ディフューザー調の大型リアバンパーとマフラーエンドはヴィッツG'sの専用品。赤いスプリングが装着されるサスペンションは専用チューンが施される。
車体後部からフロア下をのぞく。ディフューザー調の大型リアバンパーとマフラーエンドはヴィッツG'sの専用品。赤いスプリングが装着されるサスペンションは専用チューンが施される。 拡大
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ハードな味わい

後席に座る。シート地には、G's専用スエード調ファブリックが使われるが、いっぽう、後ろを振り返ると、荷室を隠すパーセルシェルフ(仕切り)が省略されている。トランクに収められたカメラマンの機材がそのまま視界に入ってくる。コンバージョンモデルとして、割り切りがいいのか悪いのか判然としない仕様である。

リアシートの座面はやや低く、シートクッションの前後長は短め。膝前と頭上のスペースは十分確保されている。ノーマルヴィッツなら、「言うまでもなくロングツーリングより、街乗りでの家族や知人の送迎が主要用途だろう」と説明するところだが、G'sヴィッツの場合はどうだろう? サーキットでの走行会に参加する際は、きっと背もたれが倒されて、トランクのスペースとつなげてハイグリップタイヤが積まれることだろう。

ちなみに、カタログ上は5人乗りになっているが、センターにはヘッドレストがないので、実際に3人を後ろに座らせるのは、はばかられる。

いざ走り始めると、予想はしていたが、乗り心地は硬い。G's専用チューニングサスペンションが組まれたアシは、快適とは言いがたい。路面に段差があるとちょっと驚くような入力がある。そんな風にオシリからの苦情を頭のなかでメモしていたのだが、いつのまにかウトウトしていた。人間とは、順応するものである。

蓮田サービスエリアで、ハンドルを握らせてもらう。ドライバーズシートには、後席同様、専用スエード表皮が用いられる。こちらは赤いステッチ入りだ。「スポーツシート」な外観とはうらはらに当たりが柔らかい、静的には座り心地のいいシートである。座面の横にはG'sの刺しゅうが施されるから、ドアを開けて横から見たスペシャルヴィッツは、前後ホイールのセンター部、フェンダーのバッジ、後部ドア下のステッカー、シートクッション横、そしてフロアマットと、G'sマークの洪水である。

ノーマルヴィッツに比べてボディ剛性が高められているのもG'sならではのポイント。アンダーフロアのロッカー部が「スポット増し」されているほか、フロア前部にパフォーマンスロッドが横方向に装着されている。
ノーマルヴィッツに比べてボディ剛性が高められているのもG'sならではのポイント。アンダーフロアのロッカー部が「スポット増し」されているほか、フロア前部にパフォーマンスロッドが横方向に装着されている。 拡大
運転席まわりでは、インパネパッドがカーボン調に、ABCペダルがアルミ製になる。ステアリングも赤いステッチが施された専用品である。
運転席まわりでは、インパネパッドがカーボン調に、ABCペダルがアルミ製になる。ステアリングも赤いステッチが施された専用品である。 拡大
フロントシートも専用品。表皮にはスエード素材が用いられ、側面にはG'sの刺しゅうが入る。
フロントシートも専用品。表皮にはスエード素材が用いられ、側面にはG'sの刺しゅうが入る。 拡大
リアシートにもスエード調の表皮が用いられている。
リアシートにもスエード調の表皮が用いられている。 拡大

団塊か若者か?

軽いクラッチペダルを踏んで、走り始める。と、Gの字ヴィッツ、遅いよ……というのはGスポーツ・ヴィッツにとって酷なハナシで、「意のままに操る」ためか、TRDとのすみ分けか、はたまた開発予算の都合もあってか、ヴィッツRS G'sのエンジンは、ノーマルの1.5リッター直4のままである。最高出力109ps/6000rpm、最大トルク14.1kgm/4400rpm。いかな手こぎの5段MTが組み合わされているとはいえ、大人3人プラス撮影機材を積んでの加速としては、妥当なものだろう。

相対的に美点として際立ったのが、高速走行時の直進安定性。誤解を恐れずに述べると、G'sのコンパクトハッチは、あたかもジャーマンセダンのようにビシッと一直線に走ってゆく。後席では気になったアシの硬さも、ひとたびハンドルを握ってしまえばさほど気にならない……かと思ったが、やはり「硬すぎ」の感は否めない。感心したのが、ボディーの剛性感の高さで、唐突に入力される路面からの衝撃をミシリともいわずに跳ね返す。レースカーさながらに、底面に「溶接スポット増し」されているのが効いているに違いない。フロントには、ハンドリング向上のため、さらにパフォーマンスロッドが装着されている。

柿の木の下で撮影されるヴィッツRS G'sを眺めながら、「誰がためのチューンドモデルぞ?」と考えていた。若いころに腕を鳴らした団塊世代には、乗り心地がハードに過ぎるだろう。長く乗っていると、腰に来そうだ。トヨタがなんとか取り込みたい若者には、もっと質素に徹したほうがよかったかもしれない。2011年12月に販売が開始される予定のワンメイクレース用モデル「RS Racing」の、街乗りバージョン? それは、あり、かも。でも、ワンメイクレースやっている人たちは、お金、ないですからねぇ……。

撮影が終わって、再びクルマに乗り込む。ツルン! とした顔つきも、見慣れると愛嬌(あいきょう)があって憎めない。すこしなじんできたRS G'sを運転しながら、相変わらずオーナー像は見えてこないけれど、でも、「意外とハナシのネタになる」とは思っていた。

(文=青木禎之/写真=小河原認)

ノーマルのヴィッツとはまたひと味違った「顔つき」を持つヴィッツRS G's。フロントグリルにはフォグランプの他、LEDの「イルミネーションビーム」が配置される。
ノーマルのヴィッツとはまたひと味違った「顔つき」を持つヴィッツRS G's。フロントグリルにはフォグランプの他、LEDの「イルミネーションビーム」が配置される。 拡大
1.5リッター直4(1NZ-FE型)エンジンは、ノーマルヴィッツと同じ109psと14.1kgmを発生する。
1.5リッター直4(1NZ-FE型)エンジンは、ノーマルヴィッツと同じ109psと14.1kgmを発生する。
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大型のリアバンパーが採用されて安定感が増したリアビュー。迫力も備わった。リアコンビネーションランプもG's仕様の専用品。
大型のリアバンパーが採用されて安定感が増したリアビュー。迫力も備わった。リアコンビネーションランプもG's仕様の専用品。 拡大
【テスト車のオプション装備】
205/45R17タイヤ<ブリヂストンPOTENZA RE050>&7J G's専用アルミホイール<赤ライン仕様>=1万7850円/ブレーキパッド<フロント・リア>G's専用スポーツ仕様=1万8900円/ヘリカルLSD=3万1500円/ボディカラー<ホワイトパールクリスタルシャイン>=3万1500円/ナビゲーション=32万9700円/ETC=2万5200円/レッドストライプ×ブラックロゴ=1万7850円
【テスト車のオプション装備】
205/45R17タイヤ<ブリヂストンPOTENZA RE050>&7J G's専用アルミホイール<赤ライン仕様>=1万7850円/ブレーキパッド<フロント・リア>G's専用スポーツ仕様=1万8900円/ヘリカルLSD=3万1500円/ボディカラー<ホワイトパールクリスタルシャイン>=3万1500円/ナビゲーション=32万9700円/ETC=2万5200円/レッドストライプ×ブラックロゴ=1万7850円 拡大

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