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【スペック】全長×全幅×全高=4050×1740×1525mm/ホイールベース=2525mm/車重=1220kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブ(115ps/6000rpm、15.8kgm/4000rpm)/価格=198万円(テスト車=同じ)

シボレー・ソニック LT(FF/6AT)【試乗記】

個性的なアメリカンコンパクト 2011.11.20 試乗記 シボレー・ソニック LT(FF/6AT)
……198万円

シボレーブランドの新しい5ドアハッチバック「ソニック」が日本に導入された。GMが“ワイルド・コンパクト”とうたう新型はどんなクルマ? 早速試乗した。

シボレーは永久に不滅です

GMが誕生した頃の話を少しだけ。シボレーはGMのブランドのひとつだが、もともとは別の会社だった。GMは創設者のウィリアム・C・デュラントが1908年にビュイックを買収して自動車製造に乗り出した会社。その後もオールズモビルやキャデラックなど、次々に自動車メーカーを買収し、世界最大の自動車メーカーとして君臨した。ただし、デュラントはGM創設の2年後、銀行団から融資を受ける代わりに経営権を失う。

彼が再びGMの経営者に返り咲くべく画策したのがシボレーの買収だった。軽快で安価なクルマを試作したフランス人のルイ・シボレーを支援し、1911年にシボレー社を設立、次々にヒット作を飛ばした。しばらくしてデュラントは市場で人気を得たシボレー株とGM株を交換すると宣言。シボレー株を手に入れようと彼の前にGMの株主が殺到し、デュラントはGMのトップに返り咲いた。山崎清の著書『GM−巨大企業の経営戦略』(1969年中央公論社)にそう書いてあった。

その後、大きな不況がやってきて、彼は再び失墜するのだが、それはいいとして、ようするにシボレーは、歴史あるブランドを多々所有してきたGMにとっても、特に大事なブランドなのだ。それが証拠に、2009年に経営破綻した前後、他の自動車メーカーの株を次々と手放し、資本提携を解消し、自らのブランドをいくつも廃止したが、ビュイック、キャデラック、それにシボレーだけは何があっても手放さなかった。


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運転席は6ウェイ、助手席には4ウェイの調整機能が付いたクロス張りのシート。シートカラーは「ジェットブラック」のみの設定となる。
運転席は6ウェイ、助手席には4ウェイの調整機能が付いたクロス張りのシート。シートカラーは「ジェットブラック」のみの設定となる。 拡大
テールライトは丸型4灯となり、フロントのデザインと足並みをそろえている。リアのドアハンドルはCピラーに組み込んだデザインを採用し、一瞬3ドアハッチバックのようにも見える。
テールライトは丸型4灯となり、フロントのデザインと足並みをそろえている。リアのドアハンドルはCピラーに組み込んだデザインを採用し、一瞬3ドアハッチバックのようにも見える。 拡大

実用車として根はマジメ

レンジエクステンダー式電気自動車の「シボレー・ボルト」を開発し、コンパクトカーに力を入れるなど、時代を見据えたクルマづくりが目立つ新生GM。グループの韓国GM(かつてのデーウ)を中心に共同開発し、世界6工場で生産、60カ国以上で販売するのが、今回日本に入ってきた「シボレー・ソニック」だ。

特徴はルックス。上下2分割されたフロントグリルと、その真ん中にボウタイ(蝶ネクタイ)エンブレムを頂くシボレーのお約束を守り、さらにその両脇にクリアカバーのないむき出しの4灯ヘッドランプを配置して、なかなかにワイルドな印象。フロントナンバーを付けなくてもよければ、もっとカッコいいのにな。フロントに比べるとリアのスタイルは素っ気ないが、4灯のコンビランプを置いてフロントと同じイメージをつくっている。TVCMで「ワイルド・コンパクト……価格はマイルド」とかやらなければ、もっとワイルドなイメージを保つことができたかもしれない。

コンパクトを名乗るが、全長×全幅×全高=4050×1740×1525mm、そしてホイールベースは2525mmと、「トヨタ・ヴィッツ」や「ホンダ・フィット」などの国産コンパクトよりもひと回り大きい。そうだな、サイズはちょっと背の高い「プジョー207」と思ってもらうのがちょうどいいかもしれない。

外観の大きさの割には室内が狭いというのがアメリカ車の常だが、GMの最新世界戦略車は違う。ラゲッジルームを含め国産コンパクト同様の広さを確保しているから、子供に助手席を取られちゃって、後席に住民票のある奥さまからも不満は出ないはず。小物入れもあちこちに用意される。変わった形のデジアナメーター(速度がデジタル、エンジン回転がアナログ)は買ってからしばらくは楽しいかもしれない。視認性は悪くないから飽きても大丈夫。

クリアカバーがないむき出しの丸型4灯ヘッドライトと、上下に分割されたグリルが特徴のフロントマスク。クロスバーの中央にはシボレーのボウタイエンブレムが配置される。
クリアカバーがないむき出しの丸型4灯ヘッドライトと、上下に分割されたグリルが特徴のフロントマスク。クロスバーの中央にはシボレーのボウタイエンブレムが配置される。 拡大
円形のアナログ回転計と四角いデジタル速度計を組み合わせたメータークラスターは、バイクのモチーフを生かしたデザインという。ナビゲーションシステムはディーラーオプション。
円形のアナログ回転計と四角いデジタル速度計を組み合わせたメータークラスターは、バイクのモチーフを生かしたデザインという。ナビゲーションシステムはディーラーオプション。 拡大
リアシートは国産コンパクトに匹敵する広さを持つ。6:4分割可倒式となる。
リアシートは国産コンパクトに匹敵する広さを持つ。6:4分割可倒式となる。 拡大
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ヨーロピアンテイストな走り

派手な外観とは裏腹に、パワートレインは保守的で、直噴でもなくダウンサイジングターボでもない1.6リッターDOHCエンジン(115ps/6000rpm、15.8kgm/4000rpm)と6段ATの組み合わせ。10・15モード燃費は11.3km/リッター。少なくとも、数値を見る限りパワーや燃費の面での訴求力は弱い。

しかし実際に運転すると、6段ATのシフトタイミングは適切で、シフトショックも少なくエンジンの力をうまく引き出しているため、ソニックは過不足なくよく走る。エコ対策として飛び道具までは望まないが、アイドリングストップ機能でもあれば、欲しいと思う人がグッと増えるのにな……ちょっと惜しい気がする。ただレギュラーガソリン仕様だから一度の給油で飛んでいくガソリン代は少ない。

感心したのは、しっかりしたボディーの造り込み。サイズから想像する以上にどっしりとした乗り味で、足まわりも含めヨーロピアンテイストがバシバシ伝わってくる。
ソニックが使う第2世代のガンマプラットフォームは、シボレーだけでなくオペルなどGMグループのFF系小型車すべてが採用する大事な車台だけに、気合が入っているのがよくわかる。ストップ・アンド・ゴーが多く、平均速度の低い日本にはもったいないほどしっかりしているのだ。大きいクルマはいらないし、飛ばすわけでもないが、高速道路をよく使うという人にはソニックはぴったりだろう。

走りにおいてどうしてもソニックじゃないと得られない特徴は見当たらなかったが、それでいて、カッコも平凡なら特筆すべきヒストリーもないというクルマが多いなか、ソニックには理屈抜きに気に入る可能性のあるルックスがある。今年誕生100周年のシボレーブランド。少しかもしれないけれど、「コルベット」と同じ血が流れている。スペックじゃなく、ルックス、ブランド、ヒストリーなどを重要視し、理詰めではなく直感的にクルマを選ぶ人にとっては、有力な選択肢ではないだろうか。

(文=塩見智/写真=荒川正幸)

荷室容量は通常時で290リッターを確保。後席を倒すことで最大690リッターまで拡大することができる。(写真をクリックするとリアシートアレンジが見られます)
荷室容量は通常時で290リッターを確保。後席を倒すことで最大690リッターまで拡大することができる。(写真をクリックするとリアシートアレンジが見られます) 拡大
1.6リッター直4エンジンは、最高出力115ps/6000rpm、最大トルク15.8kgm/4000rpmを発生。レギュラーガソリン仕様となる。
1.6リッター直4エンジンは、最高出力115ps/6000rpm、最大トルク15.8kgm/4000rpmを発生。レギュラーガソリン仕様となる。 拡大

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