東京モーターショー2015

スズキ・ソリオ ハイブリッド:合理的で美しい

2015.11.05 自動車ニュース
スズキ・ソリオ ハイブリッド
スズキ・ソリオ ハイブリッド

スズキ・ソリオ ハイブリッド:合理的で美しい

参考出品車の「ソリオ ハイブリッド」。資料にいわく「EV走行を実現する、ハイブリッドをのせて。With a new hybrid system that realises EV mode driving」。そのソリオの展示車両は見た目にほとんどただのソリオだったけど、見どころはその隣(たぶん)に置いてある物件。上屋なしで、弊社のハイブリッド関係の構成はこうなってますよ――というのをわかってもらうための。

「ソリオ ハイブリッド」の駆動系の模型。
「ソリオ ハイブリッド」の駆動系の模型。
エンジンには純ガソリン車の「ソリオ」と同じ「K12C」型が採用されている。
エンジンには純ガソリン車の「ソリオ」と同じ「K12C」型が採用されている。
モータージェネレーターはトランスミッションとファイナルドライブの間に搭載されている。
モータージェネレーターはトランスミッションとファイナルドライブの間に搭載されている。
トランスミッションにはシングルクラッチ式ATの「AGS」を採用。
トランスミッションにはシングルクラッチ式ATの「AGS」を採用。
「ソリオ ハイブリッド」のインストゥルメントパネルまわり。
「ソリオ ハイブリッド」のインストゥルメントパネルまわり。
ハイブリッドシステムの作動状態を示すパワーメーターが装備されている。
ハイブリッドシステムの作動状態を示すパワーメーターが装備されている。
荷室については、バッテリーを搭載する都合で床下収納がなくなった以外、大きな変化はない。
荷室については、バッテリーを搭載する都合で床下収納がなくなった以外、大きな変化はない。
「ソリオ ハイブリッド」のエンジンルーム。
「ソリオ ハイブリッド」のエンジンルーム。
説明員に「一見しただけだとハイブリッドとは分かりませんね」と言ったところ、「既存の車種にそのまま積めることが狙いですから」とのことだった。
説明員に「一見しただけだとハイブリッドとは分かりませんね」と言ったところ、「既存の車種にそのまま積めることが狙いですから」とのことだった。

■既存のシステムを活用した、シンプルで合理的なパワートレイン

エンジンは「デュアルジェット」の自然吸気ガソリン1.24リッター4気筒。ちょっとだけハイブリッドの「S-エネチャージ」でおなじみのISG=Integrated Starter-Generatorは、見た目にはフツーのオルタネーター。トランスミッションは「AGS」つまりシングルクラッチAMT(Automated Manual Transmissionの頭文字)。いわゆるガチャコン。でもって駆動用モーター(兼回生時のジェネレーター)は、どうやらこれ、ファイナルドライブあたりに直結……ということで、よろしいでしょうか。「はい」(説明員談)。ほほー。ファイナルドライブに直結とはつまり、トランスミッションの先でデフの手前。

ということでこれ、高度にアドオン系。パワートレインの核になっているのはフツーのガソリンエンジン+フツーのMT。そのMTにクラッチとシフトフォークを自動で切ったりつないだり動かしたりするためのメカトロ系をアドオンすると2ペダル・ドライブになって、さらにそこへモータージェネレーターその他をアドオンしてハイブリッド。実にこう、なんていうか……スズキらしい。既存のシステムをガッチリ活用しつつ、最小限の改変で。「アッタマイー!!」だし、美しい。

このテでありがちなケースとしては、例えばエンジンとトランスミッションの間にクラッチ1+モータージェネレーター+クラッチ2を挟み込む。クラッチ1は、EV走行中はディスエンゲージ状態。EV走行状態からのエンジン再始動にあたっては、そのクラッチをエンゲージしつつモータージェネレーターでクランキングして……ということになりますね。はい。

翻ってスズキ式のこのハイブリッドの場合、クラッチはフツーの位置に1個というか1セットのみ。エンジンとトランスミッションの間に電気モーターはなし。いっちゃえば、フツーのMTのパワートレインと同じ。で、EV走行中はクラッチをディスエンゲージ。そこからのエンジン再始動にあたっては、フツーに考えてISGが仕事をする(はず)。オルタネーターをスターターモーターとして使ってベルト経由でクランキングしてエンジンに火が入って、必要なレベルまで回転数が上がったところでクラッチをエンゲージしてやればOK。しつこいようですが、フツーの内燃機関+MTのパワートレインにのっけのっけでフルないしヘビーのハイブリッド動力機関が成立。

このシステムがすごくイイのは、アタリマエだけどCVTじゃないところ。電気モノもふくめたCVT系特有のルーズな駆動フィールと速度管理のやりにくさは最近の日本車の多くまたはほとんどが抱えている重篤な持病(しかも治る見込みほとんどゼロ)で、スズキのハイブリッドならそれとカンケーないダイレクトな駆動フィールになる……はず。やはり、フツーに考えて。わざわざハイブリッドになんてしなくても、マトモなフツーのエンジンとフツーのMTがあればいい。いいんだけど、なにしろここは日本。MTそれはスポーティー(笑)。クルマ好きの愛玩物。ノット実用品。なんだかなー。

それと、AGS関係。シングルクラッチAMT物件というとモータージャーナリストが得意になって書きたてる例の“失速感”、トルク切れは、電気モーターのアシストでいよいよもってモンダイではなくなる……ことが期待できますね。はい。なにもゼロにしなくたって、乗っていて気にならない程度にちょこっと駆動を足してやればいい。で、そこがモンダイでなくなってしまえばあとは……という。AGS、機構はシンプルだしメカタは軽いしトルク伝達効率は高いし、イイことばかり。イッキに形成逆転。たたみかけるように。よくわかりませんが、マージャン用語でいう裏ドラ系?

おそらくリチウムイオンのタイプだと思われるハイブリッド用二次電池、電力容量が何kWhとかの数字は「すいません、まだいえません」。ですよね(笑)。でもというか、スペアタイヤ収納用のへこみにスッポリおさまっているのはナルホド。隠し収納はなくなるけど、パッと見の荷室容量は「おんなじですよ」と。はい。

初代「トヨタ・プリウス」が出てからはや、18年(ぐらい?)。前世紀末ならいざ知らず、2015年の日本のクルマの世界においてハイブリッド車は全然、フツーである。フツーというか、ありふれている。もっといえばハイブリッドは本来、動力機関のなかのいちオプション的存在でしかない。ハイブリッドなしではそもそも製品企画がまったく成立しないようなクルマはだからもはや少々滑稽ですらあると個人的には考えているけど(もちろん、そんなのが売れてるからやるんだというのもわかるけど)、そういうことでいってもソリオのハイブリッドはフツーでよろしい。

(文=森 慶太/写真=webCG)
 

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