BMW 740i(FR/8AT)

運転席が特等席 2015.11.25 試乗記 新機軸を満載して攻めの姿勢を見せる新型「BMW 7シリーズ」。果たして「駆けぬける歓び」は守れたのだろうか。ラインナップで最もベーシックな位置付けの「740i」に試乗した。

足どりが軽い

スタイリングの変化が表面的には穏やかに見える新型7シリーズは、どちらかといえば守りのモデルチェンジと感じられるかもしれない。しかしクルマは見た目によらぬもの。これは攻め、それもかなり果敢に攻めている。

この新型には、まずボディーの骨格にスチールとアルミだけでなくカーボンファイバー強化樹脂が使用されている。これによりボディーの重量は先代モデルと比較して130kgも軽くなったという。またヘッドライトのハイビームにレーザーが採用され、「750i」で標準装備、740iでオプション設定となる。さらにオーディオや電話など車載の情報機器の操作手段としていわゆるジェスチャー入力が取り入れられている。さらには車外からリモコンで駐車させる機能なんていうのも2016年に導入される予定だ。

実際に740iのステアリングを握ってみると、足どりが軽いことがすぐにわかる。740iの車重は標準状態で1880kg、今回試乗した車両には電動ガラスサンルーフと「リヤ・コンフォート・シート」が備わるために1930kgと絶対的には決して軽量ではないのだが、操舵(そうだ)に対するフットワークは全長5m超、車重約2トンのクルマとは思えぬほど軽快だ。さらに走行モード切り替えを「スポーツ」にすれば足まわりが一段と引き締まり、ノーズはすっすっと平行移動するかのごとく右へ左へ、テンポよく向きを変える。

新型ではサスペンションが前後とも、標準でエアサスとなる。またステレオカメラで前方の路面をスキャンしてサスペンションの制御に役立てる「エグゼクティブ・ドライブ・プロ」なるシステムも備わっている。切れのいいハンドリングを維持しつつ、乗り心地が終始しなやかで快適なことから察して、これら新機軸が相当巧みに車両をコントロールしていることは想像に難くない。しかしそれ以前に、クルマの重量バランスが根本的に良くないと、これだけの重量車でこういった生来の身軽さみたいなものはなかなか出てこないのではないだろうか。

3リッター直6エンジンは従来型(N55B30A)から、「340i」にも搭載されている新世代のモジュラーユニット(B58B30A)に換装された。わずか1380rpmで45.9kgmのピークトルクに達する設定だから、回さなくてもほとんどの場面で事足りてしまうし、あえて高回転まで引っ張ればストレートシックスならではの、芯の出た回転フィールと独特のサウンドが味わえる。もちろん十分以上の速さも備えている。

740iに限るなら、その魅力を最大限に味わえる特等席はおそらく運転席である。これだけ素性のいいドライバーズセダンのステアリングを握らず後席に乗ってばかりだとするなら、それはとてももったいない話であるように思うのだ。

(文=webCG 竹下元太郎/写真=小河原認)

【スペック】
全長×全幅×全高=5110×1900×1480mm/ホイールベース=3070mm/車重=1930kg/駆動方式=FR/エンジン=3リッター直6 DOHC 24バルブ ターボ(326ps/5500rpm、45.9kgm/1380-5000rpm)/トランスミッション=8AT/燃費=12.2km/リッター(JC08モード)/価格=1217万円

インパネは旧型同様、水平基調のデザインを採用。中央に「ジェスチャー・コントロール」が可能な10.2インチの液晶モニターが備わる。
インパネは旧型同様、水平基調のデザインを採用。中央に「ジェスチャー・コントロール」が可能な10.2インチの液晶モニターが備わる。
カーボンを随所に使用したボディー構造「カーボン・コア」は新型の見どころのひとつ。写真はBピラーに貼られたバッジ。
カーボンを随所に使用したボディー構造「カーボン・コア」は新型の見どころのひとつ。写真はBピラーに貼られたバッジ。
「BMW 740i」では「BMWレーザー・ライト」はオプション設定される。ブルーのアクセントが目印。
「BMW 740i」では「BMWレーザー・ライト」はオプション設定される。ブルーのアクセントが目印。
「リヤ・コンフォート・パッケージ」を選択するとバックレストやクッションの角度や前後位置などが調整可能となるほか、エンターテインメントシステムなどが装着される。
「リヤ・コンフォート・パッケージ」を選択するとバックレストやクッションの角度や前後位置などが調整可能となるほか、エンターテインメントシステムなどが装着される。
3リッター直6ターボエンジンは旧型比で6ps強化の326psを生み出す。最大トルクは変わらぬ45.9kgm。
3リッター直6ターボエンジンは旧型比で6ps強化の326psを生み出す。最大トルクは変わらぬ45.9kgm。
ボディーカラーは全8色の設定。試乗車のは「ソフィスト・グレー・ブリリアント・エフェクト」。
ボディーカラーは全8色の設定。試乗車のは「ソフィスト・グレー・ブリリアント・エフェクト」。
関連記事
  • MINIクーパーD クロスオーバー(FF/8AT)【試乗記】 2017.5.2 試乗記 より大きく、より豪華に生まれ変わった「MINIクロスオーバー」。もはやミニと呼ぶのがはばかられる“フルサイズカー”に進化した新型の魅力とは? 現時点でシリーズ唯一のFFモデルとなる「クーパーD クロスオーバー」に試乗して考えた。
  • BMW i3スイート レンジ・エクステンダー装備車(RR)【試乗記】 2017.5.3 試乗記 マイナーチェンジにより、400kmにせまる一充電走行可能距離を実現したBMWの電気自動車「i3」。レンジ・エクステンダーを搭載した最上級グレード「スイート」の試乗を通し、類例のないその魅力をあらためて確かめた。
  • アバルト595(FF/5AT)【試乗記】 2017.5.19 試乗記 FCAが擁する高性能スポーツブランド「アバルト」のラインナップにおいて、最もベーシックなモデルとなるのが「595」である。刺激的な走りと門戸の広さを併せ持つAT仕様に試乗し、“さそり印”のスポーツカーに受け継がれる伝統に思いをはせた。
  • アウディQ2ファーストエディション(FF/7AT)【試乗記】 2017.5.18 試乗記 アウディのSUVファミリーである「Qシリーズ」に、最もコンパクトな「Q2」が登場。「今後の販売の柱」と位置づけられるニューモデルの実力を、装備充実の1.4リッターモデルで確かめた。
  • 特別な仕立ての「BMW 318i」200台限定で発売 2017.5.11 自動車ニュース BMWジャパンは2017年5月11日、洗練されたスタイリングとモダン&クラッシックなインテリアでスタイリッシュ感を高めたという特別仕様車「BMW 318iクラシック」を、200台限定で発売した。
  • フォルクスワーゲンhigh up!(FF/5AT)【試乗記】 2017.5.17 試乗記 「フォルクスワーゲンup!」が初のマイナーチェンジ。内外装ともにリフレッシュされた、“末っ子”の使い勝手をテストした。走らせて一番快適だったのは、小さなボディーとは結びつかない意外な場所だった。 
  • レクサスLC500“Lパッケージ”/LC500h“Lパッケージ”【試乗記】 2017.5.4 試乗記 “製品化を前提としない”はずだったコンセプトカーの発表から5年。ほとんどそのままの姿で登場し、世間を驚かせた「レクサスLC」がいよいよ日本の公道を走る。新開発のFRプラットフォームや10段AT、マルチステージハイブリッドなどの技術を満載した、新世代のラグジュアリークーペの出来栄えは?
  • 第39回:最新ディーゼル4台イッキ乗り!
    おデブなMINIってアリなのか?
    2017.5.2 カーマニア人間国宝への道 清水草一の話題の連載。第39回は「最新ディーゼル4台イッキ乗り! おデブなMINIはアリなのか?」。サイズもお値段もマッチョなMINIクーパーSD クロスオーバーALL4をクルマ変態的視点で斬る!
  • 「BMW X1」に上質感を高めた限定車登場 2017.4.28 自動車ニュース BMWジャパンは2017年4月27日、コンパクトSUV「BMW X1」にスタイリッシュさと上質感の向上が図られた特別仕様車「X1 sDrive18iファッショニスタ」を設定し、270台の台数限定で発売した。価格は467万円。
  • ケータハム・セブン スプリント(FR/5MT)【試乗記】 2017.5.1 試乗記 「ロータス・セブン」の魅力を今日に伝える「ケータハム・セブン」に、“オリジナル・セブン”の誕生60周年を祝う限定モデル「セブン スプリント」が登場。クラシカルなデザインとプリミティブな走りがかなえる唯一無二の魅力に触れた。
ホームへ戻る