第220回:ヒロシマは遠きにありて思うもの! 愛すべきマツダファンたち

2011.11.18 エッセイ

第220回:ヒロシマは遠きにありて思うもの!愛すべきマツダファンたち

現行「RX-8」
第220回:ヒロシマは遠きにありて思うもの! 愛すべきマツダファンたち

まんじゅう片手の激論

読者諸兄もご存じのとおり、マツダは2011年10月、現在世界で唯一の市販ロータリーエンジン搭載車である「RX-8」の生産を、2012年6月で終了すると発表した。これで思い出すのは、1990年代に自動車誌の編集記者をしていたときのことだ。

ある日、部内の茶飲み話にマツダの話題が浮かんだ。マツダはその頃、バブル時代に急拡大を試みた多チャンネル・多ブランドの国内販売体制がたたって、経営難にあえいでいた。
「いっそここで、ロータリーをきっぱりとやめるべきだ」とボクが提案した途端、理工系出身の上司は「技術とは、そんな風に簡単に扱うものではない」とかみついてきた。
それを聞いたボクは、誰かが出張帰りに買ってきたまんじゅうを頬張りながらも言い返した。
「会社とは従業員や株主のために利益を生むもの。技術に偏重するあまり従業員の生活が維持できなくなったら、それは本末転倒ではないか」と。

そこでボクの場合は、意見のかみ合わぬ上司をもった不幸を心の中で嘆いて終わった。だが、マツダ社内では今日まで同じ議論が何万回と繰り返されてきたのだと思う。

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大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住20年という脈絡なき人生を歩んできたものの、それだけにあちこちに顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーター。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストをはじめラジオでも活躍中。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。