BMW X5 xDrive40e(4WD/8AT)

プラグイン機能がなくても最高 2015.12.18 試乗記 BMWの大型SUV「X5」に、プラグインハイブリッド車の「xDrive40e」が登場。2リッター直4ターボエンジンと、8段AT内に組み込まれたモーターとが織り成す走りを、箱根のワインディングロードで試した。

鋭い加速レスポンスと軽快なコーナリング

このX5 xDrive40eにかぎらず、欧州車はここで一気にプラグインハイブリッドに走りはじめた。
理由は単純。燃費規制(≒CO2排出規制)においては、世界的にも欧州がもっとも過激だからだ。細かい規制内容にはここでは触れないが、それは“目標値”といった建前ではなく、超過1g/kmごとにメーカーに巨額の罰金が科せられて、2020年まで年々厳しくなることが決まっている。その規制レベルも、少数の超低燃費スペシャルを売ってお茶をにごせるものではない。つまり、逃げ道がない。
そのなかで、ほぼ唯一の現実的ソリューションが「半分EV」のPHEVである。欧州の規制も、PHEVにだけはちょっとだけ優しい。ピュアEVが技術的にも社会的にも普及して、それだけでビジネスが成り立つまでの間は、自動車メーカーはそこにいくしかないのだ。

このX5も、そんな規制が生み出した一台だ。エンジンはおなじみ2リッター4気筒直噴ターボで、そこに8段AT一体の電動モーターを組み合わせる。動力バッテリーも床下レイアウトなので、実用性に犠牲もない。

「e-Drive」という電気走行モードに入れると、電力があるうちはEVに徹するのが(ただ、通常のキックダウンスイッチが作動するフルスロットルにすると、エンジンが始動)、普通のハイブリッドでないPHEVの特徴だ。電気走行でも最高速度は120km/h、航続距離は31kmだそうである。今回は日本でも有数の登り坂である箱根のターンパイクでの試乗となったが、体感的には1.5リッターのコンパクトカー程度のパワフルさで登っていく。
山坂道であることをいいことに、さっさと電力を使い果たして、エンジンも含めたフル性能モードで走ると、これが素晴らしく速い。「40e」の車名どおり……というか、体感的には「45e~50e?」くらいのイメージ。モーターをブースターとして使うために、ピックアップやレスポンスは通常のターボよりも明らかにリニアで鋭く、そして強力。そんな場合でも4気筒は苦しげな感触はなく、ビックリするほど静か。なんというか、マルチシリンダーエンジンのような気持ちよさがある。
そしてハナが軽い! BMWのFR系ワゴンはもともと、わずかに後ろ寄りの重量配分のものが多いが、このクルマはそれに輪をかけてハナが軽く、お尻が重い。19インチのオールシーズンというX5としては穏当なタイヤを履いていたこともあって、なんとも軽快、さわやか、そして自然に曲がる。ああ、X5っていいクルマだな……とあらためて思った。

箱根だけで走ったところで、PHEVの本領は、これっぽっちも理解したことにならない。ただ、自宅では月極め駐車場にクルマを置く筆者には、PHEVの“外部充電機能”などムダな機能でしかない。でも、この走りと静粛性は数あるX5でも白眉(はくび)だと思う。これを普通のプラグレスハイブリッドとして売ってくれたら食指も動くのに……なんてね。

(文=佐野弘宗/写真=田村 弥)

【スペック】
全長×全幅×全高=4910×1940×1760mm/ホイールベース=2935mm/車重=2370kg/駆動方式=4WD/エンジン=2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(245ps/5000rpm、35.7kgm/1250-4800rpm)+交流同期電動機(113ps、25.5kgm)/トランスミッション=8AT/燃費=--km/リッター/価格=927万円
 

インテリアについては他の「X5」と大きな違いはない。メーターは速度計、エンジン回転計、燃料計、水温計を備えた4眼式で、ここにはエネルギーフローメーターは装備されていない。
インテリアについては他の「X5」と大きな違いはない。メーターは速度計、エンジン回転計、燃料計、水温計を備えた4眼式で、ここにはエネルギーフローメーターは装備されていない。
パワーユニットは2リッター直4ターボエンジンと電動モーターの組み合わせ。システム全体で313psの最高出力と45.9kgmの最大トルクを発生する。
パワーユニットは2リッター直4ターボエンジンと電動モーターの組み合わせ。システム全体で313psの最高出力と45.9kgmの最大トルクを発生する。
ラゲッジルームの容量は後席を起こした状態で500リッター、後席を倒した状態で1720リッター。床下には、充電用ケーブルなどをしまえる収納スペースが備わっている。
ラゲッジルームの容量は後席を起こした状態で500リッター、後席を倒した状態で1720リッター。床下には、充電用ケーブルなどをしまえる収納スペースが備わっている。
ハイブリッドシステムの作動状態はダッシュボード上段のモニターで確認できる。
ハイブリッドシステムの作動状態はダッシュボード上段のモニターで確認できる。
標準仕様のタイヤサイズは255/50R19。充電口は左側のフロントフェンダーパネルの上部に備わっている。
標準仕様のタイヤサイズは255/50R19。充電口は左側のフロントフェンダーパネルの上部に備わっている。
 
BMW X5 xDrive40e(4WD/8AT)【レビュー】の画像

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

X5の他の画像を見るためには、写真一覧をご覧ください。

関連記事
  • BMW X5 xDrive35d Mスポーツ(4WD/8AT)【試乗記】 2014.1.8 試乗記 プレミアムSUVのパイオニア「BMW X5」が、通算で3代目となる新型に移行した。外観からは「キープコンセプト」に見える今回のモデルチェンジは「攻め」か「守り」か? 3リッターディーゼルエンジンを搭載する「X5 xDrive35d Mスポーツ」で箱根のワインディングロードを目指した。
  • BMW X5とBMW X6の安全装備が充実 2016.3.11 自動車ニュース BMWジャパンは2016年3月10日、安全装備を追加した「BMW X5」および「BMW X6」の販売を開始した。
  • メルセデス・ベンツGLC350e 4MATICスポーツ(4WD/7AT)【試乗記】 2016.11.23 試乗記 「メルセデス・ベンツGLC」シリーズに加わったプラグインハイブリッド車の「GLC350e 4MATICスポーツ」に試乗。EV走行が身近に味わえ、しかもアクセルを踏めば迫力の加速を披露する緩急自在の“パワーハイブリッド”の実力やいかに?
  • マセラティ・レヴァンテ(4WD/8AT)【試乗記】 2016.11.9 試乗記 続々とニューモデルが現れるプレミアムSUV市場に、マセラティが送り込んだのが「レヴァンテ」である。イタリアの老舗が満を持してリリースした同車には、ドイツ勢に比肩する走りの実力と、このブランドだけに許された官能性が備わっていた。
  • BMW X5 xDrive40e(4WD/8AT)【レビュー】 2015.12.18 試乗記 魅力は環境性能だけにあらず? BMWの大型SUV「X5」に、プラグインハイブリッド車(PHEV)の「xDrive40e」が登場。2リッター直4ターボエンジンと、8段AT内に組み込まれたモーターが織り成す走りを、日本屈指のワインディングロードである箱根のターンパイクで試した。
ホームへ戻る