アルファ・ロメオ4Cスパイダー(MR/6AT)

楽しみの幅が広がる 2016.01.29 試乗記 アルファ・ロメオのコンパクトなミドシップスポーツカー「4C」にロールトップの「スパイダー」が登場。オープンモデルならではのスタイリングや、クーペからのドライビングフィールの変化について報告する。

走りのよさにオープンエアの気持ちよさをプラス

軽い! 速い! 楽しい! の3拍子がキッチリそろい、そのうえ世界中にファンの多い歴史的な名車「ティーポ33/2ストラダーレ」を思わせるスタイリングまで与えられた、アルファ・ロメオ4C。いうまでもないが、4Cスパイダーはそのオープントップ版だ。

けれど、ただ屋根をスパンと切り取っただけじゃない。クーペはルーフからテールエンドに向かって自然に流れていくようなファストバックスタイルだけど、スパイダーのそこはデザインが大きく変更されていて、ルーフエンドから垂直に落ちたリアウィンドウと左右のフィン、そしてデッキ型のエンジンフードという構成で、伝統的なミドシップスポーツカーらしいリアビューへと変貌しているのだ。それが4Cのボディーラインの抑揚をさらに強調していて、官能的ですらある。1960年代のイタリアンレーシングスポーツカーを思わせる美しさだ。

軽さが命の4Cだからトップは当然ファブリック製で、取り外してクルクル巻き、専用のバッグに入れてトランクに収納するタイプ。開閉は慣れれば3分前後で完了する。トップを収めてもトランクには多少のスペースが残り、やわらかいバッグに詰めれば乗員2人の1泊分の荷物くらいなら積み込めそうなのがありがたい。

スポーツカー好きが最も気になっているのは、ルーフの支えがないことで車体の剛性はどれくらい落ちている? ということだろう。いや、心配はいらない。厳密にいえばかすかな違いはあるけれど、それはおそらくほとんどの人は気づかないレベル。僕も走っている間、そこにはほとんど意識がいかなかった。むしろ“肩”から下がガシッとして微動だにせず、クルマの挙動もクーペと全く変わらなかったことの方に感心させられたほどだ。カーボンモノコックに強固にマウントされた新しいカーボン製フロントウィンドウフレームと、背後に隠されたアルミ製のロールバーが効いている。車重も10kg重くなっただけだから、走りの鋭さはクーペの4Cと何ひとつ変わらない。はじけるように加速して、気持ちよく伸びて、曲がれと念じただけで狙ったとおりのラインをスパッとトレースしていくような、ダイナミックな楽しさにはわずかな曇りも生じていない。

そのうえ美しい日本の四季を全身で満喫できるオープンエアモータリングの気持ちよさ、だ。空から降ってくるようなエキゾーストサウンドも、気持ちをかき立ててくれる。
ソロでもデュエットでも存分に楽しい思いをさせてくれる、4Cスパイダー。オープントップは空を広げるだけじゃなく、4Cの持つ楽しみをさらに大きく広げたのだ。

(文=嶋田智之/写真=峰 昌宏)

【スペック】
全長×全幅×全高=3990×1870×1190mm/ホイールベース=2380mm/車重=1060kg/駆動方式=MR/エンジン=1.7リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(240ps/6000rpm、35.7kgm/2100-4000rpm)/トランスミッション=6AT/燃費=12.1km/リッター(JC08モード)/価格=861万8400円
 

2014年のジュネーブショーで世界初公開された「アルファ・ロメオ4Cスパイダー」。日本では、2015年の東京モーターショーで初披露された。
2014年のジュネーブショーで世界初公開された「アルファ・ロメオ4Cスパイダー」。日本では、2015年の東京モーターショーで初披露された。
「4Cスパイダー」のインストゥルメントパネルまわり。トランスミッションは6段デュアルクラッチ式ATのみの設定で、センターコンソールのスイッチとシフトパドルで操作する。
「4Cスパイダー」のインストゥルメントパネルまわり。トランスミッションは6段デュアルクラッチ式ATのみの設定で、センターコンソールのスイッチとシフトパドルで操作する。
色や表皮、背もたれの意匠の違いなどにより、クーペには全7種類のシートが用意されているのに対し、スパイダーは全4種類となっている。
色や表皮、背もたれの意匠の違いなどにより、クーペには全7種類のシートが用意されているのに対し、スパイダーは全4種類となっている。
脱着式のロールトップは、オープン時には専用のバッグにしまい、リアのトランクルームに収納する。
脱着式のロールトップは、オープン時には専用のバッグにしまい、リアのトランクルームに収納する。
単にルーフをオープントップにしただけでなく、リアセクションのデザインもクーペとは大きく異なっている。
単にルーフをオープントップにしただけでなく、リアセクションのデザインもクーペとは大きく異なっている。

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

4Cスパイダーの他の画像を見るためには、写真一覧をご覧ください。

関連記事
  • メルセデスAMG E63 S 4MATIC+(4WD/9AT)【海外試乗記】 2017.1.7 試乗記 新型「メルセデス・ベンツEクラス」のラインナップに加わった最強モデル「メルセデスAMG E63 S 4MATIC+」に試乗。Eクラス史上最強の612psを誇るスーパーサルーンの走りをポルトガルの公道とサーキットでチェックした。
  • ベントレー・ベンテイガ(4WD/8AT)【試乗記】 2016.12.21 試乗記 ベントレー初のSUV「ベンテイガ」がいよいよ日本の公道に降り立った。パワーとスピード、そしてラグジュアリー性において、他を凌駕(りょうが)すべく開発された“世界最高峰のSUV”。その実力を全方位的に探った。
  • アルファ・ロメオ4C(MR/6AT)【試乗記】 2015.8.17 試乗記 アルファ・ロメオのヒストリーにおいて、極めてまれな量産型のMRスポーツカー「4C」に試乗。カーボンを用いた軽量ボディーや専用設計のシャシー、最新のターボエンジンは、どんな走りをもたらすのか? 燃費の上方も、あわせて報告する。
  • BMW 540i(FR/8AT)【海外試乗記】 2017.1.11 試乗記 注目すべきは、シャシー性能と先進運転支援システム(ADAS)の大幅な進化。BMWの基幹モデル「5シリーズ」が7代目にフルモデルチェンジ。G30系と呼ばれる新型の実力を、3リッター直6ターボモデルで試した。
  • 日産ノートe-POWER メダリスト(FF)【試乗記】 2017.1.11 試乗記 日産が、満を持して投入したシリーズ式ハイブリッドシステム「e-POWER」。コンパクトカー「ノート」の好調を支える新しいパワープラントの実力を、最上級グレード「e-POWER メダリスト」の試乗を通して確かめた。
ホームへ戻る