王者MOTUL AUTECH GT-Rが開幕戦岡山で逆転勝利【SUPER GT 2016】

2016.04.11 自動車ニュース
開幕戦を勝利で飾った、松田次生/ロニー・クインタレッリ組のNo.1 MOTUL AUTECH GT-R。
開幕戦を勝利で飾った、松田次生/ロニー・クインタレッリ組のNo.1 MOTUL AUTECH GT-R。

【SUPER GT 2016】王者MOTUL AUTECH GT-Rが開幕戦岡山で逆転勝利

2016年4月10日、今年のSUPER GTの開幕戦が岡山県の岡山国際サーキットで開催され、GT500クラスはNo.1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が、GT300クラスはNo.65 LEON CVSTOS AMG-GT(黒澤治樹/蒲生尚弥)が、見事な逆転劇で勝利をつかみ取った。

予選トップのNo.37 KeePer TOM'S RC F(ジェームス・ロシター/平川 亮)。決勝は、昨年の覇者であるNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rの逆転を許す展開に。
予選トップのNo.37 KeePer TOM'S RC F(ジェームス・ロシター/平川 亮)。決勝は、昨年の覇者であるNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rの逆転を許す展開に。
GT500クラスのスタートシーン。序盤は、2台のレクサスがレースをけん引した。
GT500クラスのスタートシーン。序盤は、2台のレクサスがレースをけん引した。
No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-R。ベテランの本山 哲と、ルーキーの千代勝正のコンビで、3位の座を獲得した。
No.46 S Road CRAFTSPORTS GT-R。ベテランの本山 哲と、ルーキーの千代勝正のコンビで、3位の座を獲得した。

■予選からレース序盤で“速さ”を示したKeePer TOM'S RC F

2016年の開幕戦の優勝候補に推されていたのは、岡山を連覇しているNo.37 KeePer TOM'S RC F。3月中旬に行われた岡山での公式テストでも、レクサスRC Fとブリヂストンタイヤのパッケージが上位を占めており、それ以外でもレクサス勢に分があると思われていた。

実際、予選では「14歳からここを走り込んでいる」という37号車の平川亮が、今年も一発アタックを決め、昨年自身が出したコースレコードを更新する1分18秒126をたたき出し、2年連続で最前列からのスタートを決めた。

決勝レースでも37号車は、ジェームス・ロシターが3周目に1分20秒887と、この決勝のファステストラップをマークしてリードを広げる。予選3位のNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rのロニー・クインタレッリがNo.6 WAKO'S 4CR RC F(アンドレア・カルダレッリ)を抜き、2番手に浮上した28周の時点で、その差は4.7秒まで開いていた。

前のつかえが取れてペースの上がる1号車に対し、37号車は逆に1分24秒台にまでペースダウン。「ピックアップ(タイヤカスの付着)だと思う」と苦しむロシターの背後にゼッケン1が迫ったことで、LEXUS TEAM TOM'Sは早めのピットインを決断。82周のレース半分を前にした35周目に、37号車をピットインさせた。

37号車のピットインを見た1号車は、セオリー通りスパート。38周目、周囲が1分23~24秒台の中で、ピットイン直前にクインタレッリが出したタイムは1分22秒868。NISMOもピット作業40秒とTOM'Sより7秒弱速い時間で、松田次生をトップのまま、2番手37号車に8秒弱の差を付けた状態でコースに戻した。
立場が変わって逆転に挑む37号車の平川は、直後には1分22秒台前半を記録したものの、24秒台にも落ち込む安定しない走行で追い切れず。1号車の松田は楽に逃げ切り、勝利を手にした。

37号車は前を追うどころか、ラスト10周にはNo.46 S Road CRAFTSPORTS GT-Rの千代勝正に追いつかれ、テール・トゥ・ノーズの攻防戦を繰り広げた。1万9000人もの観衆は2年目の若手とGT500ルーキーの2位を決める激戦に沸いたが、46号車も1号車と同じミシュランユーザーだけに、平川としては、実力というより「ミシュランにやられた」という心境であろう。

No.1 MOTUL AUTECH GT-R
No.1 MOTUL AUTECH GT-R
GT500クラスの表彰式。MOTUL AUTECH GT-Rを駆った2人が、ポディウムの中央で勝利を喜んだ。
GT500クラスの表彰式。MOTUL AUTECH GT-Rを駆った2人が、ポディウムの中央で勝利を喜んだ。

■王者の風格を感じさせたMOTUL AUTECH GT-Rの“強さ”

レース前、ミシュラン側は「ピックアップの問題はある程度解消できている」と語っていた。ベストの“速さ”こそブリヂストンだが、安定した“強さ”でミシュランがひとつ抜けた感がある。しかし、今回勝利のゆくえを決めたのは、タイヤの差だけだろうか?

2年連続のチャンピオンであるNo.1 MOTUL AUTECH GT-Rの仕上がりは、岡山の公式テストでは初日7番手、2日目11番手と決して良くはなかった。それでも開幕戦を見越して持ち込んだタイヤが当日の温度レンジを外しただけと、チームには慌てた様子がなかった。しかしクインタレッリは「チームに『このままだとヤバいよ!』と厳しく言った」とレース後に明かしている。

そして迎えた開幕戦。「テストと違ってクルマの仕上がりがとても良かった」と松田が言う通り、予選こそ3位だったが、MOTUL AUTECH GT-Rのドライバー、チームは一切のミスをすることなく、ベストを尽くした。「ベストを尽くせば結果はついてくる」とは一流選手の決まり文句だが、それだけに実行が難しいのも事実。「千代の見事な追い上げを知って『この展開では、テレビに映らないな』とテンションが下がりそうだった(笑)」。最後は15秒以上の大差でゴールした松田のそんな言葉には、王者の風格が感じられた。

予選2番手からGT300クラスを制した、No.65 LEON CVSTOS AMG-GT。
予選2番手からGT300クラスを制した、No.65 LEON CVSTOS AMG-GT。
GT300クラスの2位は、グッドスマイル 初音ミク AMG。メルセデス勢が、その強さを見せつけた。
GT300クラスの2位は、グッドスマイル 初音ミク AMG。メルセデス勢が、その強さを見せつけた。

No.7 Studie BMW M6(ヨルグ・ミューラー/荒 聖治)。昨年の「Z4」に代わる新たなマシンで、クラス3位の座をもぎとった。


	No.7 Studie BMW M6(ヨルグ・ミューラー/荒 聖治)。昨年の「Z4」に代わる新たなマシンで、クラス3位の座をもぎとった。

■GT300はメルセデスAMG GT3がデビューウイン

2016年のGT300クラスは、FIA GT3の輸入車勢5車種がそろって新型となり、華やかさだけでなく、戦いの熾烈(しれつ)さが増した。予選ではテクニカルコースを得意とするマザーシャシー車のNo.25 ViVaC 86MCの土屋武士がポールを獲得。決勝も逃げを打つ土屋だったが、予選2位のNo.65 LEON CVSTOS AMG-GTの黒澤治樹もきっちり背後に追いすがる。だが、なかなか抜けない65号車は31周目に早めのピットインを決意し、チーム初勝利を後半担当の蒲生尚弥に託した。

これに合わせたのか、25号車も次の周でピットイン。65号車の前でコースに戻った松井孝允だったが、2年目のGT300ドライバーは混雑するコース上で苦労してしまう。

ペースのいい蒲生は、松井をあっさりと料理して実質の1位に浮上。その後、蒲生は独走状態を築き上げ、最終的には2番手のNo.4 グッドスマイル 初音ミクAMG(谷口信輝)に約13秒もの差をつけてゴール。チームと蒲生にとってはうれしい初優勝を手にした。輸入車の新型FIA GT3勢でいち早く勝利を挙げたメルセデスAMG GT3は、2位も同車種。レースにおける優位を、早くも見せつけることになった。

第2戦は5月3~4日に、静岡県の富士スピードウェイで開催される。

(文=古屋知幸/写真提供 GTA)

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