クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

アルファ・ロメオ4Cスパイダー(MR/6AT)/アルファ・ロメオ・ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ(FF/6AT)/フィアット500ツインエア ラウンジ(FF/5AT)

イタリア車はこうじゃなきゃ! 2016.04.23 試乗記 大磯ロングビーチで開催されたFCA合同試乗会。リポートの後編では、アルファ・ロメオとフィアットの3台を紹介。広大な駐車場に作られた本格ジムカーナコースは、これまで幾度となくステアリングを握ってきた各モデルについて、いったいどんなことを教えてくれるのか?

アルファ・ロメオ4Cスパイダー
軽量スーパースポーツここにあり

前編からの続き)
ご存じのとおり「4Cスパイダー」は、アルファ・ロメオ最新のリアルスポーツカーだ。アルファに関しては目下のところ新型「ジュリア」に対する関心が高いが、あちらはいかに500psオーバーのモデルがあるとはいえ、それなりの車重がある4ドアセダン。確かに引かれるものは大いにあるが、だからといって「4C」と4Cスパイダーの魅力が薄れるものでは全くない。

それをはっきりと意識したのは、コースのスタート地点でムチを一発入れた直後の、この日初めて4Cスパイダーを発進させた直後のことだった。リアタイヤを一瞬だけスキッドさせながら加速態勢にはいった4Cスパイダーは、持てる実力をいきなり直線的に立ち上げて、ハッとさせるぐらいの勢いでスピードに乗っていく。たった240psしかないはずなのに、その感覚は明らかに“フツーのクルマ”とは異なっている。そう、軽いのだ。マスというものをほとんど意識させることなくダイナミックに加速していくそのフィールは、軽量であることに徹底してこだわって作られたスポーツカー以外は持ち得ないもの。全開加速一発が、ただそれだけで猛烈に気持ちいい。

その軽さの恩恵は、パイロンの間を縫って走るスラローム区間でもたっぷり感じられた。たいしたロールを感じさせることもなく、スパッ、スパッ、スパッ……と、気持ちよく軽快なリズムを刻んでいけるのだ。しかもミズスマシのように機敏で速い。少し高めの速度からブレーキングしてターンするような場面では、その鋭い回頭性にニヤリとさせられる。瞬時にクルン! である。ミドシップレイアウトであること、ホイールベースに対してトレッドが広いことなどもあって、こうしたときのフットワークは絶品だ。

想像しているより加速するし伸びもいいから、時には速度が乗りすぎることも。それも含めて、こうしたコースをきれいに速く走り抜けるには少々慣れが必要なところもあるが、「軽量スーパースポーツここにあり!」の鋭い加速と機敏なハンドリングが生むめくるめく楽しさは十二分に味わえる。そしてそれがクセになりそうなほどの魅力なもんだから困ってしまう。

「アルファ・ロメオ4Cスパイダー」のインテリア。サイドシルの内側など、内装の一部にカーボンファイバー製のボディーセルがむきだしの状態でのぞいている。
「アルファ・ロメオ4Cスパイダー」のインテリア。サイドシルの内側など、内装の一部にカーボンファイバー製のボディーセルがむきだしの状態でのぞいている。 拡大
ミドシップ搭載される1.7リッター直4直噴ターボエンジンは、240psの最高出力と35.7kgmの最大トルクを発生。デュアルクラッチ式6段ATが組み合わされる。
ミドシップ搭載される1.7リッター直4直噴ターボエンジンは、240psの最高出力と35.7kgmの最大トルクを発生。デュアルクラッチ式6段ATが組み合わされる。 拡大
テスト車には、フロント=205/40R18、リア=235/35R19というサイズのタイヤや、スポーツサスペンションなどからなるオプションの「スポーツパッケージ」が採用されていた。
テスト車には、フロント=205/40R18、リア=235/35R19というサイズのタイヤや、スポーツサスペンションなどからなるオプションの「スポーツパッケージ」が採用されていた。 拡大
外装色にはテスト車に用いられていた「プロトタイプイエロー」を含む全7色が用意される。
外装色にはテスト車に用いられていた「プロトタイプイエロー」を含む全7色が用意される。 拡大
注目の記事PR
  • 音と風と刺激的な走り。「アバルト124スパイダー」の魅力を、3人のジャーナリストが語る。
    音と風と刺激的な走り。「アバルト124スパイダー」の魅力を、3人のジャーナリストが語る。 アバルト特集
注目の記事一覧へ

アルファ・ロメオ・ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ
FFハッチバックとしては最上級の楽しさ

その4Cと同じパワートレインを「ジュリエッタ」に移植したのが、「ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ」である。このクラスで最も美しいエモーショナルでエレガントなスタイリングを持つといえる、ジュリエッタのハイパフォーマンスバージョンだ。

170psの1.4ターボを積む通常のジュリエッタでさえ、際立った速さはないものの十分にスポーティーで爽快なのだから、240psとなってシャシーも締め上げられたクアドリフォリオ ヴェルデがかったるいクルマであるわけがない。4Cスパイダーの直後に試乗していたせいで最初は「あれ?」と思ったけれど、感覚が元に戻ってからは疑問の余地なし。むしろ身構えていた気分よりはるかに勢いよく突き進んでいっちゃうような4Cスパイダーよりも、気分の盛り上がり方といい具合にリンクした力強さと素早さで加速していくクアドリフォリオ ヴェルデの方がすんなりとなじむ。

フットワークの面では、しなやかさこそ通常のジュリエッタに譲るものの、旋回時の踏ん張り具合では段がひとつ上で、当然ながら左右の切り返しが続くような場所でもクアドリフォリオ ヴェルデの方がロールが小さくリズムも刻みやすく、抜けていくスピードも段違いに速かった。ステアリングは正確で、この手のクルマにしては反応も鋭く、体全体をスッと沈めながらターンしていくような身のこなしは見事とすらいえる。

同じパワートレインを持つといっても4Cとは目指すところも成り立ちも全く異なり、さすがに両者を比較して語ることに意味はないが、それでもFFのプレミアムハッチとしては最上級の楽しさを感じさせてくれる一台であることは間違いない。このクラスから個人的なベストを選べといわれたらこれだろうな、という気持ちはやっぱり揺らがなかった。

Cセグメントハッチバック車の「ジュリエッタ」。1.4リッターターボの「スポルティーバ」と1.7リッターターボの「クアドリフォリオ ヴェルデ」の2種類が用意される。
Cセグメントハッチバック車の「ジュリエッタ」。1.4リッターターボの「スポルティーバ」と1.7リッターターボの「クアドリフォリオ ヴェルデ」の2種類が用意される。 拡大
「ジュリエッタ」のインストゥルメントパネルまわり。レザー巻きのシフトセレクターやスポーティーなアルミ製のフットペダルなどは、全車標準装備となる。
「ジュリエッタ」のインストゥルメントパネルまわり。レザー巻きのシフトセレクターやスポーティーなアルミ製のフットペダルなどは、全車標準装備となる。 拡大
「4C」と同じ1.7リッター直4直噴ターボエンジン。240psという最高出力は同じだが(発生回転数は異なる)、最大トルクについては34.7kgmと若干抑えられている。
「4C」と同じ1.7リッター直4直噴ターボエンジン。240psという最高出力は同じだが(発生回転数は異なる)、最大トルクについては34.7kgmと若干抑えられている。 拡大
「ジュリエッタ」のリアドアハンドルは、Cピラーに隠すようにデザインされている。
「ジュリエッタ」のリアドアハンドルは、Cピラーに隠すようにデザインされている。 拡大

フィアット500ツインエア ラウンジ
マイナーチェンジは大成功

デビュー以来初のマイナーチェンジが行われた「500(チンクエチェント)」については、ごく最近リポートさせていただいている。一見ちょっとしたフェイスリフトに終始しているように思わせておいて、その実、仕様書やスペックシートには表れない細かなチューンナップをあちこちに施すことで乗り味が全体的にグレードアップした感があり、かなり好印象だった。

この日に試乗した500のパワートレインは、0.9リッター2気筒ターボの「ツインエア」と5段AMTの「デュアロジック」の組み合わせ。エンジンはツインエア特有の楽しさをキープしながらサウンドや振動がマイルドになったように思えるし、デュアロジックの変速は速さとスムーズさが増したようにも感じられる。

ただし、体感パワーも体感トルクも従来どおり。それが不満だと言う気はさらさらなくて、発進直後あたりの低回転域から思いのほか太めのトルクを沸き立たせ、そのままターボのアシストを得ながら力強く加速していく様子には、たくましさすら覚える。初めて体験する人は、“875cc”の“2気筒”という先入観から少しばかりじれったい思いをすると覚悟しているからか、その意外な加速感には大抵驚く。アバルトほどではないけれど、結構スポーツできるエンジンなのだ。

そしてまた、フィアット500はスポーツカーでもないのに足腰が軽やか。ステアリングを操作して前輪が曲がり始めた直後に後輪も反応するような軽快なところがあるし、ブレーキングで前輪に荷重を載せた状態でステアリングを切ると短いノーズがグッとインを刺してクルリン! と素早くターンを決められたりもする。デビューのときからそういう性格を持っていた。そこへきて新型の500は、おそらくサスペンションまわりにも見えない改良の手が加えられたのだろう。乗り味には心なしか締まったような感覚があり、例のクルリン! がさらに素早く気持ちよくなった感覚がある。だからスラロームもタイトターンも、存分に楽しむことができるのだ。

新しい顔つきについては“好みの問題”なのだろうけれど、性格のいい友達がそのまま少し大人っぽく成長したような感じがして、個人的には好き。そのうえフットワークがさらに絶妙になっているわけで、僕としては今回のマイナーチェンジは思いのほか見事だったな、と思わされたのだった。

2016年1月にデビュー初のマイナーチェンジを受けた「500」。内外装デザインの各所に手が加えられた。
2016年1月にデビュー初のマイナーチェンジを受けた「500」。内外装デザインの各所に手が加えられた。 拡大
「500ツインエア ラウンジ」のインテリア。インストゥルメントパネルの中央に、新たに採用されたタッチスクリーン式のオーディオが装備されている。
「500ツインエア ラウンジ」のインテリア。インストゥルメントパネルの中央に、新たに採用されたタッチスクリーン式のオーディオが装備されている。 拡大
0.9リッター直2ターボエンジン。ヘッドまわりには油圧で吸気バルブを動かす、ユニークな動弁機構が採用されている。
0.9リッター直2ターボエンジン。ヘッドまわりには油圧で吸気バルブを動かす、ユニークな動弁機構が採用されている。 拡大
「ツインエア ラウンジ」に採用された新デザインのホイール。タイヤサイズは従来モデルと変わらず、185/55R15となっている。
「ツインエア ラウンジ」に採用された新デザインのホイール。タイヤサイズは従来モデルと変わらず、185/55R15となっている。 拡大
テスト車の外装色は「ミントグリーン」。これまでは特別仕様車にしか使われていなかったボディーカラーだが、今回のマイナーチェンジでカタログモデルに使用されることとなった。
テスト車の外装色は「ミントグリーン」。これまでは特別仕様車にしか使われていなかったボディーカラーだが、今回のマイナーチェンジでカタログモデルに使用されることとなった。 拡大

やっぱりクルマは楽しくないと

FCAが擁するフィアット、アルファ・ロメオ、そしてアバルトは、次から次へと矢継ぎ早にニューモデルをリリースするブランドではない。そういう意味では新鮮味に欠けると感じている人もいることだろう。けれど、同時にその3つのブランドは、何か新しい潮流がどこかに生まれたからといって即座に右へならえをするようなタイプではなく、自分たちの持つ個性をじっくりと育み、それを世に問うようなところを持っていたりもする。

今回のジムカーナ試乗会では、やや限定的なシチュエーションながらとにかく元気いっぱいに走らせてもらえたおかげで、現在それぞれのブランドに関わっている人たちが考える、それぞれの“らしさ”のようなものと同時に、「とにもかくにもクルマは楽しくないと」という根っこにある考え方が、クッキリと浮き彫りになってこちらに伝わってきた。なにせ、エモーショナルじゃないモデルというのが1台もなかったのだ。

やっぱりイタリア車はこうじゃなきゃ。

(文=嶋田智之/写真=田村 弥)

試乗会場に並べられた、アバルトとフィアットの「500」シリーズ。フィアットで2車種、アバルトで5車種と、ひとつの車形でこれほど多くのモデルがラインナップされる例はめずらしい。
試乗会場に並べられた、アバルトとフィアットの「500」シリーズ。フィアットで2車種、アバルトで5車種と、ひとつの車形でこれほど多くのモデルがラインナップされる例はめずらしい。 拡大
ジムカーナコースを走る「アルファ・ロメオ4Cスパイダー」。
ジムカーナコースを走る「アルファ・ロメオ4Cスパイダー」。 拡大
「ジュリエッタ」のテールゲートに装着された、アルファロメオのエンブレム。
「ジュリエッタ」のテールゲートに装着された、アルファロメオのエンブレム。 拡大
アルファ・ロメオ4Cスパイダー
アルファ・ロメオ4Cスパイダー 拡大

テスト車のデータ

アルファ・ロメオ4Cスパイダー

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3990×1870×1190mm
ホイールベース:2380mm
車重:1060kg
駆動方式:MR
エンジン:1.7リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:240ps(177kW)/6000rpm
最大トルク:35.7kgm(350Nm)/2100-4000rpm
タイヤ:(前)205/40ZR18 86Y/(後)235/35ZR19 91Y(ピレリPゼロ)
燃費:12.1km/リッター(JC08モード)
価格:861万8400円/テスト車=1084万4220円
オプション装備:ボディーカラー<プロトタイプイエロー>(16万2000円)/スポーツパッケージ<スポーツエキゾーストシステム+スポーツサスペンション+5ホール ガンメタリック仕上げの18-19インチアロイホイール+205/40ZR18フロントタイヤ+235/35ZR19リアタイヤ>(32万4000円)/レザーパッケージ<レザーシート+レザーハンドブレーキグリップ+スポーツレザーステアリング>(25万9200円)/カーボンドアミラーカバー(29万8080円)/18-19インチホイール<10スポークタイプ>(27万2160円)/ブレーキキャリパー<イエロー>(45万3000円)/カーボンエアインテークキット(20万5200円) ※以下、販売店オプション メモリーナビゲーションMP33II+1DINオーディオDEH-970(13万8240円)/ルームミラー+リアカメラセット(7万7760円)/ETC車載器(1万260円)/フロアマットベロア(2万5920円)

テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:5362km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

アルファ・ロメオ・ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ
アルファ・ロメオ・ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ 拡大

アルファ・ロメオ・ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4350×1800×1460mm
ホイールベース:2635mm
車重:1440kg
駆動方式:FF
エンジン:1.7リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:240ps(177kW)/5750rpm
最大トルク:34.7kgm(340Nm)/2000rpm
タイヤ:(前)225/40ZR18 92W/(後)225/40ZR18 92W(ダンロップSP SPORT MAXX TT)
燃費:10.8km/リッター(JC08モード)
価格:425万5200円/テスト車=446万400円
オプション装備:レザーシート(16万2000円)/ETC車載器(1万2960円)/フロアマット(3万240円)

テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:6223km
テスト形態:ロードインプレッション、トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

フィアット500ツインエア ラウンジ
フィアット500ツインエア ラウンジ 拡大

フィアット500ツインエア ラウンジ

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3570×1625×1515mm
ホイールベース:2300mm
車重:1040kg
駆動方式:FF
エンジン:0.9リッター直4 SOHC 8バルブ ターボ
トランスミッション:5段AT
最高出力:85ps(63kW)/5500rpm
最大トルク:14.8kgm(145Nm)/1900rpm
タイヤ:(前)185/55R15 82H/(後)185/55R15 82H(グッドイヤー・エフィシエントグリップ)
燃費:24.0km/リッター(JC08モード)
価格:259万2000円/テスト車=268万2720円
オプション装備:ボディーカラー<ミントグリーン>(5万4000円)/ETC車載器(1万2960円)/フロアマット(2万3760円)

テスト車の年式:2016年型
テスト開始時の走行距離:4044km
テスト形態:ロードインプレッション、トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
 

関連キーワード:
ジュリエッタ5004Cスパイダーアルファ・ロメオフィアット試乗記

あなたにおすすめの記事