【F1 2016 続報】第7戦カナダGP「ハミルトン、復活の2連勝」

2016.06.13 自動車ニュース
F1第7戦カナダGPを制したメルセデスのルイス・ハミルトン(右から2番目)、2位に入ったフェラーリのセバスチャン・ベッテル(一番左)、3位はウィリアムズのバルテリ・ボッタス(一番右)。(Photo=Mercedes)
F1第7戦カナダGPを制したメルセデスのルイス・ハミルトン(右から2番目)、2位に入ったフェラーリのセバスチャン・ベッテル(一番左)、3位はウィリアムズのバルテリ・ボッタス(一番右)。(Photo=Mercedes)

2016年6月12日、カナダはモントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットで行われたF1世界選手権第7戦カナダGP。メルセデスのルイス・ハミルトンが王者復活を印象付ける2連勝を達成した。一方でチームメイトのニコ・ロズベルグは接触やパンク、スピンに見舞われ5位。フェラーリはセバスチャン・ベッテルがスタートでトップを奪うも、またもや自らの下した判断で勝利を逃した。

フロントローのメルセデスの2台はスタートで出遅れ、3番グリッドのベッテルがトップでターン1に進入。(Photo=Mercedes)
フロントローのメルセデスの2台はスタートで出遅れ、3番グリッドのベッテルがトップでターン1に進入。(Photo=Mercedes)
スタートでポールシッターのハミルトン(奥)と予選2番手のニコ・ロズベルグ(手前)が軽く接触。ロズベルグはコース外にはじき出され、オープニングラップを10位で終えた。メルセデス同士のこの接触について、ロズベルグは、お互いレースしていたのだからやむなし、との考えを示した。(Photo=Mercedes)
スタートでポールシッターのハミルトン(奥)と予選2番手のニコ・ロズベルグ(手前)が軽く接触。ロズベルグはコース外にはじき出され、オープニングラップを10位で終えた。メルセデス同士のこの接触について、ロズベルグは、お互いレースしていたのだからやむなし、との考えを示した。(Photo=Mercedes)

■失いかけた勢い

メルセデスを駆り、開幕からの4連勝で他を圧倒したポイントリーダー、ニコ・ロズベルグ。5戦目のスペインGPで最大のライバルであるチームメイトのルイス・ハミルトンと接触、2台そろってリタイアすると、続く雨がらみの前戦モナコGPではブレーキとタイヤの熱不足から精彩を欠くドライビングで7位に。その間隙(かんげき)を突いて宿敵ハミルトンが今季初優勝し、ハミルトンに対するロズベルグの貯金は、43点から1勝分以下の24点にまで減ってしまった。
迎えたカナダGPは、ハミルトンが現役最多4勝を記録するモントリオールのコースが舞台。2年連続でチャンピオンシップ2位に甘んじているロズベルグは、失いかけた勢いを取り戻したいところだった。

セントローレンス川の人工島にあるジル・ビルヌーブ・サーキットは、全長4.3kmと短いながらも14ものターンが連なり、ドライバーはストレートで飛ばしてはヘアピンやシケインで急減速というストップ/ゴーを繰り返す。トップスピードは340km/h(2015年の記録)、全体の45%をフルスロットルで駆け抜けるという、パワーユニットの性能がものをいうトラックであり、メルセデスの強心臓を持つマシンが優位との予想が大半を占めた。

カナダGPの週末に入り、そのメルセデスに勝負を挑んできたのが、今回ターボを改良してきたフェラーリ。ここのところレッドブルにお株を奪われていたスクーデリアは、決勝スタートでチャンピオンにカウンターパンチを浴びせた。しかし肝心のところで、挑戦者はまたしても判断を誤ったようだ。

デビューイヤーの2007年に初優勝した思い出の地、カナダで今季2勝目を挙げたハミルトン。ランキング首位のロズベルグには9点差まで詰め寄り、チャンピオン復活を印象付けた。(Photo=Mercedes)
デビューイヤーの2007年に初優勝した思い出の地、カナダで今季2勝目を挙げたハミルトン。ランキング首位のロズベルグには9点差まで詰め寄り、チャンピオン復活を印象付けた。(Photo=Mercedes)

■ハミルトン、得意のカナダでポールポジション

土曜日の予選は時折雨がぱらつくもドライのまま行われた。ポールポジションはハミルトンで、今季4回目、得意のカナダで5回目、自身通算53回目の予選P1を奪った。
タイヤをロックアップするミスで2番手に甘んじたのはロズベルグ。しかしその差はわずか0.062秒で、さらに3番手につけたフェラーリのセバスチャン・ベッテルはポールから0.178秒と、上位のタイムは拮抗(きっこう)していた。

続いてレッドブルの2台が並び、リカルド4位、フェルスタッペン5位。フェラーリのキミ・ライコネンは1アタックのみで6位だった。ウィリアムズが4列目に並びバルテリ・ボッタス7位、同じくフェリッペ・マッサ8位。フォースインディアのニコ・ヒュルケンベルグ9位に次いで、3戦連続でQ3進出を果たしたマクラーレンのフェルナンド・アロンソが10番グリッドを得た。

ここのところレッドブルにお株を奪われっぱなしだったフェラーリは、パワー・サーキットであるモントリオールを前にターボチャージャーを改良。予選ではセバスチャン・ベッテル(写真)が3番手につけ、さらにスタートでは堂々とトップの座を奪うことに成功した。しかし首位走行中に変則2ストップ作戦を採り、結果2位。レース後、マウリツィオ・アリバベーネ代表は作戦の誤りを認めた。(Photo=Ferrari)
ここのところレッドブルにお株を奪われっぱなしだったフェラーリは、パワー・サーキットであるモントリオールを前にターボチャージャーを改良。予選ではセバスチャン・ベッテル(写真)が3番手につけ、さらにスタートでは堂々とトップの座を奪うことに成功した。しかし首位走行中に変則2ストップ作戦を採り、結果2位。レース後、マウリツィオ・アリバベーネ代表は作戦の誤りを認めた。(Photo=Ferrari)
2年連続コンストラクターズランキング3位だったウィリアムズ。今年は王者メルセデスに加えフェラーリとレッドブルに先行を許していたが、7戦目にしてバルテリ・ボッタス(写真)が3位に入りようやく初表彰台を勝ち取った。(Photo=Williams)
 
2年連続コンストラクターズランキング3位だったウィリアムズ。今年は王者メルセデスに加えフェラーリとレッドブルに先行を許していたが、7戦目にしてバルテリ・ボッタス(写真)が3位に入りようやく初表彰台を勝ち取った。(Photo=Williams)
	 

■勝敗の分かれ目となったフェラーリの作戦

レース直前にわずかに雨粒が路面をたたいたものの、天気は大きく崩れることなく、曇天の下、70周のレースが行われた。
スタートでは、抜群の飛び出しでベッテルがトップを奪い、加速の鈍かったメルセデスの2台は横並びから軽く接触、ロズベルグがコース外にはじき出され10位まで順位を落とした。先頭ベッテル、2位ハミルトン、3位フェルスタッペン、4位リカルド、5位ライコネンという順位でオープニングラップを終えた。

1位ベッテルと2位ハミルトンが1秒前後の間隔で周回を重ねていた10周目、ジェンソン・バトンのマクラーレンが白煙を上げストップ、バーチャル・セーフティーカーで各車スロー走行となった。
このタイミングでフェラーリは2台ともピットストップに踏み切り、一番やわらかいウルトラソフトからスーパーソフトにチェンジ。このスクーデリアのギャンブルともいえる作戦が勝敗の分かれ目となった。

ベッテルは、ハミルトン、レッドブル2台の後ろとなる4番手でコースに復帰。その後快調なペースで瞬く間にタンデム走行のレッドブルの真後ろにつけた。17周目のヘアピンでリカルドを抜き3位、翌周にはフェルスタッペンをオーバーテイクし2位までポジションアップ。約10秒前を走る、まだピットストップを行っていない1位ハミルトンに迫った。

リードタイムを5秒台にまで削られたハミルトンは25周目にピットに入り、こちらはソフトタイヤを選択。その間ベッテルが再び首位に返り咲いた。最初のタイヤ交換が一巡すると、1位ベッテル、13秒後方に2位ハミルトン、3位フェルスタッペン、4位ライコネン、5位リカルドという位置関係になった。

ロズベルグは予選2位からスタートの接触&コースアウトで一気に10位までダウン。以後、スローパンクチャーによる緊急ピットインや、残り1周でのスピンなど苦難に見舞われ最終的に5位でチェッカードフラッグを受けた。開幕から4連勝し43点あったポイントリードは9点へと激減した。(Photo=Mercedes)
ロズベルグは予選2位からスタートの接触&コースアウトで一気に10位までダウン。以後、スローパンクチャーによる緊急ピットインや、残り1周でのスピンなど苦難に見舞われ最終的に5位でチェッカードフラッグを受けた。開幕から4連勝し43点あったポイントリードは9点へと激減した。(Photo=Mercedes)
改良型ターボを装着したホンダのパワーユニットを生かして、マクラーレンのフェルナンド・アロンソ(写真)は3連続Q3進出を果たし予選10番手。ジェンソン・バトンは定位置の12番グリッドからレースにのぞんだが、バトンは10周して白煙を上げリタイア。アロンソもポイント圏外の11位と結果残せず。7戦を終えコンストラクターズランキングでマクラーレンは7位(24点)。5位フォースインディア(42点)や、6位トロロッソ(32点)らと中位を争う。(Photo=McLaren)
改良型ターボを装着したホンダのパワーユニットを生かして、マクラーレンのフェルナンド・アロンソ(写真)は3連続Q3進出を果たし予選10番手。ジェンソン・バトンは定位置の12番グリッドからレースにのぞんだが、バトンは10周して白煙を上げリタイア。アロンソもポイント圏外の11位と結果残せず。7戦を終えコンストラクターズランキングでマクラーレンは7位(24点)。5位フォースインディア(42点)や、6位トロロッソ(32点)らと中位を争う。(Photo=McLaren)

■ハミルトン、9点差まで詰め寄る

早めにスーパーソフトを選択したフェラーリは38周目に再びベッテルをピットに呼び、今度は全車に装着義務のあるソフトタイヤを履かせ、1位ハミルトンの7秒後方、2位でコースに戻した。

トップ2台は同じソフトタイヤながら、メルセデスのそれは10周以上使い古されたもの。ハミルトンはタイヤをいたわりながら1ストップで走り切る作戦、追うベッテルは1回多いピットストップの分、フレッシュなタイヤを生かしながら優勝を狙う考えだったが、ベッテルはハミルトンに4秒差まで近づくもそれ以上は難しく、またも今シーズン初優勝を逃すこととなった。

ハミルトンは、スタートには失敗したものの、フェラーリの変則的な作戦に惑わされることなく自らのペースを守り、モナコに続いて2連勝を達成した。ロズベルグが2戦連続で上位に食い込めなかったことで、チャンピオンシップではポイントリーダーの9点差にまで詰め寄ることができた。王者復活を印象付けたレースだった。

次戦ヨーロッパGPは、アゼルバイジャンの首都バクーにつくられた市街地コースでの初レース。決勝は1週間後の6月19日に行われる。

(文=bg)

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