【F1 2016 続報】第12戦ドイツGP「ハミルトン4連勝で後半戦へ」

2016.08.01 自動車ニュース
F1第12戦ドイツGPを制したメルセデスのルイス・ハミルトン(右から2番目)、2位でチェッカードフラッグを受けたレッドブルのダニエル・リカルド(一番左)、同じくレッドブルをドライブし3位でゴールしたマックス・フェルスタッペン(一番右)。(Photo=Mercedes)
F1第12戦ドイツGPを制したメルセデスのルイス・ハミルトン(右から2番目)、2位でチェッカードフラッグを受けたレッドブルのダニエル・リカルド(一番左)、同じくレッドブルをドライブし3位でゴールしたマックス・フェルスタッペン(一番右)。(Photo=Mercedes)

2016年7月31日、ドイツのホッケンハイムリンクで行われたF1世界選手権第12戦ドイツGP。1週間前の前戦ハンガリーGPでポイントリーダーとなったルイス・ハミルトンに、ランキング2位に落ちたニコ・ロズベルグがどう勝負を挑んでくるか。注目のレースは、スタートで早くも雌雄が決してしまった。

スタートでトップを奪ったのは予選2番手のハミルトン(先頭)。ポールシッターのロズベルグは加速が鈍く、2台のレッドブルに先を越された。(Photo=Mercedes)
スタートでトップを奪ったのは予選2番手のハミルトン(先頭)。ポールシッターのロズベルグは加速が鈍く、2台のレッドブルに先を越された。(Photo=Mercedes)
ハンガリーGPの勝利でチャンピオンシップリーダーとなったハミルトン。予選では自らのドライビングミスで2番手に甘んじ仏頂面で記者会見に臨んだが、決勝では抜群の蹴り出しでスタートを決め、1度もトップを譲らず完勝。一転して笑顔でインタビューに応えていた。これで直近の7戦で6勝、7月の4戦は負けなしで、ランキング2位のロズベルグを19点も突き放すことに成功した。(Photo=Mercedes)
ハンガリーGPの勝利でチャンピオンシップリーダーとなったハミルトン。予選では自らのドライビングミスで2番手に甘んじ仏頂面で記者会見に臨んだが、決勝では抜群の蹴り出しでスタートを決め、1度もトップを譲らず完勝。一転して笑顔でインタビューに応えていた。これで直近の7戦で6勝、7月の4戦は負けなしで、ランキング2位のロズベルグを19点も突き放すことに成功した。(Photo=Mercedes)

■シーズン後半につなげる重要な1戦

昨年はニュルブルクリンクが開催を断念したため、F1がドイツにやってくるのは2年ぶり。今年はニュルと隔年でドイツGPを開いているホッケンハイムリンクが舞台だ。1930年代にはメルセデス・ベンツのテストコースとして使われていた、シルバーアローのホームであり、そのマシンを駆るニコ・ロズベルグにとっても母国GPとなる。

前戦ハンガリーGPで、勝利と、開幕以来守り続けてきたポイントリーダーの座を宿敵ルイス・ハミルトンに奪われたロズベルグ。シーズン序盤の4連勝で築いた43点ものリードは、11戦を消化して6点のビハインドになってしまった。

メルセデスの同士打ちが起きた第5戦スペインGPより後の6戦を見ると、ハミルトン5勝に対しロズベルグは1勝のみ。集めたポイントはハミルトン135点、ロズベルグは86点と、いま波に乗っているのは明らかにハミルトンの方である。

長い夏休みを前にした最後の1戦、ロズベルグは何としても勝利というかたちで反撃に転じ、失った勢いを取り戻したかった。一方ハミルトンとしては、ロズベルグを完膚なきまでに打ちのめし、このまま一気に差をつけたかった。タイトルを目指す2人にとって、ドイツGPはシーズン後半につながる重要な1戦となった。

3戦連続でグリッド2列目を占拠したレッドブル。出走100戦目のリカルド(写真)は3番グリッド、フェルスタッペンは4番グリッドからメルセデスに勝負を挑み、ロズベルグの脱落もあってダブルポディウムを達成した。レース終盤、速い方のスーパーソフトタイヤを履き2位まで上り詰めたリカルドは、表彰台でドライビングシューズにシャンパンを注いで飲み干す(!?)ほど上機嫌だった。(Photo=Red Bull Racing)
3戦連続でグリッド2列目を占拠したレッドブル。出走100戦目のリカルド(写真)は3番グリッド、フェルスタッペンは4番グリッドからメルセデスに勝負を挑み、ロズベルグの脱落もあってダブルポディウムを達成した。レース終盤、速い方のスーパーソフトタイヤを履き2位まで上り詰めたリカルドは、表彰台でドライビングシューズにシャンパンを注いで飲み干す(!?)ほど上機嫌だった。(Photo=Red Bull Racing)

■メルセデス同士のポール対決、ロズベルグに軍配

2002年の大改修により超高速コースから中高速コースに生まれ変わったホッケンハイム。それでもターン2から6までの「パラボリカ」と呼ばれるゆるやかなカーブなど全開で駆け抜ける場所は残されており、パワーユニットの力が必要とされるサーキットであることに変わりはない。
となれば、強心臓を持つメルセデス勢の独断場になる。チャンピオンチームは3回のフリー走行すべてで1-2を記録。そのすべてでトップタイムをマークしたのはロズベルグだった。

しかし予選になるとハミルトンが反攻しQ1、Q2と最速タイムをたたき出す。さらにQ3ではロズベルグのマシンに電気系の異常が発生し、最初のアタックを断念しなければならず、その間にハミルトンが暫定首位に立っていた。プレッシャーのかかる中、ロズベルグはなんとかトップタイムを更新し1位に。それを上回ろうと飛ばすハミルトンは、ヘアピンでタイヤをロックさせてしまい2位に甘んじることとなった。

2列目は3戦連続でレッドブルが占拠し、ダニエル・リカルド3位、マックス・フェルスタッペン4位。3列目にはフェラーリの2台が並び、キミ・ライコネン5位、地元ドイツの雄セバスチャン・ベッテルは6位だった。その後ろにはメルセデス製パワーユニット勢が続き、ウィリアムズはバルテリ・ボッタス7位(ニコ・ヒュルケンベルグのタイヤ規定違反ペナルティーで1つ繰り上げ)、フェリッペ・マッサ10位、フォースインディア勢のヒュルケンベルグ8位、セルジオ・ペレスは9位につけた。

予選までは完璧だったロズベルグ。しかしスタートで失敗し、フェルスタッペンをコース外に押し出した行為で5秒加算のペナルティーを受け、結果4位に終わった。ペナルティーには納得がいかないようで「あれがなければ2位だった」と言い張るが後の祭り。最大のライバル、ハミルトンに19点も差を付けられてしまった。(Photo=Mercedes)
予選までは完璧だったロズベルグ。しかしスタートで失敗し、フェルスタッペンをコース外に押し出した行為で5秒加算のペナルティーを受け、結果4位に終わった。ペナルティーには納得がいかないようで「あれがなければ2位だった」と言い張るが後の祭り。最大のライバル、ハミルトンに19点も差を付けられてしまった。(Photo=Mercedes)
メルセデス、レッドブルに次ぐ第3グループが定位置となりつつあるフェラーリ。予選でもライバル2チームに歯が立たずキミ・ライコネン5位、セバスチャン・ベッテル(写真)6位。決勝は孤独な戦いに終始し、ベッテル5位、ライコネン6位だった。コンストラクターズランキングでレッドブルに抜かれ3位に転落したフェラーリは、ドイツGPを前にテクニカルディレクターのジェームス・アリソンの離脱を発表していた。今季のマシン熟成に加え来季型の開発も待ったなしの状況にあるスクーデリアは、難しいかじ取りを迫られている。(Photo=Ferrari)
メルセデス、レッドブルに次ぐ第3グループが定位置となりつつあるフェラーリ。予選でもライバル2チームに歯が立たずキミ・ライコネン5位、セバスチャン・ベッテル(写真)6位。決勝は孤独な戦いに終始し、ベッテル5位、ライコネン6位だった。コンストラクターズランキングでレッドブルに抜かれ3位に転落したフェラーリは、ドイツGPを前にテクニカルディレクターのジェームス・アリソンの離脱を発表していた。今季のマシン熟成に加え来季型の開発も待ったなしの状況にあるスクーデリアは、難しいかじ取りを迫られている。(Photo=Ferrari)

■ロズベルグ、スタートに失敗し4位に後退

予選まで順調にトップの座を守っていたロズベルグが、肝心のレースのスタートで失敗した。抜群の蹴り出しで首位を奪ったのはハミルトン。フェルスタッペンは2位に上がり、リカルドは3位をキープ、ポールシッターのロズベルグはといえば、ホイールスピンが多く4位に脱落してしまい、背後のフェラーリにも抜かれそうになりながらオープニングラップを終えた。

多くが3ストップ作戦を採った今回、12周目にフェルスタッペン、ロズベルグがタイヤ交換の口火を切った。各車最初のピットストップを終えると、上位の順位は変わらないものの、1位ハミルトン(ソフト)、2位フェルスタッペン(スーパーソフト)、3位リカルド(ソフト)、4位ロズベルグ(スーパーソフト)と、各陣営が2人のドライバーに異なるタイヤを履かせてきた。

レース中盤、ロズベルグにまたしても逆風が吹く。4位走行中のロズベルグは、レッドブルをアンダーカットしようと28周目に2度目のピットストップに踏み切った。これに応じて、スーパーソフトに手を焼いていたフェルスタッペンも翌周ピットに飛び込み、ロズベルグの前でコースに復帰した。ロズベルグは諦めず、ヘアピンでフェルスタッペンのインを突き、メルセデスがレッドブルの前に出ることに成功した。
しかしロズベルグのこのオーバーテイクは、フェルスタッペンをコース外に押しやるほどの強引さを伴うもので、これを見たレーススチュワードは、審議の結果、ロズベルグに5秒加算のペナルティーを科すことを決めたのだった。

前戦ハンガリーでは2台そろってQ3進出するなどし、いまや中団のライバルチームからも一目置かれるようになったマクラーレン。パワー重視のドイツ・ホッケンハイムでは、ジェンソン・バトン(写真)予選12位、フェルナンド・アロンソは14位(他車ペナルティーで13位)と中位グリッドに埋もれたものの、レースでは早々に2台ともポイント圏内へ進出。バトンは8位入賞を果たしたものの、アロンソは持ちこたえられず後退、12位完走となった。次戦ベルギー、続くイタリアと高速レースが控えており、ホンダは夏休み明けにパワーユニット改良を予定しているという。(Photo=McLaren)
前戦ハンガリーでは2台そろってQ3進出するなどし、いまや中団のライバルチームからも一目置かれるようになったマクラーレン。パワー重視のドイツ・ホッケンハイムでは、ジェンソン・バトン(写真)予選12位、フェルナンド・アロンソは14位(他車ペナルティーで13位)と中位グリッドに埋もれたものの、レースでは早々に2台ともポイント圏内へ進出。バトンは8位入賞を果たしたものの、アロンソは持ちこたえられず後退、12位完走となった。次戦ベルギー、続くイタリアと高速レースが控えており、ホンダは夏休み明けにパワーユニット改良を予定しているという。(Photo=McLaren)
ドイツGPを前にして、F1ストラテジー・グループは、コックピット周りに装着する「Halo(ヘイロー。日本語で暈<かさ>の意。写真)」などと呼ばれるヘッドプロテクションの来季導入を見送り、2018年からとすることを決めた。今季度々テストされている同装備だが、視認性の確保などまだ課題が多いことが見送りの理由とされた。なお同グループでは、ドイツGPから無線内容を制限するルールを大幅に緩和することも決定。ドライバーを補助する会話を禁止したこのルールは、実態に合っておらず多くのドライバーや関係者から批判の声が絶えなかったが、スタート前を除き自由な会話が認められるようになった。(Photo=Ferrari)
ドイツGPを前にして、F1ストラテジー・グループは、コックピット周りに装着する「Halo(ヘイロー。日本語で暈<かさ>の意。写真)」などと呼ばれるヘッドプロテクションの来季導入を見送り、2018年からとすることを決めた。今季度々テストされている同装備だが、視認性の確保などまだ課題が多いことが見送りの理由とされた。なお同グループでは、ドイツGPから無線内容を制限するルールを大幅に緩和することも決定。ドライバーを補助する会話を禁止したこのルールは、実態に合っておらず多くのドライバーや関係者から批判の声が絶えなかったが、スタート前を除き自由な会話が認められるようになった。(Photo=Ferrari)

■ハミルトン、過去7戦で6勝

2回目のピットストップ後、1位ハミルトン(スーパーソフト)、2位ロズベルグ(ソフト)、3位フェルスタッペン(ソフト)、4位リカルド(スーパーソフト)というオーダーとなったが、ロズベルグには次のピットストップでペナルティーが待っていた。そして速い方のスーパーソフトタイヤを履くリカルドは、早々にフェルスタッペンを抜き3位に上がるとロズベルグのテールを追った。

45周目、ロズベルグが最後のタイヤ交換+5秒ペナルティーを受ける。各車が3度目のピット作業を済ませると、1位ハミルトン、2位リカルド、3位フェルスタッペン、4位ロズベルグとなり、ロズベルグの手からポディウムがこぼれた。

スタートで最大のライバルが消えたことで楽な戦いとなったハミルトンは、終盤スーパーソフトでスパートをかける2位リカルドとの間隔をコントロールし、1度も首位を譲らず完勝。これで7月の4レース全勝、直近の7戦で6勝と文句なしの戦績を残したことになる。

一方故郷で錦を飾るどころか散々なレースを披露してしまったロズベルグは、ハミルトンに19点もの差をつけられてしまった。サマーブレイクの間、この後味の悪さを忘れ、残る後半9戦に向けて心機一転、出直したいところだが……。

次の第13戦ベルギーGP決勝は、夏休み明けの8月28日に行われる。

(文=bg)

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