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ヒュンダイ、試乗インプレッション

2016.08.12 エッセイ

「コルサ」か「ポロ」か、それとも……

「レンタカーは、最も安いグレードのものを借りる」というのがボクの原則である。
もともと、自分のクルマでも見栄を張る気は毛頭ない。ゆえに、借り物のクルマではいいモデルに乗る気など全くおきないのである。

先日ドイツ南西部に赴いたときも、最も安い「エコノミー」というグレードをイタリアから予約しておいた。ウェブサイトには「『フォルクスワーゲン・ポロ』もしくは同等クラス」と表示されていた。 

当日、シュトゥットガルト空港でレンタカー会社に向かう。
カウンターの向こうを見ると、いつものようにオペルのキーが、いくつも無造作に置かれていた。ボクは、「ま、いつもこんなものだよな」と心の中で呟(つぶや)きながら、本エッセイの第391回「痛快! オペルの自虐CM」で紹介した主人公たちの気持ちになった。
さらに困ったことに、カウンターの係員は「残念ですが、お客さまがネット予約したのは、空港じゃなくて、市内貸し出しのクルマですよ」という。よく見ると、たしかにプリントして持参した予約確認書でも「市内」になっている。格安のレンタカー会社探しに気をとられ、貸し出し地の欄で「空港」を選択するのを失念してしまったようだ。

係員は、当然のように手元にあるオペルのキーの束から1台を選ぼうとした。「コルサ」か何かだろう。コルサにはすでに英国で2回、ポーランドでも1回乗っている。ボクは慌てて、「ほ、ほかに何かありますか」と詰め寄った。
すると係員は、「お客さまはもともと空港発の予約ではなかったので、限られますよ」とか何とか言いながらも、後ろの棚に回ってキーを3つ携えてきた。
「今用意できるのはフォルクスワーゲン・ポロ、『プジョー208』、もしくは……」

「もしくは?」ボクはすかさず聞き返す。
すると彼はこう言った。「『ヒュンダイi20』です」

「ヒュンダイを知らないのは日本だけかもしれない」というのは、かつて2000年代にヒュンダイが日本進出を試みた際の広告キャッチであるが、思えばボクもヒュンダイ車を運転したことがない。それに、かつて知り合った日本メーカーのデザイナーが、横浜のヒュンダイ日本研究所に移籍したと、少し前に風のうわさで聞いた。これは話の種になる。

ドイツのシュトゥットガルトで借りた、今回の主役。「ヒュンダイi20」のレンタカー。
「i20」のリモコンキー(ただし、エンジン始動はボタン操作にあらず)は、オーナーの購入満足度をもう少し満たせる意匠が欲しいところ。
同じくキー(反対側)の写真。ドアおよびバックドアの施錠・解錠ボタンが並ぶ。
適度な躍動感のあるたたずまい。Cピラーにはブラックパネルがアクセントとして用いられているが、このボディーカラーではその効果を生かせないのが惜しい。

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大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住20年という脈絡なき人生を歩んできたものの、それだけにあちこちに顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーター。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストをはじめラジオでも活躍中。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。