第360回:かつてないモーターショー
「オートモビル カウンシル2016」を振り返る

2016.08.10 エッセイ
俯瞰(ふかん)した「オートモビル カウンシル2016」の会場風景。
俯瞰(ふかん)した「オートモビル カウンシル2016」の会場風景。

8月5日~7日の3日間、幕張メッセで開催された「オートモビル カウンシル2016」。自動車を文化としてとらえる機会を共有し、世界に発信するために企画されたという新たなオートショーを振り返る。

日産の展示テーマは、ちょうど50年前の1966年8月に日産とプリンスが合併したことにちなんで、「日産とプリンスの融合50年」。展示車両は64年の第2回日本グランプリのGT-IIレースで2位に入賞した「プリンス・スカイラインGT」(写真手前、レプリカ)、66年の第3回日本グランプリの優勝車である「プリンスR380-AⅠ」(右奥)、72年「日産スカイライン ハードトップ2000GT-R」、そして2017年モデルの「日産GT-R」。
日産の展示テーマは、ちょうど50年前の1966年8月に日産とプリンスが合併したことにちなんで、「日産とプリンスの融合50年」。展示車両は64年の第2回日本グランプリのGT-IIレースで2位に入賞した「プリンス・スカイラインGT」(写真手前、レプリカ)、66年の第3回日本グランプリの優勝車である「プリンスR380-AⅠ」(右奥)、72年「日産スカイライン ハードトップ2000GT-R」、そして2017年モデルの「日産GT-R」。
ホンダのテーマは「マイクロスポーツ」。1962年の東京モーターショーに出展されたが、市販化されることなく幻の軽スポーツとなった「スポーツ360」(写真右手前、レプリカ)、64年「S600」(右奥)、そして最新の「S660」(左)の3台を展示。
ホンダのテーマは「マイクロスポーツ」。1962年の東京モーターショーに出展されたが、市販化されることなく幻の軽スポーツとなった「スポーツ360」(写真右手前、レプリカ)、64年「S600」(右奥)、そして最新の「S660」(左)の3台を展示。
「デザインのヘリテージ」をテーマに掲げたマツダは、同社デザインの過去から現在、そして未来までを年代ごとにゾーニング。国内初披露となる「MX-5 RF」を含め、メーカーとしては最多の7台を展示した。これは「1960年 デザイン創成期」の展示で、手前から69年「ルーチェ ロータリークーペ」、60年「R360クーペ」、そして67年「コスモスポーツ」。
「デザインのヘリテージ」をテーマに掲げたマツダは、同社デザインの過去から現在、そして未来までを年代ごとにゾーニング。国内初披露となる「MX-5 RF」を含め、メーカーとしては最多の7台を展示した。これは「1960年 デザイン創成期」の展示で、手前から69年「ルーチェ ロータリークーペ」、60年「R360クーペ」、そして67年「コスモスポーツ」。

メルセデス・ベンツもブースを出展。展示テーマは「SLの系譜」で、手前から1963年「190SL」(W121)、1984年「380SL」(R107)、1990年「500SL」(R129)、そして2016年「SL400」(R231)の4世代のSLを展示した。


	メルセデス・ベンツもブースを出展。展示テーマは「SLの系譜」で、手前から1963年「190SL」(W121)、1984年「380SL」(R107)、1990年「500SL」(R129)、そして2016年「SL400」(R231)の4世代のSLを展示した。

「日本の自動車文化」を世界へ

幕張メッセを訪れたことのある方はご存じだろうが、各展示ホールを結ぶ通路は階上にあり、ホールには階段やエスカレーターで下りるようになっている。そのため通路のレベルから、会場を見下ろすことができるのだ。そのようにして通路レベルからオートモビル カウンシルの会場を俯瞰(ふかん)すると、目に入ってくるのはTOYOTAやSUBARU、MAZDAといったメーカーのサインボード。東京モーターショーや東京オートサロンなどで見慣れたオートショーの風景である。ところが会場フロアに下りると、展示車両の大半はヒストリックカーなのだ。

小は新車の発表会から大はファン感謝イベントまで、メーカー主催のイベントで、ヘリテージモデルと最新モデルが同居するのは、珍しいことではない。だが複数のメーカーの新旧モデルが同一会場に展示される機会となると、限られてくる。鈴鹿サーキットや富士スピードウェイなどレーシングコースのメモリアルイベントや、モータースポーツジャパンくらいだろうか。だが、それらのイベントに展示されるのは、原則としてコンペティションマシンのみ。そうでないモデルを含めた、複数のメーカーの新旧そろい踏みとなる場を設けたのは、「CLASSIC MEETS MODERN」というテーマを掲げた、オートモビル カウンシルが初めてなのである。

にもかかわらず、会場内の雰囲気に違和感がないどころか、とても魅力的だった。なぜこれまでこうしたオートショーがなかったのだろう? と思ったが、それを日本で初めて実現したところに、このイベントの意義があるわけだ。

戦後に限っても70年の歴史があり、すでに世界に誇るべきヘリテージがありながら、産業および商業面の発展に注力するあまり、過去を振り返ることが少なかったわが国の自動車界。世界一の自動車生産大国となった今でも、自動車の文化的価値が十分に認められているとは言いがたい状況に風穴を開けるべく企画されたのが、オートモビル カウンシルなのである。

出展メーカーは、ヘリテージカーと最新モデルを並べることで、過去から現在に至る自社のヘリテージとブランドフィロソフィーを訴える。それらメーカーをはじめ、自動車趣味をバックアップするヘリテージカー専門店からオーナーズクラブに至る出展者、そして自動車を愛好する来場者までが一体となって、日本における自動車文化を育み、世界に向けて発信していこうというイベントである。

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

「エディターから一言」の過去記事リストへ