世界ツーリングカー選手権2011 日本戦開催

2011.10.25 自動車ニュース

世界ツーリングカー選手権(WTCC)2011日本戦開催

世界ツーリングカー選手権(WTCC)2011日本ラウンド、鈴鹿で開催

世界ツーリングカー選手権(WTCC)の第19戦と20戦が2011年10月22-23日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。

1日に2回行われる決勝の、第1レースのスタートシーンから。写真左端で横を向いているのは「ボルボC30」。後続に追突されてクラッシュ&リタイアしてしまう。
1日に2回行われる決勝の、第1レースのスタートシーンから。写真左端で横を向いているのは「ボルボC30」。後続に追突されてクラッシュ&リタイアしてしまう。
こちらも第1レース。セアトを駆るニケルスとシボレーのミューラーが激しいバトルを展開する。
こちらも第1レース。セアトを駆るニケルスとシボレーのミューラーが激しいバトルを展開する。
「シボレー・クルーズ1.6T」の心臓部。1.6リッターのガソリンターボは、310hp、40.8kgmを発生する。
「シボレー・クルーズ1.6T」の心臓部。1.6リッターのガソリンターボは、310hp、40.8kgmを発生する。

■迫力の肉弾戦が魅力

FIA(国際自動車連盟)が認定する世界選手権レースは、たったの4つ。F1、世界ラリー選手権(WRC)、GT1とともにこの由緒正しいタイトルを授けられているのが世界ツーリングカー選手権(WTCC)である。

2005年に世界選手権へと昇格したWTCCが日本で初開催されたのは2008年のこと。当初は岡山国際サーキットがその舞台とされたが、今年から鈴鹿サーキットの東コース(2.243km)で開催されることになった。全長が短い東コースで行われるレースはテンポの良さが魅力で、1994年から1998年まで全日本ツーリングカー選手権が開催されていた当時も、鈴鹿ではこの東コースが使われていた。

WTCCの魅力といえば、何といってもその迫力あふれる肉弾戦であろう。かつてのイギリス・ツーリングカー選手権(BTCC)やJTCCがそうであったように、レース中の軽い接触など日常茶飯事。時にはこれが多重アクシデントに発展することもあり、観客の目を引く。この接触を含め、敵を抜くためとあらばどんな手段もいとわないのがWTCCドライバーたちの特徴で、「普通だったらそのラインはないだろう!」というような、奇想天外な走りが楽しめる。

そんなWTCCに今年はひとつの異変が起きた。これまでは排気量2リッターの自然吸気ガソリンエンジンもしくはターボ・ディーゼルエンジンで競われてきたが、今年からグローバル・レーシング・エンジン構想に基づく1.6リッターのターボ・ガソリンエンジンに一本化されることになったのだ。今季はその移行期間として従来のエンジンも参戦が認められたが、性能的には1.6リッターターボ・ガソリンエンジンのほうが圧倒的に有利ということもあり、WTCC鈴鹿ラウンドに出場した全24台のうち、2リッター自然吸気ガソリンエンジンを搭載していたのは2台だけ(いずれもBMW)。残る22台はいずれも1.6リッターターボ・ガソリンエンジンを積んでいた。

常勝軍団「シボレー・クルーズ」。2011年は3台のワークス体制で、日本ラウンドを迎えるまでに18戦中16勝と圧倒的な強さを見せている。
常勝軍団「シボレー・クルーズ」。2011年は3台のワークス体制で、日本ラウンドを迎えるまでに18戦中16勝と圧倒的な強さを見せている。
鈴鹿の日本ラウンドには、7台の「セアト・レオン」(写真手前)と10台の「BMW 3シリーズ」がエントリーした。
鈴鹿の日本ラウンドには、7台の「セアト・レオン」(写真手前)と10台の「BMW 3シリーズ」がエントリーした。

■しのぎを削る4メーカー

シリーズに参戦しているのはシボレー、ボルボ、BMW、セアトの4メーカー。ただし、BMWとセアトはいずれも車両の製作を行うのみで、ワークスチームは送り込んでいない。いっぽう、ボルボは初のWTCCフル参戦となる今季を「将来的な方向性を探る試験的なエントリー」と位置付けており、1台だけを投入。この結果、フルワークスサポートを得てシリーズ参戦している3台のシボレーが今季のWTCCでは熾烈(しれつ)なタイトル争いを演じることとなった。

第18戦バレンシアまでのポイントテーブルを見ると、ドライバーズチャンピオンの候補はイヴァン・ミューラー(333点)、ロバート・ハフ(317点)、アラン・メニュ(253点)の“シボレー三羽がらす”に絞られた格好。これにトム・コロネル(BMW)、ガブリエル・タルキーニ(セアト)と、プライベートチームのなかではもっとも体制の充実したふたりが続く。いっぽうマニュファクチュアラーズチャンピオンは、前戦を終えた段階ですでにシボレーがタイトル獲得を決めている。

鈴鹿で行われた第19戦ならびに第20戦は、こうした今季の流れを凝縮したような展開となった。全車が参加するQ1、そしてQ1でトップ10入りを果たしたドライバーだけが出走するQ2の2段階で行われる予選では、シボレーのメニュとミューラーがQ2でトップ2に入り、第1レースのフロントローを独占。いっぽう、第2レースのスターティンググリッドは、Q1の結果を基本としながらも、トップ10のみオーダーを逆さまにした“リバースグリッド方式”が採用されているが、ここでは香港のプライベーターであるダリィ・オーヤングがポールポジションを獲得、コロネルが2番グリッドで続いた。

第2レース。スタートダッシュを見せた「BMW320TC」(トム・コロネル)がトップをキープ、そのままレースを制した。
第2レース。スタートダッシュを見せた「BMW320TC」(トム・コロネル)がトップをキープ、そのままレースを制した。
第1レースのスタート直後にクラッシュをきっした「ボルボC30」は、第2レースに無事出走、5位でフィニッシュした。大きく凹んだドアが痛々しい。
第1レースのスタート直後にクラッシュをきっした「ボルボC30」は、第2レースに無事出走、5位でフィニッシュした。大きく凹んだドアが痛々しい。
レース後のシャンパンファイトでライバルから祝福される、トム・コロネル。まるで滝行のよう!?
レース後のシャンパンファイトでライバルから祝福される、トム・コロネル。まるで滝行のよう!?

■タイトル争いは最終戦へ!?

ローリングスタートが採用される第1レースでは、まずミューラーが順当にトップに立ったものの、その後のペースは2番手メニュのほうが明らかに速い。そこでミューラーは事前の口約束どおりメニュにトップを譲る。首位に立ったメニュはそのまま快走して優勝、2位には3番グリッドから追い上げたチームメイトのハフが入った。3位はセアトを駆るプライベーターのマイケル・ニケルス。

第2レースは一転してスタンディングスタート。ここでBMWに乗るコロネルは後輪駆動のトラクションのよさを生かしてトップに浮上、追いすがる“シボレー三羽がらす”を抑えきって今季初の優勝を果たした。2位はミューラー、3位はハフだった。

そんななか、1カーエントリーながら侮れない活躍を示したのがボルボのロバート・ダールグレンである。ボルボC30に乗るダールグレンはQ2で3台のシボレーに割って入る3位と大健闘。しかし、第1レースのスタート直後に後続車に追突されてコースアウト。1コーナー手前のガードレールに激突し、マシンは大破してしまう。
ところが第2レースまでにチームはマシンを修復、6番グリッドにC30を並べることに成功した。スタートで4番手に浮上したダールグレンは、悲願の表彰台を目指して3番手ハフを激しく追撃したが、ハフの巧妙なブロックラインに行く手を阻まれて攻略ならず。15周目の燃料系トラブルで順位を5位に落とすと、そのままチェッカードフラッグを受けたのである。

この結果、ハフはミューラーとのポイント差を3点縮めて16ポイントとすることに成功。ふたりによるチャンピオン争いは、おそらく次戦の上海では決まらず、最終戦マカオへと持ち越されることになりそうだ。

(文=大谷達也(Little Wing)/写真=小河原 認)

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