【SUPER GT 2016】No.19 WedsSport ADVAN RC Fが「完璧なGT500初勝利」

2016.10.10 自動車ニュース
予選トップからスタート、GT500クラスで初勝利を手にしたNo.19 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資)。
予選トップからスタート、GT500クラスで初勝利を手にしたNo.19 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資)。

2016年10月9日、SUPER GTで唯一の海外戦となる第7戦タイ大会の決勝レースがチャーン・インターナショナル・サーキット(ブリーラム)で開催され、GT500クラスはNo.19 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資)が、GT300クラスはNo.25 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允)が、それぞれ困難を乗り越えポール・トゥ・ウィンを達成してみせた。

第7戦となるタイのレースは、SUPER GT唯一の海外ラウンド。タイにしてはやや低めの温度環境での戦いとなった。
第7戦となるタイのレースは、SUPER GT唯一の海外ラウンド。タイにしてはやや低めの温度環境での戦いとなった。
GT500クラスのスタートシーン。No.19 WedsSport ADVAN RC Fを先頭に、1コーナーへと向かう。
GT500クラスのスタートシーン。No.19 WedsSport ADVAN RC Fを先頭に、1コーナーへと向かう。

No.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/牧野任祐)。終盤、牧野の激しい追い上げが見られたものの、ついぞNo.19 WedsSport ADVAN RC Fを攻略できず。2位でレースを終えた。


	No.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/牧野任祐)。終盤、牧野の激しい追い上げが見られたものの、ついぞNo.19 WedsSport ADVAN RC Fを攻略できず。2位でレースを終えた。

■ブリーラムの魔物をもねじ伏せた“神ってる”関口

2015年は6月に第3戦として行われたタイ大会だが、2016年は10月に開催。南国タイとはいえ夏も終わりで、気温は30度程度、路面温度も40度と、各陣営の想定でも低めとなった。だが、ブリーラムのコースではタイヤのトラブル、特にバーストがレースの勝敗を左右することが少なくない。このレースも、そこが勝負の分かれ目となった。

ポールポジションはNo.19 WedsSport ADVAN RC Fの関口雄飛が、コースレコードとなる1分24秒307で獲得した。2週間前に行われたスーパーフォーミュラ第6戦SUGOでも、逆転不可能と思われたタイムギャップを、関口は驚異的な速さで克服して優勝している。今最もノっている、いや、今風に言えば“神ってる”男だ。
最前列から無難なスタートを決めたWedsSport ADVAN RC Fの関口は、追うNo.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀)、No.12 カルソニックIMPUL GT-R(J.P.デ・オリベイラ)を徐々に引き離していく。その差は15周で7秒にまで拡大。関口の走りとヨコハマのミディアムタイヤは、この“暑すぎない”ブリーラムのコンディションにベストマッチといえた。

ピットインのタイミングはレース66周の半ば、30周前後。この頃、WedsSport ADVAN RC Fは2番手カルソニックIMPUL GT-Rに10秒強の差をつけてトップを走行していた。一方、LEXUS TEAM WedsSport BANDOHのピットでは受け入れの準備が完了。「メカニックの余裕のためにも、国本のためにも、ピットインの前にもプッシュした」と、さらにマージンを増やすべく関口がマシンに負荷を強いたことで、その瞬間が訪れた。32周目のコース後半、ピットまであとコーナー2つというところで、WedsSport ADVAN RC Fの左リアタイヤがバーストした。少し前から違和感があったと言う関口は、瞬時に対応してクラッシュを回避。しかも「バーストした状態でもできる限り速く走った」と言うように、“神ってる”男はブリーラムの魔物をねじ伏せてしまったのだ。

3位に入った大嶋和也/A.カルダレッリ組のNo.6 WAKO'S 4CR RC F。レクサス勢は、1-3フィニッシュを決めた。
3位に入った大嶋和也/A.カルダレッリ組のNo.6 WAKO'S 4CR RC F。レクサス勢は、1-3フィニッシュを決めた。
勝利を喜ぶ、LEXUS TEAM WedsSport BANDOHの3人。写真左から、関口雄飛、坂東正敬監督、そして国本雄資。
勝利を喜ぶ、LEXUS TEAM WedsSport BANDOHの3人。写真左から、関口雄飛、坂東正敬監督、そして国本雄資。

■終盤はルーキー牧野の追い上げに騒然

結果的に、突発的なピットインとなったLEXUS TEAM WedsSport BANDOHだが、関口の心意気に応えたメカニックたちは集中して課題をクリア。幸いボディー側にトラブルはなく、国本もこの後WedsSport ADVAN RC Fを快調に走らせた。

だが、レース終盤に各ピットがざわめきだす。2番手のNo.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTとWedsSport ADVAN RC Fの差がジワジワと縮まっていく。なんと、このレースがGT500のデビュー戦である19歳の牧野任祐が国本を上回るペースで走っていたのだ。ピットアウト後に10秒以上あったマージンは、ラスト2周で5秒を切った。だがそれも「最初はプッシュしたが、最後はタイヤをコントロールしてマージンを使いきるつもりだった」という国本の、勝利を優先した計算内。結局WedsSport ADVAN RC Fはトップを一度も譲ることなく66周を走りきり、チームと関口にとってのGT500初勝利が実現した。

GT300クラスでは2度のタイトル獲得を誇るTEAM WedsSport BANDOH。だが2011年にGT500クラスにステップアップしてからは、規模の大きな強豪チームがひしめく中で勝利が遠くなった。歓喜のゴール後、坂東正敬監督と関口、国本が男泣きで喜ぶシーンに、ブリーラムの観客からも惜しみない拍手が送られていた。

GT300クラスのNo.3 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ヤン・マーデンボロー)。一時はトップの座をキープしたが……。
GT300クラスのNo.3 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ヤン・マーデンボロー)。一時はトップの座をキープしたが……。
土屋武士/松井孝允組のNo.25 VivaC 86 MC。タイヤ無交換という作戦が功を奏し、接戦のレースを制した。
土屋武士/松井孝允組のNo.25 VivaC 86 MC。タイヤ無交換という作戦が功を奏し、接戦のレースを制した。
GT300クラスの表彰式。中央のNo.25 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允)は、ポール・トゥ・ウィンで今シーズン初勝利。
GT300クラスの表彰式。中央のNo.25 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允)は、ポール・トゥ・ウィンで今シーズン初勝利。

■GT300はタイヤ無交換のVivaC 86 MCが今季初勝利

GT300クラスは車両の特性を生かした勝負となった。スタートはポールのNo.25 VivaC 86 MC(土屋武士)が先行するも、予選2位のNo.3 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹)がターボパワーを生かしてターン1後のロングストレートで詰め寄り、ターン3であっさりトップを奪う。絶対スピードではGT-Rに負けると判断していた土屋は、当初からピットでの逆転を狙っていた。

折り返しより早めの26周目に25号車はピットイン。タイヤ無交換でピットタイムを短縮し、この大会好調の松井孝允に後を託す。対する3号車はパワーがある反面、早めのピットも無交換も難しく、VivaC 86 MCの逆転先行を許してしまった。しかし、タイヤもフレッシュで速さに勝るB-MAX NDDP GT-R(ヤン・マーデンボロー)は10秒近くあった差を20数周で詰め、残り2周はテール・トゥ・ノーズに。スリリングな最終ラップは松井が守りきり、VivaC 86 MCが今季初優勝を飾った。

次戦は11月12-13日、ツインリンクもてぎ(栃木県)での最終戦となるが、今年は土曜を第3戦、日曜を第8戦として2レースが行われる。5月のオートポリス大会(第3戦)が熊本地震で中止になったことから、代替戦が組み込まれたためだ。これにより今季最後の大会は土日でウェイトハンディも変わり、連勝すれば最大42ポイントもの大量得点が得られることになる。まさにSUPER GT最大の“決戦”と呼ぶべき週末となるであろう。

(文=古屋知幸/写真提供 GTA)

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