第4回:人の縁を運ぶクルマ

2016.11.25 エッセイ
記者の口座から今日も元気に貯金をすすりあげる「ダッジ・バイパー」。同じガラガラヘビでも、持ち主に金と幸運を運んでくれるドナルド・カーチスの水上飛行艇とはえらい違いである。詳しくは映画『紅の豚』をどうぞ。
記者の口座から今日も元気に貯金をすすりあげる「ダッジ・バイパー」。同じガラガラヘビでも、持ち主に金と幸運を運んでくれるドナルド・カーチスの水上飛行艇とはえらい違いである。詳しくは映画『紅の豚』をどうぞ。

「金と名声を運んでくれる、幸運のガラガラヘビさ」
これは宮崎 駿監督の名作『紅の豚』に出てくる敵役の名ゼリフである。おかしい。記者が飼っているガラガラヘビは、金も名声も運んでくれない。今日も駐車場にふんぞり返り、私の貯金をチューチューすすっているだけである。今回は、かように怠惰なわが家のヘビ(=「ダッジ・バイパー」)が運んできた、金でも名声でもなく、縁(えにし)のお話をさせていただく。

多方面にわたる深い造詣と、どこで仕入れてくるのか分からぬよもやま話が持ち味のwebCGデスク竹下。ビートルズの話になると終電が過ぎても終わらないので、その話題だけは彼に振ってはいけない。
多方面にわたる深い造詣と、どこで仕入れてくるのか分からぬよもやま話が持ち味のwebCGデスク竹下。ビートルズの話になると終電が過ぎても終わらないので、その話題だけは彼に振ってはいけない。
「CG CLUB」とは、『CAR GRAPHIC』や『CAR GRAPHIC TV』のファンによるコミュニティーのこと。発足は1987年という、なかなかに年季の入ったクラブである。写真は「オートモビル カウンシル2016」における、CG CLUBのブースの様子。
「CG CLUB」とは、『CAR GRAPHIC』や『CAR GRAPHIC TV』のファンによるコミュニティーのこと。発足は1987年という、なかなかに年季の入ったクラブである。写真は「オートモビル カウンシル2016」における、CG CLUBのブースの様子。
最初のコンタクトから数日後に届けられた、紺色の小箱。シミもつぶれもなく、非常に奇麗な状態である。この箱だけでも「大事に扱われてきたものなんだろうな」と分かる。
最初のコンタクトから数日後に届けられた、紺色の小箱。シミもつぶれもなく、非常に奇麗な状態である。この箱だけでも「大事に扱われてきたものなんだろうな」と分かる。

前代未聞の問い合わせ

「俺のところに、ほった君にプレゼントをあげたいっていう人から連絡がきているよ」

事の発端は、webCGデスク竹下の言葉だった。
記者は思った。これはなんと奇特な方か。タレント事務所のアイドルならまだしも、自動車媒体の下っ端編集部員にプレゼントを贈りたいとは。……さては詐欺だな。

「ちがうよ。昔、バイパーにあこがれていろいろなグッズを集めていた人が、このエッセイを読んで、執筆者にコレクションを譲りたいと連絡してきたの」

竹下いわく、その御仁は自身の知り合いで、「CG CLUB」のメンバーで、一時は『CAR GRAPHIC』編集部にとっても縁浅からぬ人物であったとのこと。うーむ。情報が具体的で細かい。どうやら、竹下が脳内で生成した空想世界の住人でも、霊感の強い彼にしか見えない“何か”でもないようである。

恵比寿の小さな編集部は色めきたった。著名なライターや評論家にならまだしも、一介の編集部員にプレゼントの申し出である。前代未聞の珍事である。早速竹下より連絡先を受け取り、謹んでコレクションをいただきたいと返信。メールにはもちろん、直接お会いして謝辞を伝えたい旨も書き添えた。

程なくして、まずは当時もののキーホルダーが編集部に届けられた。具体的なブツの到来に、再び色めきたつ編集部。プチプチによる厳重な梱包(こんぽう)を解くと、中からは紺色の小箱が現れた。目立った傷もなく、状態はすこぶる良好である。他のメンバーがかたずをのんで見守る中、慎重にフタを開く。

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