トヨタが新世代のパワートレインを発表

2016.12.07 自動車ニュース
今回発表された、新開発2.5リッター直4エンジン「Dynamic Force Engine」。
今回発表された、新開発2.5リッター直4エンジン「Dynamic Force Engine」。

トヨタ自動車は2016年12月6日、パワートレーンカンパニーの開発体制の見直しと強化を発表するとともに、新たに開発したエンジンおよびトランスミッションを初公開した。

パワートレインに関する取り組みについて説明する、トヨタ自動車 専務役員 パワートレーンカンパニー プレジデントの水島寿之氏。「ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車を含め、いまだ大多数のクルマはガソリンエンジンを搭載する。CO2削減のためにはパワートレイン改善による燃費向上が急務」などと語った。
パワートレインに関する取り組みについて説明する、トヨタ自動車 専務役員 パワートレーンカンパニー プレジデントの水島寿之氏。「ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車を含め、いまだ大多数のクルマはガソリンエンジンを搭載する。CO2削減のためにはパワートレイン改善による燃費向上が急務」などと語った。
「Dynamic Force Engine」のカットモデル。写真中央に見られるバルブ部分の新工法「レーザークラッドバルブシート」が高効率化のポイントとされる。
「Dynamic Force Engine」のカットモデル。写真中央に見られるバルブ部分の新工法「レーザークラッドバルブシート」が高効率化のポイントとされる。
こちらは、新開発の「Dynamic Force Engine」にハイブリッドシステムを組み合わせた、2.5リッターエンジンベースの新型「THSII」。
こちらは、新開発の「Dynamic Force Engine」にハイブリッドシステムを組み合わせた、2.5リッターエンジンベースの新型「THSII」。
会場には、10段ATのカットモデルも展示された。2017年春発売予定の新型スポーツカー「レクサスLC」に搭載される。
会場には、10段ATのカットモデルも展示された。2017年春発売予定の新型スポーツカー「レクサスLC」に搭載される。
「Multi-stage THSII」。写真で右半分にあたる「システムステージ変速機構」の働きにより、幅広い速度域で効率とパフォーマンスを向上させたとうたわれる。
「Multi-stage THSII」。写真で右半分にあたる「システムステージ変速機構」の働きにより、幅広い速度域で効率とパフォーマンスを向上させたとうたわれる。

効率と楽しさを両立

今回の発表の根底にあるのは、地球温暖化現象の原因とされるCO2排出を一刻も早く減少に転じさせなければならないというトヨタの思いだ。この願いを現実のものとするため、トヨタ車に搭載されるパワートレインの高効率化を強力に推進するとともに、この方針に基づいて開発した新世代パワートレインをグローバルに展開するというのが、今回の発表の骨子といえる。

まず、開発体制面では、開発部門、試作・工法開発機能評価、車両評価・パワートレイン評価の各部門をひとつの建屋内に設置。先行開発から製造までを一気通貫で一体開発する体制を整えた。

この体制下で開発された新世代パワーユニットの第1弾が「Dynamic Force Engine」と名付けられた2.5リッター直4エンジン。これは、従来は困難とされた高吸気効率と高タンブルを、ストレートな吸気ポート形状と従来よりもややロングストロークなボア・ストローク比によって生み出すユニットで、内燃機関単体で40%、ハイブリッド化することで41%という驚異的な熱効率を実現したのが特徴である。

このエンジンのキーテクノロジーといえるのが「レーザークラッドバルブシート」だ。従来、吸気ポートの終端部には別体のパーツとして作成した環状のバルブシートをはめ込んでいたが、吸気ポートとバルブシートが別々のパーツだったがゆえに吸気ポート形状に制約が生まれ、このため理想的な吸気ポートを実現できなかった。しかし、レーザークラッドと呼ばれる技術により、バルブシート部分に求められる性質の素材をレーザー光によって溶出。別体のバルブシートは不要になり、理想に近い吸気ポート形状を成し得たことが、効率向上の大きな柱となっている。さらにこのエンジンは、豊田章男社長が提唱する「もっといいクルマづくり」の思想に基づき、ファン・トゥ・ドライブな性質も改善。ダイレクトかつスムーズなフィーリングを実現しているという。

この超高効率エンジンを軸としながら、トヨタは横置きを前提とした8段AT「Direct Shift-8AT」、縦置き用の10段AT「Direct Shift-10AT」も開発。多段化に伴う伝達効率の低下を地道な研究開発によって補い、高効率でありながらファン・トゥ・ドライブなギアボックスに仕上げたとうたう。

また、トヨタのお家芸であるハイブリッドシステムに関しても、現行型「プリウス」に搭載されている「トヨタハイブリッドシステム(THSII)」の効率と走りの性能をさらに改善した新THSIIを開発したほか、この新THSIIに4段ギアを組み合わせてさらに幅広い速度域での効率とパフォーマンスを向上させた「Multi-stage THSII」も開発。2017年以降、順次グローバルに展開する計画だ。

今回発表された2.5リッター直4エンジンの新技術は、単気筒あたりの容積とシリンダー数を変えながら多くのトヨタ車に採用される見込み。今後の展開が実に楽しみである。

(文=大谷達也<Little Wing>/写真=webCG)

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