安全、良質、スタイリッシュ

子どものころ、未来的というよりも、地球防衛隊的な乗りものっぽく見えた2ドアクーペボディーは、レストアされてまさに新車同様である。ドアやボンネットやトランクなど、開口部の建てつけがシャンとしているのは、良質のスウェーデン鋼のおかげだろうか。

プロポーションからわかるとおり、キャビンはコンパクトである。特に前後長が短い。長身者なら、運転席に座ったまま、リアのガラスに手が届くはずだ。
運転席と助手席のあいだに、赤いレバーが2本並んでいる。最初、外からのぞき込んだとき、何かと思った。チョークレバーだろうか? EFIなのに。乗り込んでベルトをしたら、わかった。シートベルトのキャッチに付いているリリースレバーだった。ボルボは1959年に世界で初めて3点式シートベルトを採用したメーカーである。黒基調の車内でひときわ目立つ赤いレバーに、安全性をすでに強く打ち出していたボルボの意欲が見てとれる。
富士五湖方面へワンデイトリップした240kmで、燃費は7.2km/リッターを記録する。

富士山の見える駐車場に止めておいたら、新しいスーパーカーだと思ったのか、中国人観光客に囲まれて、買ったばかりの一眼レフで写真を撮られた。
いまの「V40」とか「V60」とか「XC60」とか、あるいはちょっと前の「C30」とか、最近のボルボしか知らない人だと、ボルボはスタイリッシュなクルマのメーカーだと思っているかもしれない。でも、カッコイイ系ボルボの元祖は、P1800である。

(文=下野康史<かばたやすし>/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資)

ドアパネルやウィンドウに施されたメッキのモールディング。曇りや腐食はもちろん、古いクルマにありがちなパネル間の“段つき”などもなく、非常に良好な状態を保っていた。
ドアパネルやウィンドウに施されたメッキのモールディング。曇りや腐食はもちろん、古いクルマにありがちなパネル間の“段つき”などもなく、非常に良好な状態を保っていた。
3点式シートベルトはボルボが1959年に実用化したもの。「PV544」から導入が進められた。
3点式シートベルトはボルボが1959年に実用化したもの。「PV544」から導入が進められた。
後席スペースは、背もたれを倒すと写真のように荷室としても使えるようになっていた。
後席スペースは、背もたれを倒すと写真のように荷室としても使えるようになっていた。
 
ボルボP1800E(FR/4MT)【試乗記】の画像
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