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スバルXV 2.0i-S EyeSight(4WD/CVT)/XV 1.6i-L EyeSight(4WD/CVT)

ちょうどいい「スポカジ」 2017.04.24 試乗記 デザインから走破性能、そして安全性能まで、全方位的に進化した新型「スバルXV」に試乗した。機能性や実用性に優れるだけでなく、誰もが親しみやすいキャラクターも備えた新型は、スバルが主張するとおり、ちょうどいい「スポカジ」に仕上がっていた。

スバルゆえの悩み

米国市場を中心に絶好調と言ってもいい現在のスバルにも実は悩みがあるらしい。それはスバル各車が本格的すぎるとして、普通のユーザーからちょっと距離を置かれているのではないかということだ。確かにこの4月から社名も「株式会社SUBARU」に変更したスバルの全生産台数の98%は4WDモデルであり(スバルはAWDと称する)、形はSUVっぽいものがいいが、4WDまでは必要ないと考える顧客にとっては、ちょうどいいモデルが見当たらないのかもしれない。はたからみれば贅沢(ぜいたく)な悩みとも言えるし、スバルはそれこそが魅力じゃないかと私などは思うが、やはりもう少し顧客層を広げたいようだ。マニアックな4WDメーカーで、クルマにうるさい人たちだけが乗るブランドと思われているハードルを何とか下げたいのが望みらしい。そこで、こだわりはあるが実用的でもっと気軽に乗れることを訴求するために打ち出したキーワードがスポーツカジュアル、略して「スポカジ」である。モノ系雑誌のキャッチコピーみたいで、オヤジ世代にはちょっと気恥ずかしいが、本格的機能性と親しみやすさ、扱いやすさを両立させたい狙いはよく分かる。新型XVに新たに1.6リッターモデルが設定されたのもそれをにらんでのことだ。

XVは昨年発売された新型「インプレッサ」と同様、新世代のSGP(スバルグローバルプラットフォーム)を採用した第2弾、いわゆるクロスオーバーSUVである。自然吸気の2リッターと1.6リッターの2種の水平対向4気筒にリニアトロニックCVTを組み合わせたパワートレイン、ホイールアーチにガードモール(クラッディング)を備えて程よい道具感を演出したデザインなど、全体として従来型の正常進化型である。

 

2017年4月6日に発表された新型「スバルXV」。同年5月24日に発売される。
2017年4月6日に発表された新型「スバルXV」。同年5月24日に発売される。拡大
黒とグレーを基調とした内装の各所に、オレンジ色のステッチがアクセントとして入る。「XV」らしい遊び心やアクティブ感を表現したという。
黒とグレーを基調とした内装の各所に、オレンジ色のステッチがアクセントとして入る。「XV」らしい遊び心やアクティブ感を表現したという。拡大
エンジンは2リッター(写真)と1.6リッターの水平対向4気筒。いずれも自然吸気で、それぞれ154psと115psを発生する。
エンジンは2リッター(写真)と1.6リッターの水平対向4気筒。いずれも自然吸気で、それぞれ154psと115psを発生する。拡大
今回は特設コース内で、登録前の車両に試乗した。写真は「2.0i-S EyeSight」。ボディーカラーはサンシャインオレンジ。
今回は特設コース内で、登録前の車両に試乗した。写真は「2.0i-S EyeSight」。ボディーカラーはサンシャインオレンジ。拡大

 

扱いやすいサイズと走破性を両立

SUVとはいっても、全高を1550mmと機械式駐車場に入る高さに抑えて、都市圏での実用性に配慮しているのがXVの特徴だ。それでも形だけクロスオーバーSUV的な、見かけ倒しで済ませないところが“ヨンクのスバル”の意地というかこだわりである。「ホンダ・ヴェゼル」でも「トヨタC-HR」でも主力車種はFWD(前輪駆動)モデルらしいが、そもそもXVは以前からAWDのみ、しかも新型は、ベーシックグレード以外は各輪の駆動力を個別制御し、ヒルディセントコントロールも備わるXモード付き、さらに最低地上高は200mmを確保してある。これは本格的なクロスカントリー4WDに近い数値である。ちなみにC-HRの地上高は155mm、ヴェゼルは170mm(ともに4WDモデル)である。股下が長くなれば、それだけで轍(わだち)が深くなった砂利道や雪道などでの走破性が高くなるのは言うまでもないが、地上高を上げれば重心が高くなり、いろいろと解決すべき問題も増える。それでもそこはスバルにとって譲れない条件だったのである。

最近はやりのコンパクトSUVに比べると、前方左右や後方視界は抜群だ。“クーペライク”に見せるための隠しリアドアハンドルを採用していないことも見通しの良さに寄与しており、当然室内はルーミーで明るい。従来型からホイールベースがわずかに延長されたこともあって(+30mmの2670mm)リアシートの広さにも余裕がある。

「2.0i-S EyeSight」のフロントシート。中央部がトリコット、サイド部がトリコットおよび合皮からなる、専用シートが装着される。
「2.0i-S EyeSight」のフロントシート。中央部がトリコット、サイド部がトリコットおよび合皮からなる、専用シートが装着される。拡大
2リッター、1.6リッターとも、トランスミッションはリニアトロニックCVTとなる。
2リッター、1.6リッターとも、トランスミッションはリニアトロニックCVTとなる。拡大
クラスを超えた室内の広さも新型「XV」の自慢のひとつ。後席の足元は旧型より26mm広がった。
クラスを超えた室内の広さも新型「XV」の自慢のひとつ。後席の足元は旧型より26mm広がった。拡大
ラゲッジルームの容量は385リッター(VDA法)。後席には6:4の分割可倒機構が備わる。
ラゲッジルームの容量は385リッター(VDA法)。後席には6:4の分割可倒機構が備わる。拡大

すっきり軽快、なかなか上質

グラウンドクリアランスを大きくすれば悪路や雪道での走破性が向上し、床下を擦る心配も少なくなるが、当然その代わりに重心が高くなり、オンロードでの運動性能に影響が出るのが当たり前である。大きなタイヤを履き、サスペンションのストロークが増えればそれを適切にコントロールするのも難しくなる。それがSUVの一般的な課題だが、インプレッサと同時開発されたというXVは、最初から車高の高さを考慮して設計されており、重心高とロールセンターの位置を最適化するように工夫されているという。

実際に、試乗会で試した限りでは、左右に切り返すような場面でも腰高な不安感はまったくなかった。さすがにインプレッサほどのシャープさはないものの、すっきり身軽に、リニアに操作に応えてくれる。高速道路などは試すことができなかったが、静粛性も従来型から向上しているようで、ラフなバイブレーションなども感じられず、総じて上質な乗り心地である。肩ひじ張らずに、どんな場面でも安心して走れるように感じさせる点は、スポーツ&カジュアルを主張する通りである。

新プラットフォームの採用により、操舵応答性と操縦安定性を一段と高めた。写真の車両は「2.0i-S EyeSight」、ボディーカラーはクールグレーカーキ。
新プラットフォームの採用により、操舵応答性と操縦安定性を一段と高めた。写真の車両は「2.0i-S EyeSight」、ボディーカラーはクールグレーカーキ。拡大
メーターはアナログ2眼式。中央に4.2インチの液晶パネルが配置される。タコメーター(左)のレッドゾーンは6300rpmから。
メーターはアナログ2眼式。中央に4.2インチの液晶パネルが配置される。タコメーター(左)のレッドゾーンは6300rpmから。拡大
タイヤサイズは「2.0i-S EyeSight」(写真)が225/55R18(前後とも)、それ以外のモデルはすべて225/60R17(同)となる。
タイヤサイズは「2.0i-S EyeSight」(写真)が225/55R18(前後とも)、それ以外のモデルはすべて225/60R17(同)となる。拡大
新型ではボディーのフレームワークを一新した。それにより、従来比+70~100%という大幅な剛性向上を実現した。
新型ではボディーのフレームワークを一新した。それにより、従来比+70~100%という大幅な剛性向上を実現した。拡大

飛ばさないなら1.6リッターも魅力的

そんなスバルの弱点があるとすれば、それはやはりパワートレインということになるだろう。2リッター(154ps/6000rpm、196Nm/4000rpm)と1.6リッター(115ps/6200rpm、148Nm/3600rpm)の水平対向エンジンはどちらもインプレッサと同じユニットながら、車重がおよそ50kg重い分、若干敏しょうさに欠けるし、さらにCVTのタイムラグというかレスポンスの遅れがやはり残念だ。ごく普通に走る時はまず問題ないが、一気に加速したい時、あるいはタイトな山道でスロットルを微妙にコントロールしたい場合などは、もっとダイレクトに右足からタイヤまでが結ばれていてほしい。その点ではSI-ドライブとシフトパドルが備わる2リッターモデルはまだましかもしれないが、フル加速時に音だけうるさくなるのは変わりない。

今のところ従来型には存在したハイブリッド、あるいはクリーンディーゼルなどの飛び道具的パワーユニットは用意されていないが、その代わりにかなりお買い得な価格設定と言えるだろう。ベーシックグレードの「1.6i EyeSight」は税抜きだと200万円を切る価格だが、シフトパドルなどいくつかの装備が省略されているものの、アイサイトや歩行者保護エアバッグなどの安全装備は全車標準装備である(ハイビームアシスト/リアビークルディテクションはオプション)。

新型XVはすっきりすがすがしく、時には悪路や雪道を走る機会がある人には打ってつけの実用AWDである。と考えていたところに聞き逃せない情報を耳にした。米国には6MT仕様もあるという。さほどパワフルでなくてもMTならきっともっと身軽でダイレクトで、特に雪道などはすごく楽しいのではないだろうか。限定でいいです。ぜひご検討ください。

(文=高平高輝/写真=田村 弥/編集=竹下元太郎)

新型では1.6リッター自然吸気エンジン搭載車が設定された(写真は「1.6i-L EyeSight」)。JC08モード燃費は16.2km/リッター。
新型では1.6リッター自然吸気エンジン搭載車が設定された(写真は「1.6i-L EyeSight」)。JC08モード燃費は16.2km/リッター。拡大
インパネ中央の上面に設置されるディスプレイにはさまざまな車両情報が表示される。写真は車体の傾斜角などを知らせる「予防安全画面」。
インパネ中央の上面に設置されるディスプレイにはさまざまな車両情報が表示される。写真は車体の傾斜角などを知らせる「予防安全画面」。拡大
特設ダートコースを行く。悪路では200mm確保された最低地上高が効く。
特設ダートコースを行く。悪路では200mm確保された最低地上高が効く。拡大
新型にはエンジンやトランスミッション、4WD機構、VDCを統合制御して走破性能を強化するXモードが採用された。下り坂で車速が急に上がってしまうような場面ではヒルディセントコントロールが作動する。
新型にはエンジンやトランスミッション、4WD機構、VDCを統合制御して走破性能を強化するXモードが採用された。下り坂で車速が急に上がってしまうような場面ではヒルディセントコントロールが作動する。拡大
スバルXV 2.0i-S EyeSight
スバルXV 2.0i-S EyeSight拡大
 
スバルXV 2.0i-S EyeSight(4WD/CVT)/XV 1.6i-L EyeSight(4WD/CVT)【試乗記】の画像拡大

テスト車のデータ

スバルXV 2.0i-S EyeSight

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4465×1800×1550mm
ホイールベース:2670mm
車重:1420kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター水平対向4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:154ps(113kW)/6000rpm
最大トルク:196Nm(20.0kgm)/4000rpm
タイヤ:(前)225/55R18 98V/(後)225/55R18 98V(ブリヂストン・デューラーH/Pスポーツ)
燃費:16.4km/リッター
価格:267万8400円/テスト車=--円
オプション装備:--
※試乗車は未登録車。

テスト車の年式:2017年型
テスト車の走行距離:1433km
テスト形態:ロードインプレッション ※特設コースでの試乗。
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

スバルXV 1.6i-L EyeSight
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スバルXV 2.0i-S EyeSight(4WD/CVT)/XV 1.6i-L EyeSight(4WD/CVT)【試乗記】の画像拡大

スバルXV 1.6i-L EyeSight

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4465×1800×1550mm
ホイールベース:2670mm
車重:1410kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.6リッター水平対向4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:115ps(85kW)/6200rpm
最大トルク:148Nm(15.1kgm)/4000rpm
タイヤ:(前)225/60R17 99H/(後)225/60R17 99H(ヨコハマ・ブルーアースE70)
燃費:16.2km/リッター
価格:224万6400円/テスト車=--円
オプション装備:--
※試乗車は未登録車。

テスト車の年式:2017年型
テスト車の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション ※特設コースでの試乗。
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

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XVスバル試乗記

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