堅実なルノー、浮世離れしたブガッティ【フランクフルトショー2011】

2011.09.20 自動車ニュース
フランクフルトモーターショーのルノーブース。
【フランクフルトショー2011】堅実なルノーブース、いつでも特別なブガッティ

【フランクフルトショー2011】堅実なルノー、浮世離れしたブガッティ

欧州で開催される秋のモーターショーは、1年ごとにフランクフルトとパリで交互開催される。つまりフランス勢にとって今年は裏の年に当たるわけだ。当然、地元パリ開催に比べるとフランス勢のトーンダウンは否めない。しかし、今年はそれを差し引いても元気がなかった。

ルノーブースでは、同社のカルロス・ゴーン会長兼CEOやF1ドライバーのセバスチャン・ベッテルらの姿も見られた。
堅実なルノーブース、いつでも特別なブガッティ【フランクフルトショー2011】

ワールドプレミアの数は多かったものの、コンセプトカーを除く大物市販モデルの初公開はPSAが「プジョー508RXH」、「シトロエンDS5」、そしてルノーは「トゥインゴ」と「コレオス」のマイナーチェンジ程度。しかも、508RXHは追加モデルだし、DS5は上海ですでに最終形を見せていた。ルノーの2台もブランニューの新型車ではない。というわけで、いくら裏の年とはいえ、もう少し頑張ろうよ、というのが正直な感想だ。地元ドイツ勢の勢いがスゴ過ぎたという事情もあるのだけど……。

「ルノー・フレンジー」
「ルノー・フレンジー」
堅実なルノー、浮世離れしたブガッティ【フランクフルトショー2011】の画像
堅実なルノー、浮世離れしたブガッティ【フランクフルトショー2011】の画像

■第2の「カングー」登場?

前回は電気自動車(EV)のコンセプトカーを多数送り出し、“フランクフルト秋の電気祭り”といった感じの大盛り上がりを見せていたルノー。今年の目玉はトゥインゴのマイナーチェンジとEVコンセプトの「フレンジー」だ。

フレンジーは「カングー」などと同じ、商用と乗用に兼用できるMPVである。全長4091mm、全幅1743mmと、初代カングーよりもひと回り大きなサイズを持つ。カングーが2世代目へ進化し、BセグメントからCセグメントサイズへとひとクラス上にポジションアップしてできた、その隙間を埋めるモデルだ。出来を見る限り市販化は間違いなさそうだ。コンセプトカーはフルEVだったが、市販の際には通常のガソリンやディーゼルエンジンも搭載されるだろう。

デザインは内外装ともコンセプトカー然としたものだが、奇をてらったところはない。市販化が十分考慮されている証しだ。中央が大きく左右が細く真ん中にルノーマークを配したグリルや、途中から一段低くなるサイドのグラスラインなどはこれまでのルノーのコンセプトカーに見られたディテールで、すでになじみのあるもの。そのことからも、フレンジーが単なるデザインスタディではなく、市販化へ向けた提案モデルであることが想像できる。


「ルノー・トゥインゴ モーブッサン」
「ルノー・トゥインゴ モーブッサン」
「ルノー・トゥインゴRS」
「ルノー・トゥインゴRS」
「ルノー・コレオス」
「ルノー・コレオス」

■「トゥインゴ」がフェイスリフト

ルノーブースの最前列をたくさんの台数で飾ったのは、フォルクスワーゲンから出展された「up!」という強敵を迎え撃つべく、大幅なマイナーチェンジが行われたトゥインゴだ。

エクステリアは写真を見てのとおり、大きなイメージチェンジが図られている。これまでもグリルレスの特徴的なデザインだったが、新型はよりシャープでスポーティな意匠に変更。ヘッドライト下にフォグランプが配されたユニークなデザインとなった。すまし顔だった従来型と比べると、表情が豊かになったことで日本市場でも受け入れられるはずだ。インテリアも配色や素材の変更によりブラッシュアップが図られている。

1.2リッター直4ガソリンをはじめ、パワートレインに大きな変更はない。ただし、1.5リッター直4ディーゼルターボのCO2排出量を94g/kmから85g/kmへと削減するなどの改良が施されている。

標準モデルのほかにも、フランスのジュエリーブランド、MAUBOUSSIN(モーブッサン)とのコラボモデルや、1.6リッター直4エンジンを搭載した「トゥインゴRS」「トゥインゴ ゴルディーニ」などがお目見え。ちなみに日本で、ゴルディーニはトゥインゴRSの上を行く最強バージョン的な扱いだが、こちらではセットオプションのスポーティパッケージで、1.2リッター直4ガソリンモデルにも装着できる。

このほかルノーブースには、トゥインゴ同様にフロントマスクを一新したマイナーチェンジ版のコレオスや、前回の“電気祭り”のときにお披露目されたEVの市販モデルといったニューモデルのほかに、生誕50周年を迎えた「4(キャトル)」やルノーエンジンを搭載するレッドブルのF1マシンなども展示されていた。プレスデイ初日にはレッドブルのドライバーとして現在F1のドライバーズランキングのトップを独走するセバスチャン・ベッテルとチーム代表のクリスチャン・ホーナーがブースを訪れ、カルロス・ゴーンCEOらと談話する光景が見られた。

「ブガッティ・ヴェイロン グランスポーツL'Or Blanc」
「ブガッティ・ヴェイロン グランスポーツL'Or Blanc」
堅実なルノー、浮世離れしたブガッティ【フランクフルトショー2011】の画像

■ブガッティから超豪華モデル

ルノーやPSAグループなどの量産メーカー以外にフランスで忘れてはならないのが、ブガッティである。世界最速の称号を持つ世界で最も豪華なスポーツカーブランドのひとつとして名をはせているのはご存じのとおり。今回のフランクフルトでは「ヴェイロン」のオープン版である「グランスポーツ」をベースにしたワンオフモデル、「グランスポーツL'Or Blanc」をお披露目した。

グランスポーツL'Or Blancはベルリン王立磁器製陶所(KPR)とのコラボモデルで、内外装にはKPRによる特別なデザインが施されている。エクステリアは車名にもなっているL'Or Blancと呼ばれるKPMの特徴であるホワイトのボディカラーに鮮やかな青い模様が描かれ、スペシャルな雰囲気を醸し出す。インテリアもホワイトを基調にブルーを組み合わせた仕上げとなっている。

ちなみに価格は165万ユーロ、日本円に換算するとなんと約1億7325万円。おそらくターゲットは新規ユーザーではなく、すでにヴェイロンを色違いで持っているようなユーザーで、「あなただけの特別なモデルはいかが?」と売ってしまうのだろう。クルマもスペシャルだが、売り方や顧客もまたスペシャルだからこそ、このようなモデルが成立するのだろう。

(文と写真=新井一樹)

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