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日産エクストレイル20Xハイブリッド(4WD/CVT)/エクストレイル20X(4WD/CVT)

先進装備もいいけれど 2017.07.03 試乗記 日産のミドルクラスSUV「エクストレイル」がマイナーチェンジ。運転支援システム「プロパイロット」の設定が話題となっているが、実際に試乗してみると、そのほかにも注目すべきトピックにあふれるクルマに仕上がっていた。

現行型では初の“ビッグマイナーチェンジ”

日産自動車の初代エクストレイルといえば、1997年の登場当時でさえオンロード志向が進んでいた他社の同クラスSUVを尻目に、オフロードでの高い走行性能や、汚れにくいシートや荷室など、アウトドアでの使い勝手を徹底的に追求したモデルとして独自の存在感を示していたのが印象に残っている。直線基調の実用的なデザインを初代から踏襲した2代目に対し、現行型の3代目エクストレイルはガラリとイメージチェンジを図り、都会的なデザインへと変貌した。その3代目エクストレイルが、2013年12月の登場以来、4年半を経て初めての大幅な部分改良を迎えた。

外観では、先に大幅な部分改良を実施した「ノート」と同様に、日産車のアイデンティティーである「Vモーション」と呼ばれるフロントグリルの装飾を拡大したほか、フロントヘッドランプのデザインも一新し、より輪郭を強調した精悍(せいかん)な印象とした。こうしたデザイン上の変更以上に新しさを感じさせるのが、全12色のうち6色を新色としたボディーカラーだろう。特に、新設定の特別塗装色「プレミアムコロナオレンジ」は、かなり強い印象を与える。

一方内装でも、インストゥルメントパネルのうち、助手席正面のソフトパッドのデザインを一新。ステアリングホイールも“フラットボトム”のより引き締まったものに変更されている。

2017年6月に大幅改良を受けた「日産エクストレイル」。「Vモーション」を強調したグリルと新意匠のヘッドランプにより、フロント周りのイメージは一新された。
2017年6月に大幅改良を受けた「日産エクストレイル」。「Vモーション」を強調したグリルと新意匠のヘッドランプにより、フロント周りのイメージは一新された。拡大
インテリアについてはフラットボトムのステアリングホイールが新たに採用されたほか、新デザインのダッシュパッドやセンターコンソールへのステッチの追加などで、質感の向上が図られている。
インテリアについてはフラットボトムのステアリングホイールが新たに採用されたほか、新デザインのダッシュパッドやセンターコンソールへのステッチの追加などで、質感の向上が図られている。拡大
ボディーカラーについては、テスト車に採用されていた「プレミアムコロナオレンジ」(写真)と「ガーネットレッド」を含む、6色が新たに採用された。
ボディーカラーについては、テスト車に採用されていた「プレミアムコロナオレンジ」(写真)と「ガーネットレッド」を含む、6色が新たに採用された。拡大
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シートアレンジをより多彩に

より重要なのは、実用性の向上だろう。というのも、売れ筋グレードの「20X」の2列シート仕様の後席に、新たにスライド・リクライニング機構を採用したのである。しかも、背もたれの格納方法も、従来は6:4だったのを、アームレスト部分のみ倒すことが可能な4:2:4の分割方式を新たに採用したのである。部分改良で、シートアレンジにここまで手を入れるのは珍しい。

アームレスト部分のみ前倒し可能にしたのは、4人乗車時でも長尺の荷物を積みたいという要望が寄せられたからだという。またスライドが可能になったことで、荷室長を900~1100mmの間で変えられるようになり、より柔軟に荷物の大きさに対応できるようになった。さらに、荷室左右のトリムの形状を変更することで、後席を一番後ろの位置にした場合でも、荷室容量は従来の550リッターから565リッターへと拡大している。

このほか、リアバンパーの下に足先を入れて引く動作をするだけで、手を使わずにバックドアを開閉できる「リモコンオートバックドア」を新採用したり、「インテリジェントパーキングアシスト」の性能を向上させたりといった、きめ細かい改良の手が入っている。

こうしたデザインや使い勝手の改良もさることながら、今回のマイナーチェンジの目玉は、自動運転技術プロパイロットを、ミニバンの「セレナ」に次いで採用したことだろう。プロパイロットは、高速道路の単一車線を走行する際のステアリング、アクセル、ブレーキの操作を自動化する機能で、センサーとして、フロントウィンドウ上部の室内側、ルームミラーの裏側に取り付けた単眼カメラだけでこれらの機能を実現しているのが最大の特徴だ。

全車に標準装備される防水仕様のシート。「20X」「20Xハイブリッド」にはオプションでスエード調トリコットのクロスシートも用意されている。
全車に標準装備される防水仕様のシート。「20X」「20Xハイブリッド」にはオプションでスエード調トリコットのクロスシートも用意されている。拡大
今回の改良では、2列シート仕様の「20X」の後席に、リクライニングおよびスライド調整機構が追加された。分割可倒機構についても、従来の6:4分割式から4:2:4分割式に変更されている。
今回の改良では、2列シート仕様の「20X」の後席に、リクライニングおよびスライド調整機構が追加された。分割可倒機構についても、従来の6:4分割式から4:2:4分割式に変更されている。拡大
ラゲッジルームについては、5人乗車時の荷室容量が、従来の550リッターから565リッターに拡大されている。(写真をクリックすると、シートの倒れる様子が見られます)
ラゲッジルームについては、5人乗車時の荷室容量が、従来の550リッターから565リッターに拡大されている。(写真をクリックすると、シートの倒れる様子が見られます)拡大

信頼感のある運転支援システム

機能そのものはセレナに搭載されているものと同じなのだが、注目されるのはオプション価格だ。プロパイロットは単独で設定することはできず、エクストレイルの場合、自車後方の車両検知警報や、車線逸脱防止支援システムなど、いくつかの安全機能とのセットオプションになっている。この価格が約14万円で、セレナが約24万円だったのに比べて約10万円も安くなった。セレナのセットプションの内容がエクストレイルとは異なるため、横並びでの比較はできないのだが、プロパイロットが欲しいユーザーにとっては、より身近な装備になったといえるだろう。

まず試乗したのは「20Xハイブリッド」の4WD仕様だ。高速道路を中心にプロパイロットの機能を確認するところから始めた。プロパイロットを作動させるには、ステアリング上の「プロパイロットスイッチ」をまず押し、次に「セットスイッチ」を押すという2段階の操作が必要だ。ステアリングに手を添えていると、操作力は意外と強く、きめ細かな修正操作は絶えず入るものの、かなり安心して操作を任せておけるという感触を得ることができた。先行車両に近づくと早い段階からブレーキをかけてくれるのも、「ちゃんと先行車に気づいていますよ」とクルマがドライバーに知らせている感じがして、「信頼できる相棒」という印象を強くする。

今回のマイナーチェンジにより、「エクストレイル」には操舵支援機能付きのアダプティブクルーズコントロール「プロパイロット」がオプション設定された。
今回のマイナーチェンジにより、「エクストレイル」には操舵支援機能付きのアダプティブクルーズコントロール「プロパイロット」がオプション設定された。拡大
ステアリングホイールに備わる「プロパイロット」の操作スイッチ。基本的な操作方法は、通常のアダプティブクルーズコントロールとほとんど変わらない。
ステアリングホイールに備わる「プロパイロット」の操作スイッチ。基本的な操作方法は、通常のアダプティブクルーズコントロールとほとんど変わらない。拡大
写真右、収納ポケットの横のパーキングブレーキスイッチに注目。「プロパイロット」は各種予防安全装備に加え、電子制御パーキングブレーキとのセットオプションとして用意されている。
写真右、収納ポケットの横のパーキングブレーキスイッチに注目。「プロパイロット」は各種予防安全装備に加え、電子制御パーキングブレーキとのセットオプションとして用意されている。拡大

ステアリングに手を添えているのに……

この種の機能では、先行車両が見えているのに加速を持続するようなシステムもあり、こういう場合には「本当に止まるのか」と不安になる場合もあるのだが、プロパイロットではこういう場面は少なかった。ただ、多少気になったのは、これはプロパイロットだけではないのだが、ステアリングに手を添えているのに「ステアリングを握ってください」という表示がときどき出ること。

こういうときは、ステアリングを左右に少し振ってやると、システムがそのトルクを確認し、表示は消える。システムは自動でステアリングを動かすときの抵抗値でドライバーが手を添えているかどうかを判別するのだが、直線が続くとステアリングを回す機会が少ないので確認ができずに、こういう表示が出る頻度が高まる。将来的にはステアリングにタッチセンサーを備えるようなことも検討すべきだろう。

次いでガソリンエンジン仕様の「20X」の4WD仕様に乗り換えたのだが、ハイブリッド仕様から乗り換えても、特にパワーダウンした印象はなく、軽快な走りで好印象を受けた。今回ハイブリッド仕様とガソリンエンジン仕様で試乗時の燃費を比較してみると、燃費計の読みでハイブリッド仕様が12.7km/リッター、ガソリンエンジン仕様で10.3km/リッターと、その差は25%程度だった。JC08モード燃費の差も同程度なので、だいたいハイブリッド仕様の燃費向上幅はこの程度と見てよさそうだ。

日産の「プロパイロット」はあくまで運転支援機能という位置づけ。システムが作動している最中も、ドライバーはステアリングホイールを握っている必要がある。
日産の「プロパイロット」はあくまで運転支援機能という位置づけ。システムが作動している最中も、ドライバーはステアリングホイールを握っている必要がある。拡大
メーター内の液晶ディスプレイでは、「プロパイロット」の作動状態に加え、4WD機構の駆動力配分、燃費情報なども確認できる。
メーター内の液晶ディスプレイでは、「プロパイロット」の作動状態に加え、4WD機構の駆動力配分、燃費情報なども確認できる。拡大
2リッター直4ガソリンエンジンを搭載した「20X」。ガソリン車には2列5人乗り仕様に加え、3列7人乗り仕様も用意されている。
2リッター直4ガソリンエンジンを搭載した「20X」。ガソリン車には2列5人乗り仕様に加え、3列7人乗り仕様も用意されている。拡大

悪路での安心感こそアドバンテージ

一方で、ハイブリッド仕様とガソリンエンジン仕様の価格差は、「20X」同士の比較では34万円程度ある。筆者ならこの価格差と走りの軽快さから、ガソリンエンジン仕様を選ぶのではないかと思った。実際、販売台数に占めるハイブリッド比率は3割程度で、筆者と同じように考えるユーザーが過半数を占めるようだ。

試乗で印象的だったのは、中低速域での乗り心地の良さだ。路面の多少の凹凸もダンピングの効いた柔らかめのサスペンションでいなしてしまう。半面、高速域での走りのしっかり感、ボディー剛性、インテリアの質感などで「マツダCX-5」のような最新の車種に一歩譲るのは、設計年次の違いで仕方のないところかもしれない。

一方で、撮影のために乗り入れた河原での走行性能は、まさにエクストレイルの面目躍如というところだ。不整地の段差をストロークの大きいサスペンションで悠々と乗り越えていくときの安心感は、初代以来のエクストレイルの伝統といえる。車体のデザインが武骨だった初代、2代目に比べると、3代目はかなり都会的になったが、その本質はやはりオフロードにおける高い走破性と実用性にあるのだと、あらためて確認した今回の試乗だった。

(文=鶴原吉郎/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資)

今回の改良では、回生ブレーキの制御の変更やロワーグリルへのグリルシャッターの採用などによってハイブリッド車の燃費性能を改善。JC08モード計測値は、4WD車は従来モデルと同じ20.0km/リッター、FF車は0.2km/リッター向上して20.8km/リッターとなった。
今回の改良では、回生ブレーキの制御の変更やロワーグリルへのグリルシャッターの採用などによってハイブリッド車の燃費性能を改善。JC08モード計測値は、4WD車は従来モデルと同じ20.0km/リッター、FF車は0.2km/リッター向上して20.8km/リッターとなった。拡大
タイヤサイズは「20X」のみ225/60R18、その他のグレードは225/65R17。テスト車にはダンロップのオールシーズンタイヤが装備されていた。
タイヤサイズは「20X」のみ225/60R18、その他のグレードは225/65R17。テスト車にはダンロップのオールシーズンタイヤが装備されていた。拡大
4WD車の駆動システムには、FFをベースとした電子制御4WDを採用。悪路走破性能を高めるため、走行モードには前軸と後軸の駆動力を50:50で固定する「LOCK」モードが備わっている。
4WD車の駆動システムには、FFをベースとした電子制御4WDを採用。悪路走破性能を高めるため、走行モードには前軸と後軸の駆動力を50:50で固定する「LOCK」モードが備わっている。拡大
日産エクストレイル20Xハイブリッド
日産エクストレイル20Xハイブリッド拡大

テスト車のデータ

日産エクストレイル20Xハイブリッド

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4690×1820×1730mm
ホイールベース:2705mm
車重:1640kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:147ps(108kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:207Nm(21.1kgm)/4400rpm
モーター最高出力:30ps(41kW)
モーター最大トルク:160Nm(16.3kgm)
タイヤ:(前)225/65R17 102H M+S/(後)225/65R17 102H M+S(ダンロップ・グラントレックST30)
燃費:20.0km/リッター(JC08モード)
価格:309万8520円/テスト車=387万1651円
オプション装備:ボディーカラー<プレミアムコロナオレンジ[スクラッチシールド]>(5万4000円)/インテリジェントアラウンドビューモニター<移動物検知機能付き>+インテリジェントパーキングアシスト<駐車支援システム>+インテリジェントルームミラー+ステアリングスイッチ<ナビ、クルーズコントロール>+NissanConnectナビゲーションシステム+インテリジェントDA<ふらつき警報>+クルーズコントロール(34万9920円)/クイックコンフォートシートヒーター<運転席・助手席・セカンドシート左右>(6万4800円)/SRSサイドエアバッグ<運転席・助手席>+SRSカーテンエアバッグ(7万5600円)/ハイビームアシスト+ステアリングスイッチ<ナビ、クルーズコントロール、プロパイロット>+電動パーキングブレーキ+オートブレーキホールド+プロパイロット+インテリジェントLI<車線逸脱防止支援システム>+BSW<後側方車両検知警報>+RCTA<後退時車両検知警報>(14万0400円)/ルーフレール(5万4000円) ※以下、販売店オプション デュアルカーペット<フロアカーペット[消臭機能付き]+ラバーマット>HYBRID専用(3万4411円)

テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:2075km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

日産エクストレイル20X(2列シート車)
日産エクストレイル20X(2列シート車)拡大

日産エクストレイル20X(2列シート車)

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4690×1820×1740mm
ホイールベース:2705mm
車重:1540kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:147ps(108kW)/6000rpm
最大トルク:207Nm(21.1kgm)/4400rpm
タイヤ:(前)225/60R18 100H M+S/(後)225/60R18 100H M+S(ダンロップ・グラントレックST30)
燃費:15.6km/リッター(JC08モード)
価格:275万5080円/テスト車=362万2171円
オプション装備:ボディーカラー<ガーネットレッド[スクラッチシールド]>(5万4000円)/LEDヘッドランプ+インテリジェントオートライトシステム+フォグランプ(7万5600円)/インテリジェントアラウンドビューモニター<移動物検知機能付き>+インテリジェントパーキングアシスト<駐車支援システム>+インテリジェントルームミラー+ステアリングスイッチ<ナビ、クルーズコントロール>+NissanConnectナビゲーションシステム+インテリジェントDA<ふらつき警報>+クルーズコントロール(34万9920円)/PTC素子ヒーター<1kW>+クイックコンフォートシートヒーター<運転席・助手席・セカンドシート左右>(8万4240円)/SRSサイドエアバッグ<運転席・助手席>+SRSカーテンエアバッグ(7万5600円)/ハイビームアシスト+インテリジェントオートライトシステム+ステアリングスイッチ<ナビ、クルーズコントロール、プロパイロット>+電動パーキングブレーキ+オートブレーキホールド+プロパイロット+インテリジェントLI<車線逸脱防止支援システム>+BSW<後側方車両検知警報>+RCTA<後退時車両検知警報>(14万0400円)/ルーフレール(5万4000円) ※以下、販売店オプション デュアルカーペット<フロアカーペット[消臭機能付き]+ラバーマット>2列専用(3万3331円)

テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:2256km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

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エクストレイル日産試乗記

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