第424回:だからトヨタは走り続ける
豊田社長、ルマン24時間への挑戦を語る

2017.06.28 エディターから一言
2017年のルマン24時間レースを戦った、トヨタのマシン「TS050 ハイブリッド」。
2017年のルマン24時間レースを戦った、トヨタのマシン「TS050 ハイブリッド」。

いよいよ悲願の初優勝なるかと思われていたトヨタにとっては厳しく、つらい結果となった今年のルマン24時間レース。舞台となったサルトサーキットには、トヨタ自動車取締役社長である豊田章男氏の姿があった。実は豊田氏にとっては、今回が初めてのルマンである。

決勝スタートから数時間後というタイミングで、豊田社長に時間を割いていただき、ほぼ独占的に話を聞くことができた。まず最初に聞いたのは、月並みだがこのルマンという場の印象だ。

豊田章男(とよだ あきお)
1984年トヨタ自動車入社。Gazoo事業部主査を経て、2000年に取締役、2005年に取締役副社長となり、2009年には取締役社長に就任。現在に至る。「もっといいクルマづくり」の一環としてモータースポーツの振興にも注力。モリゾウのニックネームで、数々のレースおよび競技に参戦している。
豊田章男(とよだ あきお)
	1984年トヨタ自動車入社。Gazoo事業部主査を経て、2000年に取締役、2005年に取締役副社長となり、2009年には取締役社長に就任。現在に至る。「もっといいクルマづくり」の一環としてモータースポーツの振興にも注力。モリゾウのニックネームで、数々のレースおよび競技に参戦している。
長い歴史を持つルマン24時間レースは、今年で85回目。現地時間の6月17日15時に、戦いの火ぶたが切られた。
長い歴史を持つルマン24時間レースは、今年で85回目。現地時間の6月17日15時に、戦いの火ぶたが切られた。
トヨタは今回、最高峰クラスに3台のマシンをエントリー。各車にひとりずつ、計3人の日本人ドライバー(小林可夢偉<7号車>、中嶋一貴<8号車>、国本雄資<9号車>)を起用した。
トヨタは今回、最高峰クラスに3台のマシンをエントリー。各車にひとりずつ、計3人の日本人ドライバー(小林可夢偉<7号車>、中嶋一貴<8号車>、国本雄資<9号車>)を起用した。
「トヨタTS050 ハイブリッド」(写真右)と、同社を代表する量産型ハイブリッド車「プリウス」(左)。
「トヨタTS050 ハイブリッド」(写真右)と、同社を代表する量産型ハイブリッド車「プリウス」(左)。

ハイブリッドの価値がレースで変わる

豊田章男社長(以下、豊田):オーケストラだなと思いましたね。スタートが音楽が流れるでしょう。ああいう雰囲気はニュルブルクリンクには無いですよね。それと、やっぱりヨーロッパだなと感じました。日本だとモータースポーツ自体、まだまだ観客収容人員がどうとか、周辺に渋滞を起こすとか、ネガティブな話になりがちじゃないですか。ホテルのキャパシティーが足りないとかね。でも実際、ここだってホテル無いですよ(笑)。でも、そんな中で皆でこのイベントを成り立たせようとしている。それがいい意味で村祭りのような雰囲気につながっているんじゃないかと思います。正直、うらやましいですね。日本でも、規模はもう少し小さくてもいいから、こういう24時間レースができたらなって思いましたね。

世界耐久選手権(WEC)というカテゴリーについては、どう感じているのだろうか。トヨタ自動車として世界選手権の懸かったこのレースに参戦する意義は、どこにあると感じているのか。

豊田:まずルマン24時間レースは、やはりニュル24時間レースと全然違います。24時間のあいだ、毎周毎周、全部スプリントなんですよ。全部ガチンコ、全部アタック。これは大変な耐久だなというのはあらためて感じました。

しかもWECの最高峰カテゴリーでありワークスチームが参加するLMP1-Hのマシンはハイブリッドであることが義務付けられている。ハイブリッドといえば、トヨタである。このカテゴリーには、どのメーカーよりフィットしているはずだ。

豊田:そう、WECはハイブリッドですよね。トヨタもハイブリッドを次世代環境車としてずっと推進してきました。でもイメージとしては燃費、エコですよね。ところが、これだけ毎周がアタックのような24時間レースで結果を出していけば、ハイブリッドというもののブランド価値が絶対変わってくると思います。次世代環境車としては、われわれもFCVやEVなどいろいろやっていますけれど、当面の現実的な解は、やっぱりハイブリッドとプラグインハイブリッドだと思うんです。でも、ハイブリッド車だってまだ全世界市場から見るとシェアは2%なんですよ。ハイブリッドが現実的な解であるなら、それが10%ぐらいになっていくのを、やっぱり期待もしたいし、トヨタとして(このレースに参加することは)非常に有利に働くんじゃないかと思いますね。

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