ヤバいんじゃないですか、日本メーカー【フランクフルトショー2011】

2011.09.19 自動車ニュース
「レクサスGS450h」
【フランクフルトショー2011】どこか勢いに乗り切れていない感漂う 日本勢ブース

【フランクフルトショー2011】ヤバいんじゃないですか、日本メーカー

ユーロ安の影響で勢いづく経済の後押しの影響が大きいのだろう。今年、2011年のフランクフルトモーターショーはリーマンショックでしょんぼり傾向だった2年前の前回とは異なり、自動車大国ドイツをアピールするのに十分な活気に満ちあふれていた。

「トヨタFT-86 IIコンセプト」
【フランクフルトショー2011】どこか勢いに乗り切れていない感漂う 日本勢ブース

ところがである、われらが日本メーカーはというと、どこか波に乗れていない雰囲気が漂っていた。インフィニティのみで本家日産ブランドを欠いた日産と2013年に欧州撤退を表明しているダイハツが欠席し、三菱は電気自動車(EV)が集められたホールで細々とした展示のみだったということもあるかもしれない。しかし出展していたメーカーも、地元ドイツ勢はもちろんのこと、フランクフルトでも飛ぶ鳥を落とす勢いで集客数もうなぎ登りだったヒュンダイにも遅れを取っていたのは明らか。正直言って「いや〜、マジでヤバいんじゃないですか」という印象は否めなかったのである。

そんな日本勢で、大物をお披露目したのはホンダとマツダ、そしてスバルの3メーカーだ。

「ホンダ・シビック」(欧州仕様)
「ホンダ・シビック」(欧州仕様)
ヤバいんじゃないですか、日本メーカー【フランクフルトショー2011】の画像
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■ホンダの主役は「シビック」

ホンダは欧州向け「シビック」を6年ぶりに一新し、ひな壇に飾った。欧州シビックが先代から北米および日本を中心としたグローバルモデルとたもとを分かち、独立路線を歩み始めたのはご存じのとおり。なお、日本ではシビックは、「タイプRユーロ」というスポーツモデルの限定車がラインナップされるにとどまる。

独立してから2世代目になる新型シビックは、センタータンク式のプラットフォームをはじめ、基本的に先代をブラッシュアップした、いわゆる正常進化バージョンである。ボディサイズは全長と全幅が若干拡大し、全高は20mm低くなった程度だからほぼ同一といっていいだろう。ホイールベースは40mmほど短くなっている。

三角をモチーフにした斬新なエクステリアは、若干コンサバ方向に路線変更された。フロントマスクは「インサイト」に似た最新のホンダ顔だ。インテリアは2段式メーターを踏襲している。エンジンは1.4リッターと1.8リッターのガソリンと、2.2リッターのディーゼルターボの3種類。追って、さらに排気量の小さいディーゼルエンジンも用意されるという。

驚くのはインテリアの質感だ。絶妙なシボにより、インストゥルメントパネルやドア内張りの手触りはまるで革? と思わせるような滑らかな感触を実現している。逆に、「ん〜」と思わせたのはエクステリア。熟成により落ち着いた雰囲気を手に入れたものの、先代が強烈なインパクトを持っていただけに、ちょっとトーンダウンした感は否めない。正常進化の成功率がけっして高くないホンダだけに、その行く末がちょっと心配だ。

「マツダCX-5」
「マツダCX-5」
「スバルXV」
「スバルXV」
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■マツダ、スバルから小型クロスオーバーが登場

マツダのワールドプレミアはブランニューのCセグメントSUV「CX-5」。ジュネーブでお披露目したコンセプトカー、「勢(ミナギ)」の市販バージョンだ。マツダの新世代技術「スカイアクティブ・テクノロジー」をエンジンや変速機だけでなく、ボディやシャシーまで用いた初のフルスカイアクティブ仕様となっている。スカイアクティブ・エンジンが搭載された「デミオ」の燃費性能を考えると、その出来にはちょっと(いや、たくさんか)期待が持てるかもしれない。

エクステリアはディテールに遊びが少ないせいが意外とコンサバに見えるが、なかなかスタイリッシュ。とくに抑揚が利いたサイドパネルはCX-5のエクステリアの見所である。

「BRZ」がついにその姿を現すのでは? と期待されたスバルだが、やはりBRZの公開は東京モーターショーまでお預け。今回のショーでは、3月のジュネーブショーにも出品していたBRZの技術展示にとどまったが、エンジンを市販仕様と同じユニットに変更するというバージョンアップが図られていた。

というわけで、スバルの目玉は「インプレッサ」ベースのクロスオーバー「XV」となる。インプレッサの名前は冠に付かず、独立モデルとして展開するのだという。見たとおり、「レガシィアウトバック」のインプレッサバージョンといったところ。スタイルはアウトドアグッズっぽくて悪くない。ただ、ホイールの中心とホイールアーチの中心がズレているなど、煮ツメが甘い部分も見受けられる。基本的なコンポーネントはこのあと登場予定の次期インプレッサと同一。車高と最低地上高は意外と高く、ラフロードくらいなら難なくこなせそうだ。

「トヨタ・プリウス」
「トヨタ・プリウス」
「トヨタ・プリウスPHV」
「トヨタ・プリウスPHV」
「トヨタ・アベンシス」
「トヨタ・アベンシス」

■「プリウス」がマイナーチェンジ

真っ先にみんなを引っ張って行かなくてはいけないはずのトヨタは、メインが欧州プレミアの新型「ヤリス(日本名ヴィッツ)」というちょっと残念な展開。マイナーチェンジした「プリウス」と、同モデルをベースにした「プリウスプラグインハイブリッド(PHV)」の市販バージョン、日本への輸入が再開した「アベンシス」のマイナーチェンジ版をワールドプレミアしたものの、新型をドーンとお披露目したメーカーに対抗するにはちょっと力不足だ。

日本的なトピックはやはりプリウスだろう。まずは通常モデルのマイナーチェンジからご紹介。さすがに大ヒット作ということで変更規模は小さく、内容はトヨタお決まりの内外装の意匠変更が主なものとなっている。大きく変わったのはフロントマスク。ターンランプやフォグランプの形状を変更することで「プリウスα」風に刷新された。また、リアコンビランプもカタチ自体は従来どおりだが、LEDの配置が一新されている。ハイブリッドシステム自体に大きな変更はない。

一方、プリウスのPHV。こちらは初の市販バージョンとなる。パワートレインは基本的に普通のプリウスと同じだが、大容量のリチウムイオン電池を用いることで、最大23kmのEV走行を可能にしている。燃費は欧州モードで47.6km/リッター。CO2排出量は49g/kmと通常版よりも40gも少ない。なお、車両重量は50kg増えて1420kgとなる。

マイナーチェンジしたアベンシスはフロント周りを中心に変更。以前よりも精悍(せいかん)な顔つきになった。新型ヤリスのトピックは初めてお披露目された3ドア。また、さらなる進化版が見られるのではとウワサされた「FT-86 IIコンセプト」は、色こそオレンジに変わっていたものの、今年のジュネーブからほとんど進化していないようだった。

「レクサスGS450h」
「レクサスGS450h」
「インフィニティFXセバスチャン・ベッテル バージョン」
「インフィニティFXセバスチャン・ベッテル バージョン」
「スズキ・スイフトスポーツ」
「スズキ・スイフトスポーツ」

■「レクサスGS」のハイブリッド版がお目見え

レクサスのワールドプレミアは1カ月前のぺブルビーチでお披露目した次期「GS」のハイブリッドバージョン「450h」だ。アトキンソン+新しい直噴システムD-4Sでブラッシュアップされた新エンジンにより、さらなる燃費性能の向上が図られている。ネックだったトランクスペースが大幅に広くなったのもトピック。従来どおりバッテリーはニッケル水素のままだが、形状を変更することによりトランク容量は1.5倍以上に拡大し、ゴルフバックが4つ収められるようになった。

このほか、インフィニティは「FX」にレッドブルF1のイメージを盛り込んだ、その名も「FXセバスチャン・ベッテル バージョン」を、また、スズキは新型「スイフト」のスポーツバージョンの「スイフトスポーツ」をお披露目した。

(文と写真=新井一樹)

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