第27回:見た目はクラシックだが中身は超ハイテク
中・瑞・英合作の新型ロンドンタクシーあなどれじ!

2017.10.12 小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ
小沢コージと新型ロンドンタクシー。
小沢コージと新型ロンドンタクシー。

あのロンドンタクシーが間もなくモデルチェンジ! 中国のジーリーが、ボルボのコンポーネンツを使い、イギリスの新工場で製造する“新型”の出来栄えを小沢コージがチェックした。その実力の背後に見る、したたかな中国自動車産業の戦略とは?

新型ロンドンタクシーのリアビュー。エクステリアデザインは、従来モデルに似た2ボックススタイルとなっている。
新型ロンドンタクシーのリアビュー。エクステリアデザインは、従来モデルに似た2ボックススタイルとなっている。
2016年に完成したばかりの、コベントリーの新工場。ジーリーホールディングスが500億円かけて建てた、最新鋭の自動車工場である。
2016年に完成したばかりの、コベントリーの新工場。ジーリーホールディングスが500億円かけて建てた、最新鋭の自動車工場である。
LEVCの黄色い旗とともに掲げられた、中国とイギリスの国旗。グローバル化の著しい、自動車産業の今を象徴するような光景である。
LEVCの黄色い旗とともに掲げられた、中国とイギリスの国旗。グローバル化の著しい、自動車産業の今を象徴するような光景である。
工場を流れる新型ロンドンタクシーのボディー。ボディーは総アルミ製で、組み立てに際しては溶接を使わず、すべて接着で行っている。
工場を流れる新型ロンドンタクシーのボディー。ボディーは総アルミ製で、組み立てに際しては溶接を使わず、すべて接着で行っている。

新“ロンタク”はなんとレンジエクステンダーEV

トヨタ&ダイハツ&スバルにプジョー&シトロエン&オペル、フィアット&クライスラー&ジープと、今やどんなメーカーがどんなアライアンス組んで、どんなクルマを作っているのか分からない時代に突入してますけど、まさかこんなクルマが登場しちゃうとはねぇ。それは突如、宇宙戦艦ヤマトもビックリなレベルにハイテク化した5代目? 6代目? とも言われる“ブラックキャブ”ことロンドンタクシーだ。

そもそも英国メーカーBMCが、1958年にロンドンを走るために市の規定に合わせて作ったタクシー専用車が、私たちが思い浮かべる“初代ロンタク”こと「オースチンFX4」。そこで今の全長約4.5m、全高約1.8mで車内対面座りの独特ずんぐりむっくりボディーがほぼ完成したわけだけど、その後メーカーの社名は変わりつつもクルマそのものは「TX1」「TX2」「TX3」「TX4」と進化し、最近でも最終型が結婚式場用などで日本に90台ぐらい入ってきていたのだとか。

それがここに来て大変身! というのも、2013年に突如ロンタクの権利を中国民族系メーカー筆頭の吉利汽車ことジーリーホールディングスが買い取って新会社LEVC(ロンドンEVカンパニー)を設立。地元英国コベントリーに325億ポンド(約500億円)もかけてモダンな新工場を作り、イチから新しいハイテクタクシーの製造に乗り出したのだ。工場自体は2016年に完成、今年6月からセミプロダクションを作り始め、年末にはロンドンで1号車が発売される予定だ。

そこで中国にちと詳しい小沢コージが、欧州に行った帰りに見て乗ってきたわけだけど、製造過程をみて仰天! キモは事前に聞いていた半EV構造……つまり31kWhの大型リチウムイオンバッテリーを搭載し、電気がなくなったらエンジンで発電して走るレンジエクステンダーEVシステムだけじゃない。ボディー骨格はオールアルミで溶接を使わない完全接着タイプと、なにを隠そう最新式スーパーカー技術の流用。つまり、見た目は古臭いけど中身は英国流ハイテクという前代未聞の組み合わせで、それこそが新型TXの最大のキモだったのだ。

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』

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