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フェラーリのオーダーメイド車「フォーリ・セリエ」とは?

2017.10.18 デイリーコラム
現代におけるフェラーリの「フォーリ・セリエ」シリーズの第1弾である「セルジオ」。2014年に世界で6台のみが販売された。
現代におけるフェラーリの「フォーリ・セリエ」シリーズの第1弾である「セルジオ」。2014年に世界で6台のみが販売された。

先日、フェラーリの創立70周年を記念して、東京の両国国技館に約40台のフェラーリ車が展示された。その中に並んだ「セルジオ」「J50」といったモデルが、現代におけるフェラーリの「フォーリ・セリエ」シリーズである。その中身や歴史的背景について詳しく解説する。

こちらの「フェラーリSP1」は、2008年にフェラーリが約50年ぶりに製作したというワンオフモデル。現代の「フォーリ・セリエ」シリーズには含まれないが、その源流となったモデルともいえる。
こちらの「フェラーリSP1」は、2008年にフェラーリが約50年ぶりに製作したというワンオフモデル。現代の「フォーリ・セリエ」シリーズには含まれないが、その源流となったモデルともいえる。

技術の進化によって徐々に下火に

フォーリ・セリエ(Fuori serie)とは、イタリアで使われているクルマの用語だ。近年、フェラーリがその名を用いた限定モデルを発表したことから、この言葉を目にする機会が増えてきた。

イタリア語でFuoriは「外部、外」など、serieは「シリーズ」のことを意味し、フォーリ・セリエは「量産型でないクルマ」あるいは「注文生産、オーダーメイドのクルマ」を示しているといえば分かりやすいだろう。

現代のクルマは、それが少量生産モデルであっても、顧客が自分の趣味に合わせてクルマを仕立てようとしても、注文できるのは、メーカーが設定したオプションリストの中からボディーカラーや内装、装備品などを選ぶ程度だろう。

ところが20世紀の初めにはそうではなかった。大多数の自動車メーカーはエンジンや変速機などの駆動系や、サスペンションを取り付けたランニングシャシー(ベアシャシー)を製造するだけにとどめ、ボディーを自社内で製造することはほとんどなかった。顧客はこの状態で契約を済ませ、そのメーカーが推奨している、または顧客が気に入ったボディー製造会社に依頼し、用途と好みを反映したボディーを架装することが一般的だった。カタログを見ながらある程度、基本形が決まったデザインの中から選ぶほか、顧客の希望を聞きながらデザイナーが白紙からスケッチを描き上げることもあった。どう仕立てるかは顧客の情熱と資金力次第ということになる。英語圏ではコーチビルダー、イタリアではカロッツェリアと呼ばれている専門会社がそれを請け負っていた。それがイタリアなら、「○○カロッツェリアのフォーリ・セリエ」という言い方になる。ロールス・ロイスやベントレーを擁するイギリスはもちろん、名だたる高級車が居並ぶフランスやドイツ、アメリカにも著名なボディー専門会社が存在していた。

クルマの大量生産が盛んになると、メーカー自身がボディー架装も手がけた完成車の状態で販売することが主流になっていった。もちろん、お仕着せのクルマでは飽き足らない客も存在し、コーチビルダーまたはカロッツェリアに完成車を持ち込んで、好みのスタイリングに造り替えたり、そうした用途を想定してメーカーが用意したベアシャシーを購入したりして持ち込む場合もあった。

だが、車体構造が変わり、別体のシャシーフレームを持たない完全なモノコック(単体)構造になると、シャシー部分と分離させてボディーだけを架装し直すことは技術的にむずかしくなっていった。それでもイタリアのカロッツェリアは、1960年代になっても、フィアットなどをベースにした、魅力的なスタイリングの少量生産車をほそぼそと手がけ、伝統を守ってきた。

さらに技術が進んで、クルマの安全や環境対策が厳しくなり、設計の手法も3次元のCAD(computer-aided design)に移行すると、データもなしにボディーに大規模な変更を加えることは不可能になった。

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