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スズキ・スイフトスポーツ(FF/6AT)

“らしく”走ろうぜ 2017.12.12 試乗記 新たにトルコン式の6段ATが搭載された、2ペダル仕様の「スズキ・スイフトスポーツ」。“元気モリモリ”のコンパクトスポーツをイージードライブで走らせるというのはアリなのか? 雨の中のドライブを経てたどり着いた結論を報告する。

2ペダルでも“スイスポ”は楽しいか?

ボクは初代スイフトが登場して以来、このクルマをずっと応援し続けてきた。なぜならそれは、この“スイスポ”が「現代のAE86」といえる、とっても貴重な存在だからだ。

わかっているとは思うけれど、そこでは駆動方式は関係ない。たとえスイスポがFFであろうと、その小さなボディーをマニュアルトランスミッションを駆使して走らせれば、とってもゴキゲンになれるからだ。そして何よりこのスイスポは、一番スポーティーなモデルであるにもかかわらず、6段MTでは183万6000円という価格を実現している(しかも税込み!)。ここが何より一番大事。まあ、「セーフティパッケージ」は別だけれど。

webCG編集部は、そんなボクにスイスポの「ATモデルに乗ってくれ」という。つまりより多くの人々がステアリングを握ることができるATで、そこにMTモデルと同等かそれ以上の楽しさが実現できているのか? を確かめてくれということなのだろう。

果たしてその答えは、優等生的な模範解答として述べるならば「全く問題なし!」。広東語で言えば「無問題(モーマンタイ)」であり、タイ語で言えば「マイペンライ」であり、英語で言えば「No problem!」であり イタリア語で言えば「Tutto ok!」である。

ちなみに、2ペダルのスイフトスポーツのトランスミッションは、この4代目(スズキ自体は3代目と言っている。どうやら軽自動車ベースだったHT系を“初代”とは認めたくないようだ。ニュル24時間レースでもクラス優勝したクルマなのに、なんてことだ!)ではCVTをやめ、トルクコンバーター式の6段ATを採用した。もちろんその目的は、よりスイスポらしいレスポンスを求めたためである。

本家「スイフト」のモデルチェンジから9カ月ほど遅れ、2017年9月に登場した現行型「スイフトスポーツ」。軽量・強靭(きょうじん)な新世代プラットフォームと、トルクフルなターボエンジンの採用で話題を集めている。
本家「スイフト」のモデルチェンジから9カ月ほど遅れ、2017年9月に登場した現行型「スイフトスポーツ」。軽量・強靭(きょうじん)な新世代プラットフォームと、トルクフルなターボエンジンの採用で話題を集めている。拡大
各部に施された赤いグラデーション模様が目を引くインテリア。メーターやステアリングホイールなど、ドライビングに関わる箇所はいずれも専用設計とされた。
各部に施された赤いグラデーション模様が目を引くインテリア。メーターやステアリングホイールなど、ドライビングに関わる箇所はいずれも専用設計とされた。拡大
「スイフトスポーツ」で2ペダル仕様が選べるようになったのは2代目になってから。トランスミッションは2代目が4段AT、3代目がCVTで、現行型では6段ATとなった。
「スイフトスポーツ」で2ペダル仕様が選べるようになったのは2代目になってから。トランスミッションは2代目が4段AT、3代目がCVTで、現行型では6段ATとなった。拡大
AT仕様の車両重量は、MT仕様の970kgに対し990kg。重量増を20kgに抑えることで、1tを切る車重を実現した。
AT仕様の車両重量は、MT仕様の970kgに対し990kg。重量増を20kgに抑えることで、1tを切る車重を実現した。拡大
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その加速は元気モリモリ

スズキといえば燃費。燃費といえばCVT。あのドが付くほどケチなスズキがどうしてBセグのハッチバックごときにトルコンATを採用できたのかといえば、それは開発陣の熱意によるものだろう。そして彼らはそのパワートレインを「エスクード1.4ターボ」から拝借したわけである。その証拠にギア比はまったくの一緒である。

さてこれを走らせた印象だが、ひとことで言えば“元気モリモリ”だ。いや、モリモリ過ぎて「ちょっと落ち着きなさいよ!」という感じすらある。
それはそうだろう。車重が1220kgのエスクードで坂やらオフロードやらをグイグイ登るために用意されたギア比を、230kgも軽く、4ps/20Nmもパワー&トルク値が高いスイスポにブチ込んだのだ。

参考までにMTモデルとのギア比を比較すると、1~3速は6段ATの方がローギアードで、4速がほぼ同等(MT=1.156、AT=1.159)。5~6速はハイギアードになっている。つまり走りに重要な1~3速は、元気モリモリなのである。よって信号ダッシュなどでは、アクセルを全開にしないでもかなり速い。3000rpm付近でポンポンとギアを上げながら、“Boo! Boo! Boo!!”とターボサウンドを響かせて、カッコよく駆け抜けてくれる。

こうした特性を多少なりともなだめているのがファイナルギアで、ATモデルはMTモデルよりハイギアードとなっている。確かにこうすることで、その特性は幾分かマイルドになってはいる。ハーフスロットル時のドライバビリティーの高さには、このファイナルギアの選定も効いているのだろう。

さらには、そのロックアップにもかなりきっちりメリハリ感を出しているから、パドルシフトでの快活さが強調されていて、結論として「ATでもスイスポは楽しい!」となるのである。

……と、ここまでは一般的な話。筆者自身はこのスイスポに、この6段ATは合わないと思う。なぜならそのシャシーの味付けが、よく言えばスポーティー。悪く言えば“子供っぽい”からだ。

「スイフトスポーツ」のAT仕様と「エスクード1.4ターボ」は、6段ATのギア比が共通。最終減速比は、前者が3.683、後者が3.502となっている。
「スイフトスポーツ」のAT仕様と「エスクード1.4ターボ」は、6段ATのギア比が共通。最終減速比は、前者が3.683、後者が3.502となっている。拡大
「エスクード1.4ターボ」にも搭載される「K14C」型1.4リッター直4直噴ターボエンジン。ハイオク仕様とすることで、最高出力を140psに、最大トルクを230Nmに高めている。
「エスクード1.4ターボ」にも搭載される「K14C」型1.4リッター直4直噴ターボエンジン。ハイオク仕様とすることで、最高出力を140psに、最大トルクを230Nmに高めている。拡大
「スイフトスポーツ」専用デザインの2眼メーター。中央のマルチインフォメーションディスプレイにも、ブースト計と油温計の機能が追加されている。
「スイフトスポーツ」専用デザインの2眼メーター。中央のマルチインフォメーションディスプレイにも、ブースト計と油温計の機能が追加されている。拡大
ステアリングホイールには、シフトパドルが標準装備される。
ステアリングホイールには、シフトパドルが標準装備される。拡大

雨のドライブで気づいた弱点

先代比で17%もの剛性アップを果たし、なおかつスイフトスポーツにおいては、その弱点となるハッチバック開口部へのスポット溶接増しも行われた新型プラットフォームの剛性感は素晴らしい。しかし、そのサスペンションのセッティングが、せっかくの素晴らしいボディーを生かせていない。特に今回は、雨の試乗だったこともあってそれを強く感じた。

そのハンドリングにスタビリティーの高さを感じるのは、抑えの利いた電動パワステの制御と、モーターを内蔵することで重たくなったステアリングユニットの自重によるものであり、その実、選択肢としては「かなりいいところを突いたな」と思った「コンチスポーツコンタクト5」のキャパシティーに対して、ダンパーが追従し切れていない。

微少舵角を与えればチョロチョロと進路が変わり、路面から強い入力があればこれをダンピングし切れずに“ドン!”と突き上げを伝える。またブッシュのコンプライアンスも若干硬めで、その乗り心地には不快な細かい横揺れが出てしまう。

これは最近のスズキが推し進める“軽量化”の代償であり、それを克服するにはもっとダンパーの容量を増やしたり、初期のシブさをなくしたりするなど、お金をかける必要があると思う。軽いクルマのダンパー制御は、とっても難しいことではあるのだが、それを承知でスズキは軽さを選んだはずだ。

そういう意味でスイフトスポーツは、ドイツ勢にはちょっと及ばない。小さいながらもどっしり感を打ち立てようとする「フォルクスワーゲン・ポロGTI」や、超絶まったりとしたロードホールディング性能を乗り手に与える「アウディA1」のような大人っぽさはない。

「それがトランスミッションとどういう関係があるというのだ?」
そう思われるのはもっともだが、言わせてほしい。つまり、その乗り心地が子供っぽいなら、とことん子供っぽく走った方がスイフトスポーツは断然楽しいのだ。

「スイフトスポーツ」ではコーナリング時のロール角を抑え、操舵応答性を高めるため、専用設計のサスペンションを採用している。
「スイフトスポーツ」ではコーナリング時のロール角を抑え、操舵応答性を高めるため、専用設計のサスペンションを採用している。拡大
赤いステッチが目を引くフラットボトムタイプのステアリングホイール。手がすべるのを防ぐため、グリップ部の皮革にはディンプル加工が施されている。
赤いステッチが目を引くフラットボトムタイプのステアリングホイール。手がすべるのを防ぐため、グリップ部の皮革にはディンプル加工が施されている。拡大
タイヤサイズは、標準車より幅が広く、偏平率の低い195/45R17。コンチネンタルの高性能タイヤ「コンチスポーツコンタクト5」が装着される。
タイヤサイズは、標準車より幅が広く、偏平率の低い195/45R17。コンチネンタルの高性能タイヤ「コンチスポーツコンタクト5」が装着される。拡大
足まわりでは、サスペンションに加えブレーキも強化。先代モデルより制動力、耐フェード性能ともに向上している。
足まわりでは、サスペンションに加えブレーキも強化。先代モデルより制動力、耐フェード性能ともに向上している。拡大

求む! 7段のハイブリッドAGS

この6段ATは1~3速のギアがクロスしており、またロックアップ性能もかなり煮詰められている。しかし、きっちりとサスペンションに荷重が乗ってから繰り広げられるクルマとの濃密な対話を味わうには、やっぱりトルコンATでは物足りないしもったいない。もちろんCVTよりはずっとずっと良いのだけれど。

3ナンバーになるのを承知でワイド化したトレッドは、背高ノッポなスイフトの重心高をしっかりと支え、フロントタイヤをグイッと入れてくれる。その際、ショートホイールベースでありながらもボディーはリアタイヤをしっかりと路面に食いつかせしめ、オーバーステアを見事に抑えてくれる。冒頭ではハチロクと表現したけれど、真剣に走るとスイフトスポーツは、ちっちゃな「シビック タイプR」になる(本来はホンダがこういう安価なホットハッチを出さなければいけない)。

そんなスイフトスポーツだけに、もしATを搭載するならもっとキレッキレのATを搭載してほしいのだ。だから筆者は、フルハイブリッドモデルに使ったモーターアシスト付きのシングルクラッチAT「AGS」を与えたらよかったのに……とも考えた。シフトアップ時の加速G抜けをモーターで防ぎ、ATよりもさらにメリハリの利いた変速感を与えてくれるあのAGSは、フォルクスワーゲングループのDSGにも負けないソリューションだと思う。

しかし、よく考えるとこのAGSは5段変速であった。そのまま積めば、ギア比はさらに緩慢になってしまう。小排気量ターボでの高速巡航時のレスポンスを考えても7段くらいのギア数が欲しいが、スズキによればそもそもスイスポにAGSを搭載しないのは価格を跳ね上げたくないからとのことだった。7段AGSなど夢物語だ。

というわけで、結論は「スイスポはやっぱり6段MTで決まり!」となる。これが筆者のマニアックな答えである。

それともうひとつ。スズキがフォルクスワーゲンになる必要なんて、まったくないと思う。

(文=山田弘樹/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資)

日本仕様の「スイフト」として初めての“3ナンバーサイズ”となった現行型「スイフトスポーツ」。拡大したトレッドに対応するため、フロントには標準車より長いサスペンションロワアームが採用された。
日本仕様の「スイフト」として初めての“3ナンバーサイズ”となった現行型「スイフトスポーツ」。拡大したトレッドに対応するため、フロントには標準車より長いサスペンションロワアームが採用された。拡大
シートはサポート性を考慮したセミバケットタイプ。ホールド性の向上に加え、軽量・高剛性のシートフレームを採用することで軽量化も実現している。
シートはサポート性を考慮したセミバケットタイプ。ホールド性の向上に加え、軽量・高剛性のシートフレームを採用することで軽量化も実現している。拡大
「スイフトスポーツ」ではMT車、AT車ともに、専用形状のステンレス製ペダルプレートが装備される。
「スイフトスポーツ」ではMT車、AT車ともに、専用形状のステンレス製ペダルプレートが装備される。拡大
ボディーカラーは全6色。初代から受け継がれる「チャンピオンイエロー」は、「スイフトスポーツ」の専用色となっている。
ボディーカラーは全6色。初代から受け継がれる「チャンピオンイエロー」は、「スイフトスポーツ」の専用色となっている。拡大

テスト車のデータ

スズキ・スイフトスポーツ

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3890×1735×1500mm
ホイールベース:2450mm
車重:990kg
駆動方式:FF
エンジン:1.4リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6AT
最高出力:140ps(103kW)/5500rpm
最大トルク:230Nm(23.4kgm)/2500-3500rpm
タイヤ:(前)195/45R17 81W/(後)195/45R17 81W(コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5)
燃費:16.2km/リッター(JC08モード)
価格:190万6200円/テスト車=228万7440円
オプション装備:セーフティパッケージ<デュアルセンサーブレーキサポート+車線逸脱抑制機能+車線逸脱警報機能+ふらつき警報機能+先行車発進お知らせ機能+ハイビームアシスト機能+SRSカーテンエアバッグ+フロントシートSRSサイドエアバッグ+アダプティブクルーズコントロール+リアシートベルトフォースリミッター&プリテンショナー[左右2人分]>+全方位モニター用カメラパッケージ<フロントカメラ+サイドカメラ[左右]+バックカメラ+フロント2ツイーター&リア2スピーカー+ステアリングハンズフリースイッチ>(14万4720円) ※以下、販売店オプション フロアマット<ジュータン、チェッカー>(2万0142円)/スタンダードメモリーワイドナビセット<パナソニック>(14万4018円)/オーディオ交換ガーニッシュ+アンテナ変換ケーブル(8424円)/ドライブレコーダー+VTRケーブル(3万7260円)/ETC車載器<ビルトインタイプ>(2万1816円)/ETCナビゲーション接続ケーブル<パナソニック製ナビ接続用>(4860円)

テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:1522km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:291.0km
使用燃料:25.7リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:10.7km/リッター(満タン法)/11.5km/リッター(車載燃費計計測値)
 

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