極力シンプルで限定的なスポーツカーを

2014年11月。筆者はジャンパオロと京都で食事をする機会を得た。聞きたいことが山ほどあって、それはほとんど昔話だったけれども、彼は喜んで語り明かしてくれた。時にユーモアを交えつつ、エンツォ・フェラーリやフェルッチョ・ランボルギーニといった今や歴史上の人物を語るジャンパオロの目は、ずっと笑っていた。時折、空を見つめ、天の誰かにほほ笑みかけるようなしぐさも見せた。そのさらに10年前にパルマ近郊の町、ヴァラーノ・デ・メレガーリの本社で会ったときには、もっと厳しい目をし、口調も激しかったから、そのあまりの好々爺(や)ぶりに「年を取ったなぁ」と思うほかなかった。

ところが。食事もそろそろ終わりそうになったとき、ジャンパオロが以前の真剣なまなざしを急に取り戻してこう語り始めた。

「ミウラのようなスーパーカーをもう一度造ることは難しい。レースも含めて自動車産業が複雑になり過ぎたからだ。けれども、自分(ジャンパオロ)がサーキットで乗って安全に楽しめる、極力シンプルで限定生産的なスポーツカーならば、数多くのレーシングカーを造ってきた経験と知識を生かして、市販できるんじゃないかと思っている。今、そのプロジェクトが進行中だから、完成したら真っ先に乗せてあげるよ」

2016年の11月16日。ジャンパオロ70回目の誕生日に、そのプロジェクトは正式に披露された。その席でジャンパオロはこう約束している。「ちょうど1年後に、最初のカスタマーカーを納車する」と。

念願のロードカー。その名もシンプルに「ダラーラ・ストラダーレ」(ストラダーレとはイタリア語で道の意)と決まっていた。

「ダラーラ・ストラダーレ」のプロジェクトが正式に披露されたのは2016年11月16日のこと。そのちょうど1年後の2017年11月16日に、約束通り実車が披露され、最初の顧客に納車された。
「ダラーラ・ストラダーレ」のプロジェクトが正式に披露されたのは2016年11月16日のこと。そのちょうど1年後の2017年11月16日に、約束通り実車が披露され、最初の顧客に納車された。拡大
インテリアはカーボンモノコックボディーの形状をそのまま活用してダッシュボードやシートといった造作物を組み付けてある。ステアリングホイールはまるでレーシングカーのよう。
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シートバックの裏には、ヘルメットがすっぽりと入るスペースがある。その他、エンジンの後ろにも小さなコンパートメントがあり、1泊旅行くらいなら可能だ。
シートバックの裏には、ヘルメットがすっぽりと入るスペースがある。その他、エンジンの後ろにも小さなコンパートメントがあり、1泊旅行くらいなら可能だ。拡大
内外装ともに、トリノのグランストゥディオがデザインを担当した。
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280km/hに達する最高速走行時のダウンフォースは、実に820kg以上に達するという。
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