誰もがどこででも楽しめるスポーツカー

走りだす。ピットレーンで前輪の手応えを試すために車体を左右に揺らしてみる。車体の軽さはもちろん、前輪を腕で抱え込んだかのようなダイレクトな動きは、なるほどフォーミュラカー風だ。体と路面の近さ、そして車両バランスの良さとが相まって、一体感をいきなり意識することができる。そんなロードカーは、めったにない。

コースへと進入した。加速も素晴らしい。速いのはもちろん、安定感がすさまじい。それでいて、上半身は外界にさらされる。安心のスリリング。それこそ、ジャンパオロが求めたものに違いない。

安心しきって、右足を踏み込んでみた。分厚いトルクによって右足の裏が押し返されるような感覚に見舞われる。レスポンスが確かでかつ力強いから、心地いい。幅広く自在に使える500Nmの恩恵だ。サウンドは典型的なターボカーのそれだったが、エンドパイプが短いため、野太いごう音で乾いた空気を震わせた。

一つ二つとコーナーをクリアして、もう確信にいたった。これは、初心者からエキスパートまで、みんなが楽しめるスポーツカーだ、と。ステアリングホイールを動かすごとに感動が訪れる。これなら、サーキットでなくても楽しいと思える場面が多くなりそうだ。

そのうえ、驚くべきことに、この手のスポーツカーとしては無類のライドコンフォートまで実現していた。信じ難いことに、スポーツサルーン級の乗り心地と直進安定性を一般道でみせたのだ。こんなレーシングカーライクなクルマが、BMWのように快適に走るなんて……。

ベースモデル(バルケッタ)の価格は15万5000ユーロ(約2100万円。税別)。世界600台限定で、2017年11月の発表会の段階で、すでに100台以上のオーダーが入っていた。日本での正規輸入元は今のところ存在しないが、直接ダラーラ社にオーダーし、個人で輸入した場合でも、ボッシュ日本法人によるバックアップを受けることができるという。

自動車の世界が大きく変わろうとする今、それこそ原点回帰したプリミティブなスポーツカーを最後に楽しんでおくというのも、また一興というべきだろう。

(文=西川 淳/写真=ダラーラ/編集=竹下元太郎)

試乗に供されたのはプロトタイプ3号車で、開発途中のパドルシフター付きだった。サーキットで最も速く走れる、スパイダー+リアウイング仕様である。
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「ストラダーレ」専用のヘルメットを供給するスティーロをかぶって、いざ、コックピットへ。助手席に座っているのはレーシングドライバーのルイス・ビコッキ(左)。「ケーニグセグ・アゲーラ」の世界最高速テストを担当するなど、恐れを知らない開発テストドライバーとしても名高い。
「ストラダーレ」専用のヘルメットを供給するスティーロをかぶって、いざ、コックピットへ。助手席に座っているのはレーシングドライバーのルイス・ビコッキ(左)。「ケーニグセグ・アゲーラ」の世界最高速テストを担当するなど、恐れを知らない開発テストドライバーとしても名高い。拡大
インテリアはシンプルかつスパルタンな雰囲気ながら、カラーステッチも鮮やかなレザーかアルカンターラインテリアとすることで、モダンな雰囲気も醸し出す。
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加速性能は0-100km/hが3.25秒で、80-120km/h(5速固定)が3.49秒、100-200km/h(同)が8.5秒。横方向の重力加速度は、通常走行時で2Gに達する。
加速性能は0-100km/hが3.25秒で、80-120km/h(5速固定)が3.49秒、100-200km/h(同)が8.5秒。横方向の重力加速度は、通常走行時で2Gに達する。拡大
ベースモデルの価格は15万5000ユーロ。日本における正規輸入元はまだ存在しないが、本社に直接発注することは可能。購入後のメンテナンスはボッシュが担当するというから安心だ。
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