谷口信輝の新車試乗――アウディRS 5クーペ(後編)

2018.02.01 mobileCG

レーシングドライバーの谷口信輝が歯に衣を着せず、本音でクルマを語り尽くす! 今回も引き続き「アウディRS 5クーペ」に試乗する。アウディのスポーツマインドを形にした完全無欠のスポーツクーペは、一体どんなドライバーにお薦めか? 意外や谷口は「運転技術が伴っていない人にこそ」と主張する。そのココロは? 谷口に説明してもらおう。

 
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あえてR8との違いを指摘するならば……

ブレーキのリニアリティーにちょっとした注文があったものの、それを除けば絶賛といってもいいくらいの好評価をRS 5に下した谷口信輝。しかし、ステアリング特性に関しては細かな指摘があった。

「コーナーの進入でステアリングを切り始めたとき、一瞬、弱アンダーステアを感じることがありました。そこからさらにステアリングを切り増せば、リアが沈み込みながらロールしてぐーっと曲がっていくから問題ないんですが、コーナリングの初期に関していえば、フロントが先に回り込んでいくような感じはあまりしませんでした」

谷口があえてこんな指摘をしたのには理由がある。以前、試乗した「R8」のオン・ザ・レール感覚が忘れられないようなのだ。
「R8は、最初からぴたっと姿勢が決まって、もう何km/hでもコーナーに入っていけそうな感じがしました。それに比べると、RS 5はちょっとアンダー気味かなっていう話。でも、不満とか全然そういうことじゃないんです。すーっと切ったときに『ああ、弱アンダーの姿勢だな』って感じるだけで、切り増せばちゃんと曲がるし、別にアンダーステアで待たされているという感覚もない。ただ、R8と比べるとそういう傾向があるというだけの話です」

R8に比べられてはさすがのRS 5も形無しだが、これは谷口の高精度センサーだから検出されたことで、ほとんどのドライバーにはそこまで感じ取れないかもしれない。ちなみに、私はRS 5くらいおだやかな反応を示すほうが、むしろ好み。また、RS 5のセンターデフはセルフロッキング式(トルセン型)となるのに対し、R8は電子制御式多板クラッチを前後のトルク分配機構として用いているという違いがある。このため、コーナリングの状況に応じて前後のトルク配分を能動的にコントロールできるR8は、たとえば進入時は後輪駆動とすることで4WD特有の初期アンダーを打ち消し、その後、徐々にフロントへの駆動力配分を増やしてトラクションを稼ぎ出すことができるので、谷口が指摘したとおり進入時からぴたっと狙いどおりの姿勢を作り出すには有利といえる。(続く)

(語り=谷口信輝/まとめ=大谷達也<Little Wing>/写真=小林俊樹/編集=竹下元太郎)

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