東洋ゴムの新しいミニバン専用タイヤを試す

2011.07.28 自動車ニュース
 
東洋ゴムの新しいミニバン専用タイヤを試す

東洋ゴムの新しいミニバン専用タイヤ「トランパス mpF」を試す

東洋ゴム工業は、2011年3月1日に発売した新しいミニバン専用タイヤ「TRANPATH mpF」(トランパス エムピーエフ)の試走会を、千葉県にある袖ヶ浦フォレスト・レースウェイで行った。

「トランパス mpF」に採用されたリブ基調の非対称パターン。
東洋ゴムの新しいミニバン専用タイヤを試す
試走前に、旧製品「トランパス MP4」と新製品「トランパス mpF」の転がり抵抗比較テストが行われた。
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転がり抵抗を24%低減

今でこそ、どのメーカーもミニバン向けタイヤというものをそろえるようになったが、その元祖ともいえるのが、トーヨータイヤの「トランパス」である。非対称パターンを採用して、ミニバンのタイヤに起こりやすいショルダー磨耗を抑えた「トランパス mp」を発表したのが1995年のこと。以来、快適性や操縦安定性にも改良を加えてミニバン向けのタイヤとしていっそうの磨きをかけ、新製品の「トランパス mpF」で第5世代を数えるにいたった。

今回の開発コンセプトは、操縦安定性とショルダー磨耗性のさらなる洗練、そして低燃費性能の向上である。具体的に言えば、転がり抵抗は旧製品の「トランパス MP4」と比べて24%低減しており、燃費で換算すると2〜3%の改善に匹敵するそうだ。

これは同社の低燃費タイヤ「スーパーエコウォーカー」(2010年7月発売)に採用したゴムの発熱を抑えるコンパウンド技術を用い、さらにタイヤの断面形状を見直して接地圧の偏りを減らすことによって実現したという。タイヤグレーディングでは、転がり抵抗の等級で「A」、ウエットグリップ性能で「b」と「c」(サイズによって異なる)を獲得している。ラベリング制度によって「低燃費タイヤ」と認定されたわけである。

この日、低転がり抵抗の実証は、「ホンダ・ステップワゴン」を使った“惰性テスト”で行われた。テスト車のエンジンはオフ、ギアはニュートラルに固定して、まずは旧製品の「トランパス MP4」を装着して斜面(セーフティローダーを利用)を転がす。次に新製品の「トランパス mpF」を履かせ、同じ条件でテストするという内容である。

結果は、旧製品のコースティング距離が110.5メートルと107.1メートルだったのに対し、新製品は140.4メートルと126.1メートルまで伸びた。両者の平均値どうしを比較すれば、新製品のほうが約22%優秀と、確かにトーヨーが主張する数値に近いものとなった。旧製品と新製品とでは、コースティングしている車両の勢いが見るからに違い、ステアリングを握ったスタッフは「新製品は後半部の伸びが明らかに違っていた」と語っていた。

 
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乗り心地の良さも実感

新製品が目指した操縦安定性について、トーヨーは「高速走行でのレーンチェンジが思い通りに決まるしっかり感」という表現を使っている。これは主にリブ(縦溝)基調のトレッドパターンを採用することにより、パターン全体の剛性を上げることで実現されているという。また、トランパスシリーズ伝統の非対称パターンを引き続き採用し、アウト側で操縦安定性を、イン側でウエット性能を受け持つ構成になっており、天候に左右されない安定性の高さも、新製品の見どころのひとつとなっている。

サーキットにはドライのハンドリングを試す“高速レーンチェンジコース”と、散水車で水をまいてウエット路面を再現した“ウエットコーナリングコース”が用意された。まずはホンダ・ステップワゴンで高速コースに入る。パイロンにしたがってレーンチェンジを行うと、旧製品ではレーンチェンジを終えた瞬間の安定感にやや甘さを感じたが、新製品では奥でぐっと踏ん張る感じがあり、結果としてよりリラックスして運転することができた。
ショルダー部で踏ん張るタイヤの中には、操舵(そうだ)にともなってコーナリングフォースが急激に立ち上がるような“非線形傾向”のものもあり、この傾向が強まると、同乗者は体が振られて不快な思いをしがちである。新製品にはそれがなく、ごく自然なフィーリングに終始し、ミニバン向けタイヤとして好ましい感触を持っていた。

次に「トヨタ・アルファード」に乗り換えて、ウエットコースで同様に新旧のトランパスを試したところ、やはり新製品の踏ん張り感が印象的だった。まずは旧製品の試乗を終え、こちらとてウエットグリップはなかなか、と思いながら新製品に乗り換えたところ、新製品ではラインをトレースする能力が一段と上がっており、技術の進化というものを思い知らされた次第だ。わざとオーバースピード気味にコーナーに進入しても、新製品は前輪が外側に逃げていく感覚が小さく、スタビリティコントロールが介入する頻度もより少ない。

 
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今回は、新製品を装着した「フォルクスワーゲン・ゴルフトゥーラン」で、サーキット周辺の一般道を走る機会もあった。そこでは、サーキットでは体感しづらかった乗り心地の良さを確認することができた。目地段差を通過したときの“当たり”はマイルドで、エコタイヤにありがちな踏面の硬さもそれほど気にならなかったし、ロードノイズもよく抑えられていた。高速道路のレーンチェンジでは足腰のしっかり感は十分に体感できたが、ひとつだけ、ステアリングのレスポンスだけは若干甘くなってしまった気がする。

餅は餅屋なら、ミニバンにはミニバン向けタイヤ。選択に迷ったら、一度老舗の暖簾(のれん)をくぐってみるのもいいかもしれない。

(文=竹下元太郎)

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