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【スペック】全長×全幅×全高=4615×1775×1600mm/ホイールベース=2780mm/車重=1500kg/駆動方式=FF/1.8リッター直4DOHC16バルブ(99ps/5200rpm、14.5kgm/4000rpm)+交流同期電動機(82ps、21.1kgm)/価格=330万5000円(テスト車=400万7450円)

トヨタ・プリウスα Gツーリングセレクション スカイライトパッケージ(FF/CVT)【ブリーフテスト】

トヨタ・プリウスα Gツーリングセレクション スカイライトパッケージ(FF/CVT) 2011.06.19 試乗記 ……400万7450円
総合評価……★★★★

ついに登場したワゴン版プリウスこと「プリウスα」。実際「プリウス」とは、どんなふうに違うのか? その走りと使い勝手を試した。

遅れてきた主役

「プリウスα」の受注が、発売から約1カ月(6月12日時点)で約5万2000台となったそうだ。相変わらずハイブリッド車は人気がある。いや、正確にはハイブリッド車の人気ではなく、「プリウス」の人気が高いと言い換えるべきだろう。なぜなら、鳴り物入りで現れた「ホンダ・インサイト」や「トヨタ・サイ」は、今となってはさほど目立った販売台数を記録していないからだ(2011年4月の登録台数はインサイトが1099台で、サイが483台。対するプリウスは4876台)。プリウスブランドのひとり勝ち。
特にエコカー購入補助金終了以降は、この傾向に拍車がかかっている。だとすると、プリウスよりひと回り大きなワゴンモデルを「ウィッシュ ハイブリッド」などに仕立てず、プリウスネームで展開したのは正解である。

このクルマの売りは、いうまでもなく広い室内空間である。それを利用して3列シート車の設定もあるが、実際に売れているのは圧倒的に2列仕様のほうというから面白い(5万2000台のうち、2列仕様が約3万8000台で、3列仕様は約1万4000台)。つまり購入者は、このクルマをミニバンというよりは、むしろ5人がゆったり乗れてより大きな(多くの)荷物が積めるワゴンととらえている実情が浮かび上がってくる。
ノーマルプリウスと比べて走りの質感の方も洗練されており、単なる派生車種という位置づけにとどまらず、プリウスシリーズとしてマイナーアップデートが施されていることがわかる。車名のとおり、プラスアルファのあるプリウスである。

【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
プリウスαは、プリウスのワゴン/ミニバン仕様ともいうべきハイブリッドカー。震災の影響で、予定より半月ほど遅い2011年5月13日に発売された。
その外観は、プリウスの後ろ半分を変更しただけとも見えるが、実際のボディサイズは、プリウスよりひとまわり大きく、全長×全幅×全高=4615(+155)×1775(+30)×1575(+85)mm。ホイールベースは80mm長い2780mmとなる。
個々のボディパネルもオリジナルで、コンビネーションランプにいたるまで、独自のパーツを使用。インテリアもインストゥルメントパネルやセンターコンソールのデザインもプリウスと異なるものになっている。
シートのレイアウトは、7人乗り仕様車が2+3+2の3列で、5人乗り仕様車が2+3の2列仕立て。
荷室容量は、ニッケル水素バッテリーを(プリウスと同様に)ラゲッジボード下に収納する5人乗り仕様車で535リッターを確保。7人乗り仕様車は、3列目空間確保のため省スペース性に優れるリチウムイオンバッテリーを採用。その設置場所も前方、センターコンソール内へと変更し、200リッターの荷室容量を確保する。
エンジンは1.8リッターガソリン(99ps、14.5kgm)を電気モーター(82ps、21.1kgm)がアシストする「THS II」(トヨタハイブリッドシステムII)で、基本的にプリウスと変わらず。駆動方式も同様にFFのみとなる。

(グレード概要)
プリウスαは、ベーシックな「S」と装備が充実した「G」の2グレード構成。それぞれに、215/50R17インチタイヤと、フロント&リアバンパースポイラーなどで外観をスポーティにドレスアップした「ツーリングセレクション」が用意される。また「S」には一部装備を省いた廉価グレード「S“Lセレクション”」、「G」には「ツーリングセレクション」にさらに樹脂パノラマルーフを装着した最上級グレード「G“ツーリングセレクション スカイライトパッケージ”」も設定される。
「S」グレードはすべて5人乗り仕様となり、「G」グレードでは、「G」(5人乗り/7人乗り)、「G“ツーリングセレクション”」(5人乗り)、「G“ツーリングセレクション スカイライトパッケージ”」(7人乗り)となる。

テスト車に標準装備される樹脂製ルーフは、ガラスと比べて約40%も軽量化している。電動ロールシェードとドアロックに連動したオートシェードクローズ機構付き。
テスト車に標準装備される樹脂製ルーフは、ガラスと比べて約40%も軽量化している。電動ロールシェードとドアロックに連動したオートシェードクローズ機構付き。
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【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★
ノーマルプリウスでは、ダッシュボードのセンターパネルがコンソールへと連続する意欲的な造形が採用された。ダッシュボードの素材感や質感表現にしても従来の価値にとらわれず、「未来へと続くクルマ」としてのチャレンジが見受けられた。しかしプリウスαでは、その姿勢が弱まった印象を受ける。ファミリー向けだからより安心できる価値を提供した、ということだろうか。もっとも、各所のユーザビリティはよく練られている。
ひとつだけ気になったのは、センターメーターの“インタラクションデザイン”が少々荒っぽい点だ。トリップメーター、燃料計、シフトインジケーター、ハイブリッドメーターなど、「価値の違う情報」が同列に配されている。もう少し整理したほうがより見やすくなるのではないだろうか。メーター照明の見やすさそのものはノーマルプリウスより格段に向上しているだけに、より一層その思いを強くする。

(前席)……★★★★
ヒップポイントがノーマルプリウスと比べて30mm高く(605mm)設定されているため、若干だが、周囲を見下ろすようなドライビングポジションに改められている。またサイドサポートの抑揚が強く、ノーマルに比べるとフィット感が強い。Aピラーは大きく寝かされており、ウインドシールドはドライバーの目の前まで迫ってきているが、さほど圧迫感はない。

(2列目シート)……★★★★
2列目は前後に180mm(12段階)スライドし、最大で45度までリクラインするようになっている。可動範囲の大きなシートは「妥協の産物」になるケースがままあり、肝心の座り心地が犠牲になってしまう場合も少なくない。しかし、これは巧みなバランスを見出しており、掛け心地は良好。背もたれも十分な高さがある。広さも文句ない。フロアセンタートンネルの出っ張りがないので、左右に動くのも楽だ。

(3列目シート)……★★
筆者(身長183cm)にとっては、緊急用シート以外の何ものでもなかった。ヘッドクリアランスとニールームに余裕はまったくなく(ぶつかってしまっている)、ヒップポイントの低さゆえに、太ももがシートから浮いた着座姿勢を強いられた。閉所感が強い。全長4.6m程度で、実用性の高い3列目シートを望むなら、「トヨタ・ウィッシュ」や「ホンダ・ストリーム」を選んだほうがいいかもしれない。

(荷室)……★★★
5人乗りでは535リッター(荷室長985mm)確保されるが、7人乗り状態だと200リッター(同375mm)まで狭まる。Aピラーをもっと起立させて、いわゆるキャブフォワード形態を強めた骨格を一から作れば、より広い荷室も望めるのだろうが、現状ではこれが空力その他とのバランスを取った“最適解”なのだろう。
なお5人乗り仕様では2列目背後にニッケル水素バッテリーを搭載しているが、7人乗り仕様ではリチウムイオンバッテリーに変更し、センターコンソール下に移設している。

7人乗りのセンターコンソール内には、リチウムイオンバッテリーが置かれるため、5人乗り仕様と形状が異なる。コンソールボックスと小物入れ、2個のカップフォルダーが備わる。
7人乗りのセンターコンソール内には、リチウムイオンバッテリーが置かれるため、5人乗り仕様と形状が異なる。コンソールボックスと小物入れ、2個のカップフォルダーが備わる。 拡大
シート表皮は「S」は標準ファブリック、「G」は上級ファブリックとなり、それぞれにグレーとアクアが用意される。
シート表皮は「S」は標準ファブリック、「G」は上級ファブリックとなり、それぞれにグレーとアクアが用意される。 拡大
6:4分割可倒式の2列目シート。最大45度までリクライニングし、前後に180mmのスライドが可能。
6:4分割可倒式の2列目シート。最大45度までリクライニングし、前後に180mmのスライドが可能。 拡大
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「プリウス」より開口部が大きくなった荷室。容量は、7人乗車時で200リッターを確保する。2列目、3列目シートを倒すことで最大1035リッターまで拡大することもできる。
(写真をクリックすると、シートアレンジが見られます)
「プリウス」より開口部が大きくなった荷室。容量は、7人乗車時で200リッターを確保する。2列目、3列目シートを倒すことで最大1035リッターまで拡大することもできる。
(写真をクリックすると、シートアレンジが見られます)
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【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★
1.8リッターエンジンを中心としたハイブリッドユニット(エンジン99ps、モーター82ps、システム出力136ps)と、電気式無段変速のトランスミッションはノーマルプリウスと同じと発表されている。しかしファイナルが3.267から3.703へと約13%低められているのが効いているのか、重量差(ノーマルより100kg以上重くなっている)をカバーしてよく走る。今回は箱根の山岳路も走ったが、きつい上りでもノーマルに遜色(そんしょく)ない力感を備えていた。
トランスミッションはノーマルプリウス同様、この方式ならではのスムーズさが際立つもの。唯一、シフトセレクターのスプリングが強化されたのか、あの“くてんくてん”だった操作感がちょっとばかりしゃきっとしっかりしたものになっていた。小さな違いだが、こういう常に触る箇所の変更は、小さくはない記憶を残すものだ。

(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
100kg以上重くなったせいか、乗り心地はずいぶんとしっとりとした。しかも突起を乗り越えたさいの、タイヤの“当たり”もマイルドになり、プリウスは乗り心地がねえ……という不平を過去のものにした。静粛性もおおむねこちらの方が高く思えた。ファミリーユースでなくとも、長距離ツーリングに出かける機会の多い人は、(このスタイリングが嫌いでなく、若干燃費が不利なことを我慢できるなら)こちらの方がおすすめである。

またハンドリングも、ノーマルよりこちらの方がより自然に感じられた。路面の入力によるピッチングを抑える「ばね上制振制御」(モーターのトルクを制御することにより車両の姿勢をコントロールする技術)は、タイヤの接地性を高めるうえでも有効といい、実際、ステアリングはノーマルよりフィールに富んでいた。サスペンションのロール剛性も高く、運転する面白さを備えたクルマだった。ブレーキの空走感もだいぶ改善されており、狙ったポイントでより止めやすくなっていたのが印象的だった。

(写真=荒川正幸)

【テストデータ】

報告者:竹下元太郎
テスト日:2011年5月31日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2011年
テスト車の走行距離:1691km
タイヤ:(前)215/50R17(後)同じ
オプション装備:プリクラッシュセーフティシステム=14万7000円/インテリジェントパーキングアシスト+HDDナビゲーションシステム&プリウスαスーパーライブサウンドシステム=50万850円/G-BOOK mX Pro専用DCM+盗難防止システム オートアラーム=5万4600円
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(5):山岳路(4)
テスト距離:378.8km
使用燃料:22.8リッター
参考燃費:16.6km/リッター

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