日野、小型トラック新型「日野デュトロ」を発売

2011.06.15 自動車ニュース
「日野デュトロ ハイブリッド」標準幅キャブ
日野、小型トラック新型「日野デュトロ」を発売

「日野がトラックを変える」か? 新型「日野デュトロ」発売

日野自動車は2011年6月15日、同社の小型トラック「日野デュトロ」を1999年5月以来12年ぶりにフルモデルチェンジし、同7月2日に発売すると発表した。同時に、日野からOEM供給されるトヨタの「ダイナ」と「トヨエース」も同じ内容で新型に切り替えられた。

日野自動車の白井芳夫社長は、「新型『日野デュトロ』は、日本だけでなく世界中のお客様に選ばれるトラックを目指した」と語り、「2015年ごろには、仕向地を40カ国から100カ国に拡大し、全世界での小型トラックの販売目標台数は従来の4倍となる14万台を目指す」と述べた。
日野、小型トラック新型「日野デュトロ」を発売

■12年ぶりのワケ

そう聞くと4年ごとに目まぐるしく変わる乗用車との違いに驚かれるかもしれないが、商用車の世界では10年に一度は当たり前。積み荷の量や様態、重量に合わせてキャブとエンジン、荷台の組み合わせで構成されるバリエーションの数が膨大で、そもそも乗用車のような“陳腐化”のためのモデルチェンジは無理だし、またその必要もないのである。

実際、新型「日野デュトロ」の場合も日野自身が用意する“完成車”の車型だけで186に上るほか、いわゆる専業の架装メーカーがキャブ付きシャシーの形で受け取って仕立てる特装車に至っては無数にあるからだ。

というわけで、日野にとっては久々の大イベント。この日は別項にあるとおり、日本車全体にとっても震災後初といえる、大々的なプレス向け発表会となった。

「日野デュトロ ハイブリッド」標準幅キャブ
「日野デュトロ ハイブリッド」標準幅キャブ
「日野デュトロ」ワイドキャブ
新型では、ワイドキャブもオリジナルデザインが採用された。
「日野デュトロ」ワイドキャブ
新型では、ワイドキャブもオリジナルデザインが採用された。
日野、小型トラック新型「日野デュトロ」を発売の画像

「日野デュトロ」は変わった

新型を彩るキーワードは“世界戦略車”と“ハイブリッド”。前者は国内市場の相対的な比重低下をにらんで開発段階から“地域適格化”を織り込んだ設計を意味する。具体的には従来1.7m幅の小型車規格を元に単純拡幅されていた“ワイドキャブ”仕様を最初からオリジナルデザインとしたことがそれ。したがって、よく見るとマスクやヘッドランプの意匠もドアのプレスも独自のものであることに気付くはずだ。

輸出向けが多いワイドキャブは今回平面図で“前絞り”がなされた結果、Cd(空気抵抗係数)値が30%改善され、例えば同じ平ボディで0.55から0.50程度まで低減したという。

ハイブリッド仕様そのものは2003年から存在したが、新型のそれはふたつの点で新しい。その1は、同じパラレル式ハイブリッドながらエンジンとギアボックスの間に機械的なクラッチを新設したこと。これにより減速時に両者が完全に遮断され、従来はエンジンブレーキとして作用していた分、つまり回生発電の観点からはロスだった分までエネルギーとして回収できるようになった。

ちなみに、ハイブリッド仕様に搭載されるエンジンはシリーズ他車とは別物で、圧縮行程を意図的に遅らせて高い熱効率を得るアトキンソンサイクル理論をディーゼル商用車として初めて応用している。これが第2点目。
言うまでもなく、このエンジンを含め新型は全車、世界で最も厳しいとされる平成22年排出ガス規制(ポスト新長期規制)をクリアしているが、ライバルとは異なりDPR(高耐熱セラミック)フィルターのみで対処しているのが特徴で、尿素水を使用する陣営との対決姿勢が一段と鮮明になった。

これらに組み合わされるギアボックスだが、今や商用車といえども特にライトデューティなクラスは2ペダル操作方式が主流で、日野デュトロの場合は6段ATのほかに“プロシフトV”と呼ばれる「5段AMT」(ロボタイズドオートマチック)までそろえられている。

写真奥が標準幅キャブ、手前はワイドキャブ。ドアの形状、デザインが異なるのがわかる。
写真奥が標準幅キャブ、手前はワイドキャブ。ドアの形状、デザインが異なるのがわかる。
会場には、テレビCMに出演するタレントの新山千春さんと俳優の柳沢慎吾さんがゲストで登場。自営業の実家に「デュトロ」を薦めるという内容のCMでは、それぞれが実の親子で共演。トークセッションでは、CM撮影時のエピソードなどを語った。「日野デュトロ」のテレビCMも10年ぶり。
会場には、テレビCMに出演するタレントの新山千春さんと俳優の柳沢慎吾さんがゲストで登場。自営業の実家に「デュトロ」を薦めるという内容のCMでは、それぞれが実の親子で共演。トークセッションでは、CM撮影時のエピソードなどを語った。「日野デュトロ」のテレビCMも10年ぶり。
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燃費5割アップのハイブリッド

新型の開発は自ら陣頭指揮を執る社長の“燃費1.5倍”という掛け声とともに4年前に始まった。昨2010年には大口ユーザーである西濃運輸や伊藤園、綜合警備保障など6社に発売前のプロトタイプをモニターとして実証運行に供してもらい、それぞれ走行条件は異なるものの従来車に比べて38〜46%アップの好成績を得たという。

事業者にとっては抱える台数の多さとトータルの莫大(ばくだい)な走行距離で燃費向上のメリットは図り知れず、そのためか以下のとおり結構な車両価格(消費税込み東京地区希望小売価格)にもかかわらず、シリーズの国内年間販売目標1万2000台のうち実に33%に当たる4000台がハイブリッドで占められることになりそうだという。
さらに、将来的には先進諸国市場で5割に達するという観測まである。その意味で、たしかに“トラックも変わる”のだろう。

代表的車型の価格は、以下のとおり。

「日野デュトロ ハイブリッド」標準幅キャブ(型式SJG-XKC605M-TQUMC/標準長/全低床/スタンダードグレード/木製平ボディ付き完成車/4009ccアトキンソンディーゼル直4ターボインタークーラー(150PS)/5AMT/2トン積み):465万4650円

「日野デュトロ」ワイドキャブ(型式SKG-XZU720M-TKFQC/超ロング/高床/スタンダードグレード/木製平ボディ付き完成車/4009ccディーゼル直4ターボインタークーラー(150PS)/6MT/3トン積み):475万3350円

(文=道田宣和)

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