【スペック】全長×全幅×全高=4635×1905×1840mm/ホイールベース=2690mm/車重=1940kg/駆動方式=4WD/4リッターV6DOHC24バルブ(276ps/5600rpm、38.8kgm/4400rpm)/価格=332万円(テスト車=350万5850円)

トヨタFJクルーザー オフロードパッケージ(4WD/5AT)【試乗記】

ジマンは地盤 2011.05.09 試乗記 トヨタFJクルーザー オフロードパッケージ(4WD/5AT)
……350万5850円

ジャパンメイドの北米向けSUV「FJクルーザー」の評判がいい。なにが、そんなにイイのか!? モリケータはその“地盤”に注目した。

オススメトヨタNo.1

クルマは動くリビングルームである、という意味のことをダンテ・ジアコーザ(Dante Giacosa)が書いている。「Forty Years of Design with FIAT」という彼の著書でそれを読んだ(したがって原語でではなく翻訳された英語で)。動くリビングルーム。昔の恐竜アメ車あたりの客室デコレーションのどハデぶりや走りと乗り心地のフワンフワンぶりを(たいていの場合はヨーロッパのクルマのそれらと対比させながら)語る際に使われがちな言葉であるけれど、イタリアを代表する名自動車デザイナー、ただしスタイリストではなく設計者が、長くかつ濃密だった設計者生活を終えるにあたってモノした本でクルマをそういうものだといっている。調理したり入浴したり大小便の用を足したりベッドで眠ったりすることなく、特別なにをするわけではなくともそこにいる場所。すごす空間。でもってそれが路上を動く。

クルマが動くにあたってはもちろん人間が運転をするわけだけど、それは特別なことではない。特別なことであるともいえるけど、要は歩くように、呼吸するようにナンてことなく(しかもちゃんと)ドライブできないと本来クルマはマズい。または、そうであったら最高。運転せず移動中おもにただ座ってすごすだけのほかの人たちにとってのもふくめてそのへんの環境は良好か劣悪か、という話がいわゆるインプレ、試乗記には書かれている(はずですよね)。

動くリビングルームとして「FJクルーザー」は、少なくともドライバーとその隣の席に座る人にとっては、ものすごくデキがいい。やや特殊だったり難アリだったりのところがゼロでは必ずしもないけれど、いま買える新車でこの程度の値段(ご参考までに、「ゴルフヴァリアント」の1.4TSIコンフォートラインと同じくらい)でこんなにぜいたく、こんなに快適であるのはトンでもなく素晴らしい。価格の何倍もの価値がある。逸材。たとえばの話、まさにいま「ゴルフ1.2TSI」や「シャラン」を真剣に買おうとしている人に向かって「そんなのはヤメにしてこっちをどうぞ!」といいたくてしょうがなくはならない。でも少なくとも、いまトヨタ銘柄の新車のなかからどれか買うならオススメ1位はこれでしょう。1位というよりオンリーワン、かなー。

「レクサスSC」が“ディスコン”(※discontinued/絶版)になって、新車の乗用車(商用登録ではないクルマ)のモリケータ強力推奨銘柄はトヨタ方面からは「ハイ消えた!」−−とガックリ(?)していたらFJクルーザーが出た、というか日本へでも売り出された。で、プレス試乗会。元祖にして名車、この場合はヨンマル系「ランクル」への冒涜(ぼうとく)にも等しい「ニュービートル」と同じ穴の物件だからとすっかりバカにしつつ憎みつつ乗ったらエラくヨカッタので大喜びして、何年ぶりかわからないくらい久しぶりにトヨタの試乗会からニッコニコで帰宅した。やはりというか、同業者でこれに乗った人は俺が知るかぎり皆さんホメていた(そりゃそうだ)。そのあと某クルマ雑誌の連載企画で一週間ほど借りつづけ、もはや買ったも同然なくらいナジんだ。そうでなくても初手からナジむけど。俺とオマエ。

買ったらなおのこと気になる燃費は、そのときは全行程中の約95%が首都高または高速道路の往復ルート、平均時速70km/hとかの110kmで、リッター11.6kmと出た。レギュラー燃料でOK。スタート前とゴール後の給油には正確を期した満タン法……とはいえ距離的にも給油量的にもだいぶアレですが。なお、そのとき借りた「X-REAS」つきの仕様(20インチ)の距離計はほぼデッドに正確で、常磐道の距離ポストを眺めながら20km走って20mと狂わなかった。

で、オチとしてはFJクルーザー、わざわざ一週間も借りなくてもわかることだけど俺んちの車庫に入らなかった。高さの都合で。ウチの場合1700mmちょっとぐらいがたぶん実用上の限界なんだけど、コイツの全高は1840mmある。うーん、残念。そして迎えた今回の試乗。今度は「オフロードパッケージ」だ。

ドアは、観音開き式で大きく開く。ただしその構造上、前ドアを開いてからでないと後ドアは開けない。
ドアは、観音開き式で大きく開く。ただしその構造上、前ドアを開いてからでないと後ドアは開けない。
ユニーク装備のひとつ、サンバイザー。前席の前側と横側にひとつずつ付いていて、サイドからの日差しを遮るときは写真のように、ふたつをつなげて使う。
ユニーク装備のひとつ、サンバイザー。前席の前側と横側にひとつずつ付いていて、サイドからの日差しを遮るときは写真のように、ふたつをつなげて使う。
4WDシステムは、今となっては珍しいパートタイム4WD。2輪駆動「H2」、4輪高速「4H」、4輪低速「4L」の3パターンの駆動モードが設定されている。
4WDシステムは、今となっては珍しいパートタイム4WD。2輪駆動「H2」、4輪高速「4H」、4輪低速「4L」の3パターンの駆動モードが設定されている。
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