日本メーカーブースの紹介【上海ショー2011】

2011.04.23 自動車ニュース
数少ない日本車のワールドプレミアのひとつ、2世代目に生まれ変わった「日産ティーダ」。抑揚の利いたサイドビューの処理が今風だ。
日本メーカーブースの紹介【上海ショー2011】

【上海ショー2011】気迫イマイチ、やや出遅れ感ありの日本メーカー

2011年4月19日に開幕した上海モーターショー。われらが日本メーカーのブースはどんな様子だったのか? 注目車種をピックアップしつつ紹介する。

こちらは新型「ティーダ」のインテリア。エクステリアに呼応するように、インストゥルメントパネルにも効果的に曲線が配されている。
日本メーカーブースの紹介【上海ショー2011】

■大丈夫なのか!? 日本メーカー

大きな盛り上がりを見せた2011年の上海モーターショー。活気だけでいえば、すでに世界一に上り詰めたと言っても過言ではない。展示の内容や手法を見る限りはまだまだドメスティックショーの色合いが強いものの、世界最大に成長した中国市場を狙って参加した海外メーカーの鼻息も荒い。日本メーカーも当然、(ダイハツを除く)乗用車メーカー各社が参加。提携先の中国企業とは別に独自のブースを構え、その存在をアピールしていた。

しかし今回のショーでは、最も力の入っていたドイツ勢と比べると、日本勢の先行きに不安を感じざるを得なかったのは事実だ。まずはワールドプレミアの数。もちろん、世界初公開車種を出さなければならない決まりはない。しかし、最低1台、しかもそれなりの注目車種を用意したドイツ勢に対し、日本メーカーは日産が2車種と息巻いていた以外、大物はスバルのコンセプトカー1台程度と間違いなく後れを取っていた。

展示ブースの位置も微妙だった。日産とホンダは好位置に構えていたが、ワールドプレミアを配したスバルのブースは、主力メーカーが軒を連ねる7つの建屋で構成されたE館の先にある、入り口から最も遠いN館。販売台数では世界一になったこともあるトヨタに至ってはなんと主力側ではないW館で、しかも自動車メーカーが入っているなかでは一番奥のW3館だったのだ。トヨタ以外にW3館で展示を行っていたのは中国の中堅自動車メーカーと部品メーカーである。これにはさすがに驚いた。場所がすべてではないが、何かを表しているのもまた事実だからだ。

新型「ティーダ」のリアビュー。デザインは、先代の直線基調から曲線を用いた新しい意匠に変更されている。
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マーチの3ドアバージョンたる「コンパクトスポーツ コンセプト」。
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オーバーフェンダーやセンター出しのマフラーエンドなどで、スポーティさが強調される。
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■「ティーダ」を世界初披露

日本のメーカーのなかで一番元気がよかったのは日産だ。最前列の中央にイメージリーダーの「GT-R」を配置し、客引きにも余念がなかった。

そんな日産の目玉は新型「ティーダ」。初代は2004年デビューなので、7年ぶりのフルモデルチェンジとなる。エクステリアは先代のイメージを残すものの、サイドウィンドウが6ライト化されるなど、ディテールは大きく異なる。抑揚の利いたサイドパネルにより、先代よりも華やかなイメージだ。ホイールベースは2700mmと100mm延長。全長、全幅などは公表されていないが、若干大きくなったように見える。

インパネは横基調を踏襲。ただし、曲線を用いることで新しさを盛り込むとともに、つやのある黒色の化粧パネルやクロームのモールなどで上質さも演出している。操作系を考えてセンターパネルは従来どおり高い位置に配されている。ただし、センターパネルの左右に振り分けられていたセンター吹き出し口の位置が中央へと変更された。ホイールベースの拡大により、室内は広くなったようだ。後席のヘッドレストは左右の2席分しか備わらないアジアンスペック。エンジンは中国市場向けには1.6リッターの自然吸気とターボの2種類が用意される。

ティーダとともにお披露目されたのが、「コンパクトスポーツ コンセプト」と呼ばれる3ドアのハッチバック。写真を見ればおわかりのとおり、「マーチ」や「マイクラ」の名前はどこにもないが、“新型マーチの3ドア版”に他ならない。エクステリアはスポーティ仕立てで、詳細は不明だが、全高は5ドアよりも低く見える。近い将来、ルノースポールの各モデルのようなスポーツモデルとして登場するかもしれない。

日産の中国向け新ブランド、ヴェヌーシアの第1弾。コンパクトサイズのセダンだ。
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エッジの利いたエクステリアは、これまでの日産車とは印象が異なるもの。
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■日産の新ブランドは2012年に登場

さらに日産はもう1台、注目のクルマをお披露目した。それが啓辰、英語の音では「ヴェヌーシア」と呼ばれるコンセプトカーだ。ヴェヌーシアは日産の中国現地合弁会社である東風日産が独自に立ち上げた中国専用ブランドである。昨年末の広州モーターショーではクルマの前半部分だけだったが、今回は後半部分が追加され、1台のクルマとして出展された。ちなみに、ヴェヌーシアというブランド名だけで、モデル名は付けられていない。

「ブルーバードシルフィ」程度と思われるボディサイズの4ドアセダンで、エッジの利いたエクステリアはスポーティなイメージが好印象。2012年には市販される予定だ。さらに、2012年中にはヴェヌーシアブランドからもう1台のニューモデルが登場することもアナウンスされている。

新型「インプレッサ」をSUVに仕立てた、スバルの「XVコンセプト」。市販化されるのは確実。
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オーバーフェンダーや大径タイヤ、大型バンパーなどノーマル・インプレッサとの差は従来どおり。
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■スバルの目玉は「インプレッサXV」の後継車

「XVコンセプト」と呼ばれるコンセプトカーを上海に持ち込んだスバル。このクルマは上海モーターショーの翌日から開催されたニューヨークショーでお披露目された、新型「インプレッサ」の5ドアモデルをベースに、オーバーフェンダーや大径タイヤを装着することでSUV風に仕立てたもので、現場にいたスバル関係者はその関係を否定するが「インプレッサXV」の後継車に他ならない。

昨年のLAオートショーで市販モデルのイメージを思いっきり盛り込んだコンセプトカーを発表したときも「これが次期モデルだとは思わないでください」とアナウンスするなど、スバルの広報戦略はどこかチグハグ。ここまで似ているのだから「次期モデルを示唆しています」とアナウンスした方がよほどシックリくるはずなのに。どうせほぼこの意匠で登場するのは間違いないのだから。

SUV風の装飾は、緩やかな曲線が多用された先代よりも、カクカクした新型インプレッサのデザインとの方が相性はいい。標準仕様のハッチバックとほぼ同時期にお披露目してきたということは、発売時期はそれほど遠くないはずだ。

(文と写真=新井一樹)

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