日本EVクラブ、初の「EV講習会」を開催

2011.04.11 自動車ニュース
第1回EV講習会、開催風景。
日本EVクラブ、初の「EV講習会」を開催

日本EVクラブ、初の「EV講習会」を開催

2011年4月9日、日本EVクラブは、EVに関する基礎知識、ビジネス展開、改造方法などが学べる「EV講習会」の第1回を開催した。

EVについて熱弁をふるう、日本EVクラブ代表の舘内端氏。
日本EVクラブ、初の「EV講習会」を開催

■原発への逆風もなんのその

電気自動車(EV)の普及や地球温暖化防止を進める任意団体の「日本EVクラブ」が、EVの最新事情やコンバージョンEV(改造EV)の製作方法といった情報を提供する場として今年からスタートした「EV講習会」。その第1回が東京都世田谷区にある世田谷文化生活情報センターで開催された。本来は、3月19日に、東京都江東区の日本科学未来館で開催される予定だったが、東日本大震災の影響で参加者の来場が難しかったり、また会場そのものも被害を受けたりしたことから場所を変更。規模を縮小しての開催となった。

講習会場には、日本各地から40名の参加者が集まった。EVの基礎知識を得たいという人から、いつかは自分用のEVをつくりたい人、将来のビジネスに結びつけたい人など、その顔ぶれは実にさまざまだ。

冒頭、日本EVクラブ代表の舘内端氏は「原発とEV」というテーマで話をし、「日本の発電所は需要の倍以上の発電能力があり、自家用自動車がすべてEVに変わったとしても、そのエネルギー消費量はわずか2.4%に過ぎない。原発がなくなるとEVが成り立たないというのはあくまで“風評”」「いまの発電所は需要のピークにあわせてつくられているが、スマートグリッドによりEVを蓄電池として利用すれば、もっと少ない施設で需要に対応できる」と、原発への逆風が必ずしもEVに影響するものでないことを説明した。


日本EVクラブ、初の「EV講習会」を開催

■エンジン車と違う魅力

講習会は、講義と組み立て実演のふたつのパートで構成される。講義ではまず舘内氏がEV全般について総括した。
EVの歴史では「現在は、地球温暖化対策のための第5次ムーブメントのまっただ中にある」。EVの基本構造や特徴を説明するパートでは、「高級車」「スポーツカー」「都会と過疎地にぴったりなもの」「使った人を目覚めさせる」などとEVを評し、独自の視点からその特徴と魅力をまとめた。さらに、国内外のEVの現状や電池開発の状況など、構成パーツの最新情報についても触れられた。

「なぜ電気自動車なのか?」というテーマでは、自動車は環境問題、地球温暖化、石油資源の枯渇などの問題を抱えており、なかでも地球温暖化に関しては、「工業化前の時代から気温が2度以上上昇すると温暖化に歯止めがかからなくなる。2度にとどめるには、CO2の量を450ppmに抑えなければならない。それには2050年のCO2の排出量を現在の半分に削減する必要がある」と述べる。これにともない世界ではCO2排出量規制の動きがあり、それにはEVが有効であると説く。

一方、ビジネスという観点では、「ここ10年で自動車産業の構造が劇的に変わることはないが、マーケットが変わる可能性は十分ある。ガソリン価格が200円、250円に値上がりするのは目に見えている。その場合、EVの供給が足りなくなる可能性があり、EVベンチャーが成り立つ日が来るかもしれない」。

反面、現状については「必ずしもビジネスとしては簡単ではない」とし、「自分のクルマをEV化したり、クラシックカーをEVとして蘇らせたりと、個人的なコンバージョンの需要はある。しかし、しばらくはエンジン車で困ることはなく、そんな状況のなか電気自動車で活路を見出すには、魅力あふれるクルマを送り出す必要がある。そこで求められるのがブランド。機能だけでは魅力的な商品にはならない。もちろん、車体技術がなければ参入できない。レーシングカーを手がけてきた会社、あるいは、デザイン会社が、EVメーカーになる可能性が高い」と述べる。

日本EVクラブ技術委員の薄井武信氏(中央)をはじめとするスタッフが、参加者の目の前でブラシレスDCモーターを組み立てる。パーツには非常に強力な磁石が含まれ、その扱いには注意が必要だ。
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■コンバージョンEVを手がけるために

このあと舘内氏に続いて、これまでいくつものEVを手がけてきた日本EVクラブ技術委員の薄井武信氏が、コンバージョンEVの製作方法について説明を行った。ここでは、モーター、コントローラー、バッテリーなど、コンバージョンEVにおいて重要な役割を果たすパーツの種類と選定方法、価格などが紹介された。
「バッテリーは鉛、ニッケル水素、リチウムイオンがあり、一番使いやすいのは鉛。EVで使うには始動用の開放型ではなく、多少高くても密閉型がおすすめ」など、実用的な情報が紹介される。さらに、「ミラEV」などを例に、実際の改造の手順が写真とともに紹介された。さらに、ナンバー取得のために改造車検を受けるための手順にも触れられた。

EVの核となるパーツのひとつ、モーターに関しては、本田技術研究所の椛澤明氏が、その原理と構造に関して講義を行った。懐かしい“フレミング左手の法則”によってモーターが回転するという初歩的な話から、モーターの種類とその特徴が示された。「自動車用には直流直巻モーター、誘導モーター、ブラシレスDCモーター3種類があり、自動車メーカーがEVに積むブラシレスDCモーターは、効率は高いものの、価格が高く、メンテナンスも難しい。一方、直流直巻モーターは、ブラシレスDCモーターに比べると効率は劣るものの、それでもエンジンに比べれば2倍以上の効率があるし、価格も安いので、コンバートEVなら直流直巻モーターでも問題ない」といったアドバイスがなされた。

舘内端氏と、「ジャメ・コンタント」号。
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■意外に簡単、EV制作

ひととおり講義が終わり、いよいよブラシレスDCモーターとマイクロEVの組み立て実演に移る。手始めにシビックハイブリッド用のモーターを組み立てる。エンジンに比べると圧倒的にパーツ数が少ないモーターは、専門家でなくても比較的簡単に組み立てられるのが特徴だという。実演では、ブラシレスDCモーターが、参加者の目の前で見る見る組み上がっていった。舘内氏によれば、中学生数人でも20分ほどで組み立てられるという。「エンジンと違って、モーターはあっというまに組み立てることができる。これが自動車ビジネスに革命を起こす」と舘内氏はコメントする。

次はマイクロEVの組み立て。日本EVクラブが開発した「ジャメ・コンタント」号は、ツインモーター式の原付四輪自動車で、ナンバーも取得済み。これを、シャシーの状態から必要なバーツを組み付けていき、最後にホイールや木製のボディを取り付けて完成させるのだが、こちらも小一時間で走行可能な状態に仕上がった。その際、「作業には絶縁手袋と保護メガネは必須」「各端子は必ず被覆すること」など、とくに安全面での実践的なアドバイスが目立った。

そもそもこの講習会を開催するきっかけになったのが、手作りEVの安全性を高めたいというスタッフの思いからだった。「日本EVクラブ16年の実績をここで披露していきたい」とは舘内氏。EVに関する正しい知識を身につけ、趣味にビジネスに生かそうという人には格好の機会となったようだ。

(文=生方聡)

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