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【スペック】全長×全幅×全高=4635×1905×1840mm/ホイールベース=2690mm/車重=1970kg/駆動方式=4WD/4リッターV6DOHC24バルブ(276ps/5600rpm、38.8kgm/4400rpm)/価格=314万円(テスト車=336万7850円/265/70R17タイヤ+17×7 1/2Jアルミホイール=11万2350円/リアデフロック=5万2500円/クルーズコントロール=2万7300円/間欠リアワイパー=1万4700円/デアイサー付きフロントウィンドウシールドグリーンガラス=5250円/UVカット機能付プライバシーガラス(リアドア、リアクオーター、バックドア=1万5750円)

トヨタFJクルーザー(4WD/5AT)【試乗記】

まさに“トヨペット” 2011.02.04 試乗記 トヨタFJクルーザー(4WD/5AT)
……336万7850円

オフロード性能も本格的! 「FJクルーザー」はルックスだけでなく、ヘビーデューティさでもランクルの魂を継承していた。

史上初の(?)かわいい系SUV

去年の春、並行輸入屋さんで借りた「トヨタFJクルーザー」を撮影したことがある。その時点ではまだ、トヨタが日本で販売していなかったのだ。売り物だから走らせるわけにはいかず、左ハンドルの北米仕様は積載車に積まれて登場。カメラマン氏はクルマに全然詳しくない人だったけれど、一目会ったその日から恋の花咲くこともある。
「このクルマ、どうですか?」と尋ねられたけれど、乗ったことがなかったので「中身はランクルのプラドだし、日本の工場で作ってるから悪くないはず」と曖昧に答えた。カメラマン氏の熱を冷ますために「でも、もうしばらく待つとトヨタが正規モノを売るらしいですよ」とアドバイスしたのだけれど、燃えさかる恋の炎を鎮火することはできなかった。数週間後、カメラマン氏は満面の笑みとともに「FJクルーザー」で撮影現場に現れた…。

でも、カメラマン氏の気持ちはわかる。クルマって、欲しくなると今すぐに欲しくなるのだ。そして、FJクルーザーがクルマ門外漢をとりこにしたのは、もちろんデザインに力があったからだ。
FJクルーザーのデザインは「40系ランクル」(1960年〜84年生産の「ランドクルーザー40」)を意識しているとのことだけれど、真横や斜め後ろから見た時のルーフやフェンダーのラインは、最近のSUVよりモダンに見える。だから懐かしさと新しさが入り交じった、複雑なデザインだと思う。自分がこのクルマにそれほどレトロ風味を感じないのは、「MINI」や「フォルクスワーゲン・ビートル」「フィアット500」と違って、40系ランクルと言われてもあまりピンとこないせいかもしれない。

キャラクターラインが、などという小難しい話は抜きにして、丸目2灯のヘッドランプが効いている。最近のクルマはどれも目が吊り上がっていて、カッコはいいけれど怒っているみたい。今までSUVというと「タフ&ワイルド系」と「ゴージャス系」に大別されたけれど、「FJクルーザー」は「かわいいペット系」のSUVという新ジャンルを開拓したのではないか。あと、黄色が似合うSUVに出会ったのも、個人的には「いすゞ・ビークロス」以来、9年振り2度目だ。

インテリアはシンプルで高級な感じはしないけれど、肩の力が抜けたいい具合のユルさが楽しい。仕様によってインテリアは異なるけれど、個人的にはセンタークラスターだけでなくドアトリムまでがボディ同色となる「カラーパッケージ」がおすすめ。

残念ながらテスト車は「カラーパッケージ」ではなかったが、カラーパッケージの場合、ドアトリムまでがボディ同色となる。シートの表面には、はっ水加工が施され、裏側には透湿性の防水フィルムを採用。蒸れにくく、かつシート内部への水の侵入を防ぐ構造となっている。
残念ながらテスト車は「カラーパッケージ」ではなかったが、カラーパッケージの場合、ドアトリムまでがボディ同色となる。シートの表面には、はっ水加工が施され、裏側には透湿性の防水フィルムを採用。蒸れにくく、かつシート内部への水の侵入を防ぐ構造となっている。 拡大
「FJクルーザー」は両側に観音開きドアが採用される。
「FJクルーザー」は両側に観音開きドアが採用される。 拡大
トヨタFJクルーザー(4WD/5AT)【試乗記】の画像 拡大
北米仕様にはMTモデルも存在するが、日本仕様は4リッターV6エンジンと5ATの組み合わせのみ。今回試乗したノーマル仕様のほかに「カラーパッケージ」(324万円)と「オフロードパッケージ」(332万円)の計3グレードをラインナップする。
北米仕様にはMTモデルも存在するが、日本仕様は4リッターV6エンジンと5ATの組み合わせのみ。今回試乗したノーマル仕様のほかに「カラーパッケージ」(324万円)と「オフロードパッケージ」(332万円)の計3グレードをラインナップする。 拡大

キメの細かいアメ車

パートタイム4WDシステムを採用する「FJクルーザー」では、トランスファーレバーでFRと4WDを切り替えることができる。トランスファーレバーをH2にするとドライの舗装路に向いたFR(後輪駆動)、滑りやすい路面では四輪駆動ハイモードのH4を選び、オフロードでは四輪駆動ローモードのL4を選択。舗装路なのでまずはH2でスタートする。

4リッターのV型6気筒エンジンは、まったりした性格。5000rpm以上までスムーズに回るには回るけれど、回したところで「ゴー」という味気ない音が高まるだけ。パワーが気持よく盛り上がって心が躍るわけでもない。だから自然とあまり回転を上げない運転スタイルになるけれど、低い回転域から力持ちだからそういった使い方にはフィットする。1940kgの車体がホワっと加速する。目立たないけれど5ATのトランスミッションはスムーズに仕事をしていて、クルマ全体に洗練された印象を与えている。

ボディ構造には、本格的なオフロード走行に対応するラダーフレームを採用している。だから舗装路では多少ゴリゴリ、ゴロゴロするのではないか、と思っていたけれど、そんな予想は覆された。乗り心地は滑らか&軽やかで、足まわりのセッティングもソフト。高速コーナーではグラッと傾いてやや怖い思いをするものの、それ以外は実に温和なマナーを見せる。エンジンやトランスミッションも含めて、乗り味には上品なゆったり感があって、全体にキメの細かいアメ車といった印象。
そして今回の試乗では、うれしいことにオフロードコースを走る機会があった。

シフトレバーの奥にあるのがトランスファーレバー。
(写真=荒川正幸)
シフトレバーの奥にあるのがトランスファーレバー。(写真=荒川正幸) 拡大

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「FJクルーザー」は2003年のデトロイトモーターショーで発表された後、06年に北米で販売開始。好評を受け、2010年末より日本での販売も始まった。
「FJクルーザー」は2003年のデトロイトモーターショーで発表された後、06年に北米で販売開始。好評を受け、2010年末より日本での販売も始まった。 拡大

オフロード性能は本格的

クローズのオフロードコースに入って、まずはトランスファーレバーをH4に入れる。このコースは何度も経験しているので、どこが難所かはだいたい頭に入っている。
まずは、未舗装の急勾配登り坂。難なくクリア。下り坂、問題なし。大岩が連続する登りセクション。体が斜めになるほどボディが大きく傾いても、サスペンションがすうーっと伸びたり縮んだりして、タイヤは岩から離れない。あっさりクリア。
いろいろ走り回ってみたのだけれど、結局、H4だけですべて乗り切ってしまった。さらにヘビーデューティなL4を温存していることを思うと、「FJクルーザー」のオフロード走破能力は相当なレベルにあると思われる。

荷室は広いうえに防水カーペットが敷き詰められていて使い勝手が抜群。「ランドクルーザー プラド」よりホイールベースが100mm短くなっているのに、最小回転半径がプラドの5.8mから6.2mへと大きくなっているのは気になった。けれど、ボディの四隅が把握しやすいことから、取り回しに困ることはなかった。

アメリカの「FJクルーザー」ファンサイトをのぞくと、みなさんやってる、やってる。専用のパーツをごっそり取り付けた、 “俺だけのオフロードエクスプレス”が自慢げに並んでいるのだ。そして、「信じられないほどメンテにお金がかからない」「ほかのクルマが目に入らない」といった愛あるコメントであふれる。
サイト内のオンラインショップで売られるピッカピカの「4WD Shift Knob $44.95」があまりにステキで、今も買おうかどうか迷っている。約100万円割高の並行輸入車を買ってしまった、先のカメラマン氏にプレゼントしようと思って。

(文=サトータケシ/写真=郡大二郎)

アンダープロテクションでボディ底面を保護するなど、見えない部分にまでオフロード対策が施されている。本格的なオフロード性能と良好な乗り心地を両立できたのは、入念にチューニングしたショックアブソーバーの果たす役割が大きいという。
アンダープロテクションでボディ底面を保護するなど、見えない部分にまでオフロード対策が施されている。本格的なオフロード性能と良好な乗り心地を両立できたのは、入念にチューニングしたショックアブソーバーの果たす役割が大きいという。 拡大
バックドアは横開き方式を採用。ガラスハッチ部分だけを開閉することもできる。荷室床面は防水カーペットが敷かれている。
バックドアは横開き方式を採用。ガラスハッチ部分だけを開閉することもできる。荷室床面は防水カーペットが敷かれている。 拡大
昨年12月4日の発売から本年1月3日までの1カ月間で、約2100台の受注を受け、日本でも好調な滑り出しを見せた「FJクルーザー」。トヨタは好評の理由として「本格的な4WD走行性能」と「個性的なスタイリング」をあげている。生産は、日野自動車の羽村工場が担当する。
昨年12月4日の発売から本年1月3日までの1カ月間で、約2100台の受注を受け、日本でも好調な滑り出しを見せた「FJクルーザー」。トヨタは好評の理由として「本格的な4WD走行性能」と「個性的なスタイリング」をあげている。生産は、日野自動車の羽村工場が担当する。 拡大

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