【スペック】全長×全幅×全高=4340×1800×1290mm/ホイールベース=2415mm/車重=1400kg/駆動方式=MR/2.9リッター水平対向6DOHC24バルブ(255ps/6400rpm、29.5kgm/4400-6000rpm)/価格=672万円(テスト車=760万9000円)

ポルシェ・ボクスター(MR/7AT)【試乗記】

美味さがわかる素のポルシェ 2010.12.27 試乗記 ポルシェ・ボクスター(MR/7AT)
……760万9000円

いまやスーパースポーツからSUV、4ドアセダンまで取りそろえるポルシェ。巨匠 徳大寺有恒が、最も魅力的なモデルに「ボクスター」を挙げる、そのワケは……?
写真=ポルシェ・ジャパン(P)
写真=ポルシェ・ジャパン(P)
「ポルシェ・ボクスター」のインテリア。オートマチックドライブのできる7段PDKのほか、伝統的な6段MTも選べる。(P)
「ポルシェ・ボクスター」のインテリア。オートマチックドライブのできる7段PDKのほか、伝統的な6段MTも選べる。(P)
テスト車のボディカラー「レーシンググリーンメタリック」は16万円のオプション。他15色が用意される。
テスト車のボディカラー「レーシンググリーンメタリック」は16万円のオプション。他15色が用意される。

とっても「スポーツカー」

松本英雄(以下「松」):今日はポルシェのラインナップのなかで、もっともベーシックな「ボクスター」に乗ってみようと思うんですが、いかがでしょう?
徳大寺有恒(以下「徳」):いいね。スポーツカーとしての資質は、「911」より「ボクスター」や「ケイマン」のほうが優れていると、前々から思っていたから。
松:それはどんな理由で?
徳:俺が思うに、911は豪華になりすぎて、値段も高くなりすぎた。今の911はスポーツカーというよりGTだろ。

松:そうですね。実際のところ、メルセデスの「SL」やマセラティの「グラントゥーリズモ」あたりと比較する購買層が少なくないそうですから。ところで、巨匠の初めてのポルシェ体験というと?
徳:「356」だったと思うから1960年代のはじめかな。あまり印象に残ってないんだ。

松:そういえばスポーツカーの体験談はよく伺ったけど、ポルシェの話は聞いたことがないですね。今までにポルシェを買ったことはあるんですか?
徳:これがどうしたものか、まったくないんだよ。
松:驚きですね。100台じゃきかない巨匠のクルマ遍歴のなかにポルシェが1台もないとは! 忘れてるだけで、なにかあるんじゃないですか?
徳:自分でもそう思って(笑)、記憶の糸をたぐってみたけど、やっぱりないな。

松:いったいどうしてなんでしょう?
徳:若い頃はスポーツカーといえば英国車が好みだったし、ポルシェを欲しいと思ったときには金がなかったりといった具合で、ありていにいえば縁がなかったのだろう。
松:なるほど、そんなものですかねえ。
徳:そういうキミはけっこうポルシェが好きだよな? どんなのに乗ったんだい?

リアの荷室。幌はより前方、キャビンとの間に収納されるため、その開閉が容量に影響することはない。エンジンの位置は、幌の下。写真の小窓からオイルやクーラントを注入する。
リアの荷室。幌はより前方、キャビンとの間に収納されるため、その開閉が容量に影響することはない。エンジンの位置は、幌の下。写真の小窓からオイルやクーラントを注入する。
「911」シリーズや「ケイマン」を前にたたずむこちらは、2009年12月にデビューした「ボクスタースパイダー」。1996年に初代が誕生、2004年に2代目となった「ボクスター」シリーズのニューフェイスだ。(P)
「911」シリーズや「ケイマン」を前にたたずむこちらは、2009年12月にデビューした「ボクスタースパイダー」。1996年に初代が誕生、2004年に2代目となった「ボクスター」シリーズのニューフェイスだ。(P)
「ボクスタースパイダー」のリアビュー。パワーアップに加えて軽量化が図られ、幌は簡素な手動式となっている。(P)
「ボクスタースパイダー」のリアビュー。パワーアップに加えて軽量化が図られ、幌は簡素な手動式となっている。(P)

松:61年の「356Bカブリオレ」と67年の「911S」です。
徳:ほう。67年の911Sといえば、2リッター時代のすばらしくシャープなモデルじゃないか。
松:さすがよくご存じで。フラット6のレスポンスがカミソリのように鋭く、「これが乗りこなせればポルシェ乗りとして一人前!」という評判にひかれて買ったんですが……。
徳:調子が悪くて走らなかったとか?
松:いや、これが想像を上回る代物だったんです。針の動きが激しすぎてタコメーターが壊れちゃうんじゃないかと思うほど回転の上がり下がりが素早く、気を付けてないとすぐにオーバーレブさせちゃいそうで。はじめのうちは、スムーズに発進させるのに一苦労でした。

徳:たしかに少々気むずしいエンジンではあったけど、それほどまでだったかなあ。
松:そう思うでしょう? じつはノーマルじゃなかったんですよ。エンジンをオーバーホールしたときにわかったんですが、なんと「906」(注)のカムシャフトが入っていたんです。
徳:906って「カレラ6」だよな。ってことは、かなりチューンしてあったんだな。
松:そうなんです。

徳:カレラ6って、レーシングカーとしてはとても乗りやすいクルマだったけどな。しかし、そんなクルマに当たる機会なんてそうないだろうから、いい経験をしたんじゃないか?
松:ええ。おかげで運転、また整備に関しても鍛えられましたね。というところで、そろそろ乗ってみますか。


(注)ポルシェ906……1966年にデビューしたポルシェのレーシングスポーツで、別名「カレラ6」。日本でも67年日本グランプリ優勝をはじめ数々の好成績を残している。

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