「Toyota Motor-Sports Festival 2010」開催

2010.11.29 自動車ニュース
「オープニングセレモニー」にて、レーシングスーツに身を包んだ豊田章男“選手”を中心に、出場全選手およびゲストがそろって記念撮影。
「Toyota Motor-Sports Festival 2010」開催

10周年を迎えるモータースポーツの祭典「Toyota Motor-Sports Festival 2010」開催

2010年11月28日、静岡県小山町の富士スピードウェイで「Toyota Motor-Sports Festival 2010(トヨタモータースポーツフェスティバル2010)」が開かれた。

「ジャンクション」と題された、ヒストリックマシンのデモランより。1966年に当時の速度国際記録を樹立したスピードトライアル車両を復元した「トヨタ2000GT」。2000GTでその年の第3回日本グランプリに出場した田村三夫がドライブ。
「ジャンクション」と題された、ヒストリックマシンのデモランより。1966年に当時の速度国際記録を樹立したスピードトライアル車両を復元した「トヨタ2000GT」。2000GTでその年の第3回日本グランプリに出場した田村三夫がドライブ。
同じく「ジャンクション」より、グループCカーである「トヨタTS010」のランデブー走行。前のモンツァ仕様は鈴木利男、後ろのルマン仕様は片山右京がステアリングを握った。
同じく「ジャンクション」より、グループCカーである「トヨタTS010」のランデブー走行。前のモンツァ仕様は鈴木利男、後ろのルマン仕様は片山右京がステアリングを握った。

■F1なくとも充実の内容

ここ数年、11月の最終日曜の開催が恒例となっている「トヨタモータースポーツフェスティバル」。トヨタの1年間のモータースポーツ活動を締めくくるファン感謝イベントだが、正直言って今回はさびしいイベントになるのではないかと危惧(きぐ)していた。理由はほかでもない、トヨタが昨季限りで四輪モータースポーツの頂点にあるF1から撤退してしまったからである。モチベーションの低下は避けられないと考えたのだ。

だが、結論から言えばその予想はいい方向に裏切られた。2001年に始まったこのイベントが今回で10周年を迎えた記念ということで、F1のデモランがないことを除けば、ここ数年のうちでもっとも充実していたのでは、と思えるような内容だったのだ。

出場選手を見れば、国内レースのトップカテゴリーであるSUPER GTにトヨタ系チームから参戦した16名全員、SUPER GTと並ぶ頂点であるフォーミュラニッポンでトヨタエンジンを使用した9名全員を筆頭に、NASCARにカムリで参戦する2名のアメリカンドライバー、そして特別参加の小林可夢偉、中嶋一貴らの名がズラリ。

ゲストも豪華で、黎明(れいめい)期のチームトヨタでキャプテンを務めた細谷四方洋をはじめ、トムス代表の館信秀、片山右京、高木虎之介らそうそうたる顔ぶれがそろった。過去にトヨタのマシンで活躍したり、トヨタエンジンを使うチームの代表ではあったりするものの、個人的には他社のドライバーという印象が強い星野一義、中嶋悟、鈴木亜久里、鈴木利男、近藤真彦らが登場したのには、いささか驚かされたが。

パナソニック(最終)コーナーを立ち上がっていくNASCAR仕様の「カムリ」。ドライバーのデイビッド・ロイティマンいわく「こんなに長いストレートのある右回りのコースを、NASCARで走るのは初めての体験」。
パナソニック(最終)コーナーを立ち上がっていくNASCAR仕様の「カムリ」。ドライバーのデイビッド・ロイティマンいわく「こんなに長いストレートのある右回りのコースを、NASCARで走るのは初めての体験」。
サプライズとして行われた、SUPER GTドライバーが駆る5台の市販仕様の「レクサスLFA」による模擬レース。後方に見える6台目は、「レクサスIS F」のセーフティカー。
サプライズとして行われた、SUPER GTドライバーが駆る5台の市販仕様の「レクサスLFA」による模擬レース。後方に見える6台目は、「レクサスIS F」のセーフティカー。

■新旧の名車がズラリ

プログラムは言うまでもなくデモランが中心だが、2007年を最後に見られなくなっていた往年のマシンが復活したのは、オールドファンならずとも歓迎すべきことだろう。1960年代の「トヨタ2000GT」、「トヨタ7」から90年代のルマンを戦った「TS010」、JTCCの「チェイサー」や全日本GT選手権の「スープラ」などが雄姿を披露したが、トヨタが積み上げてきたモータースポーツ史を後世に伝えるためにも、来年以降もぜひとも続けてもらいたいプログラムである。

デモランにおけるサプライズは、この12月にも生産が始まるスーパースポーツ「レクサスLFA」による模擬レース。それも世界500台限定、日本でのデリバリーは165台のみという市販バージョンと同じ仕様の5台をSUPER GTドライバーが駆るという豪華企画で、澄み渡った青空にV10エンジンの快音を響かせた。
さらには小林可夢偉がドライブするその市販型「LFA」に来場者が同乗する「プレミアムサーキットタクシー」も実施された。同乗の権利は会場で行われたチャリティオークションで落札されたもので、その落札金額は去る9月の台風9号の被害に遭った地元小山町の災害復興のために全額寄付されるという。

走行はせず展示だけだったものの、2002年からの参戦に備えたテストカーだった01年の「TF101」から昨季の「TH109」までの、9台の歴代トヨタF1がズラリと並べられたコーナーは見応えがあった。その横には、1984年のサファリラリーで総合優勝した3代目「セリカ」の「ツインカムターボ」、1990年に日本車初のWRCドライバーズタイトルを獲得したチャンピオンマシンである4代目「セリカ」の「GT-FOUR」など5台の歴代WRCマシンも展示。現役時代を知るドライバーやスタッフの解説に、居合わせたギャラリーは熱心に耳を傾けていた。

トヨタエンジン搭載の全9台が参加した「フォーミュラニッポン・スペシャルバトル」より、今季のシリーズチャンピオンを獲得したMobil1 TEAM IMPULのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラの雄姿。
トヨタエンジン搭載の全9台が参加した「フォーミュラニッポン・スペシャルバトル」より、今季のシリーズチャンピオンを獲得したMobil1 TEAM IMPULのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラの雄姿。
「つるべ落とし」の秋の日のなか、ライトオンで行われた「SUPER GTスーパーバトル」。LEXUS TEAM PETRONAS TOM'S 、LEXUS TEAM KRAFT、LEXUS TEAM ZENT CERUMOの3台の「レクサスSC430」がトップを争う。
「つるべ落とし」の秋の日のなか、ライトオンで行われた「SUPER GTスーパーバトル」。LEXUS TEAM PETRONAS TOM'S 、LEXUS TEAM KRAFT、LEXUS TEAM ZENT CERUMOの3台の「レクサスSC430」がトップを争う。
ピットビル屋上に展示された、「セリカ」および「カローラ」の歴代WRCマシンとパリダカ仕様の「ランドクルーザー」。
ピットビル屋上に展示された、「セリカ」および「カローラ」の歴代WRCマシンとパリダカ仕様の「ランドクルーザー」。

■新たなプログラムも

また、F1撤退に伴って今季から参加型モータースポーツへ比重を移すことを表明したトヨタらしい、新たなプログラムも登場した。それが何かというと、来場者によるモータースポーツ関連の「お仕事体験」。レーシングフォトグラファー、サーキットアナウンサー、レースクイーンなどの仕事を、その道のプロの指導の下に体験するという試みである。そんなことが行われているとは知らず、いつもはプレスのみに許可されているコースサイドに撮影に向かったところ、カメラマンの多さにびっくりしたのは筆者である。

総じてF1撤退のショックを乗り越え、今季から新たなステージに歩を進めたトヨタモータースポーツの情熱と意欲が感じられる、明るく元気なイベントだった。ちなみに発表された入場者数は2万5500人。好天に恵まれたこともあって、感覚的には小雨交じりで肌寒かった昨年の2万8000人より多く思えたのだが……。

(文と写真=沼田 亨)

手前の2001年のテストカーである「TF101」から、年代順にズラリと並べられた9台のF1マシン。なかなか壮観だった。
手前の2001年のテストカーである「TF101」から、年代順にズラリと並べられた9台のF1マシン。なかなか壮観だった。
ピットウォーク実施中のホームストレート。コース上に並んでいるのは「ドリフトエクストリーム」で妙技を披露したD1のマシン。
ピットウォーク実施中のホームストレート。コース上に並んでいるのは「ドリフトエクストリーム」で妙技を披露したD1のマシン。

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